第41話 出会い 香坂友樹の場合②
ストーカーかっ!
長澤結実の事だっ!
最近、いつも視界内にいてこちらをうかがっている。
僕が何をしたというのだ?
………机を蹴り飛ばしたけど!
気になってしょうがない。
今まで一部の女子達に注目されたことはあったが、ここまで気になったことは無い。
何ていうか、観察されているような気がする。
どうせなら、真正面から声を掛けてくれれば良いのに。
よし、受け身ではなく、攻めてみよう!
放課後、生徒会室前。
僕を見失ったらしく、ウロウロする長澤結実。
「よっ、長澤!お前も生徒会役員希望か?」
「ひっ!」
後ろから、わざとらしく長澤の肩を叩く。
予想外だったのだろう。短く悲鳴を上げる。
構わず手を引いて、生徒会室に連れ込む。
あっ、手を握ってしまった。
一歩間違えれば、セクハラだな?
「えっ、なっなんっ!」
それでも、手を振りほどいたりはせずに、着いて入った。
「姉さん、役員希望者連れてきたよ!」
手を繋いだままの僕達を一瞥し、
「……学校では、姉さんは止めなさい。」
『氷の女王』と呼ばれている冷たい迫力で告げる姉貴。
「では、会長様、希望者をお連れいたしました。」
我が校では、会長と副会長は選挙で選ばれるが、役員は希望者から生徒会長が指名する事になっている。
「それでは、こちらの用紙に学籍番号とお名前の記入を。」
天然な姉が、底冷えのする、腹に響く言葉遣いで有無を言わせず記入を迫る。
迫力に押されて、繋いだ手を離し、記入してしまう長澤。
「じゃあ、明日から放課後はここに集合な!3年間、一緒に宜しくな?」
もう一度手を繋ぐべく握手を求めると、何故か真っ赤になった長澤は遠慮がちに手を差し出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます