第40話 出会い 香坂友樹の場合①
………デカいな?
第一印象は、自分が小さいことを棚に上げた自分勝手なものだった。
底冷えのする、最寄り駅からの通学路。
試験会場へ向かう列の僕の前に、フラフラと今にも何処かへ飛ばされそうな軽さで歩く
あのコートは、桜中だな?
あそこの制服はカワイイんだよな?
そんな事を考えながら、倒れでもしたら支えられる位置を保ちながら、少しだけ離れて歩き続けた。
校門を抜け、もう大丈夫だろうと彼女の脇をすり抜ける時に、やっぱりデカイなと思いながら横顔を……
ドキッとした。
青白い、日本人形のような整った顔立ちが、緊張感もあって雨天の中に返って映えていた。
例えるなら、非日常?
有り得ない存在?
普段なら、決してそんなことは思わなかったはず。
受験番号の書かれた教室に入るとさっきの彼女が前方からフラフラと歩き、コートを脱ぎつつ席に着いた。
あ〜、やっぱ、制服姿カワイイな!
制服だけじゃぁなく、彼女も。
でもあれじゃぁ、緊張し過ぎで実力出ないよな〜?
さっきの横顔を思い浮かべ、なんとなく、ホントになんとなく一緒に居られたらいいな?と思ってしまった。
あとから思えば、一目惚れ?
いつもの様に、スマートに解決する時間はもう無いな?
よし!やるか!
立ち上がり、近づき、思い切り、彼女の机を蹴り飛ばした。
それが、僕と、長澤結実との、出会いだった。
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