第37話 出会い 結実の場合 ③
「………あった?あった!!」
合格!
世界中の神々から、近所の神社仏閣から路上を散歩中の犬猫から空を飛ぶ烏まで、あらゆる物にお祈りした甲斐が、あった!
え〜っとぉ、誰にお礼参りをすれば………
合格発表の当日朝、数字だけの掲示なのでネットでも閲覧出来るのだけれど、学校前の掲示の方が早く結果が判るので自信の無い受験生程学校に来る傾向が有るようで、私も例外ではなく、掲示板の前に居た。
受験番号137番。
掲示板に貼り出される側から見上げる受験生達に混じり自分の番号を探す。
こみ上げる嬉しさを隠し、人混みを離れながら人探しをする私。
そう、彼、香坂友樹の姿を。
もし、可能ならば、一緒に合格の喜びを分かち合おうと思ったのだけれど。
彼の名前しか知らなかったので、入学式まで結果を知るのはお預けとなった。
「ただいま〜、合格したよ!」
公立高校の発表当日は登校日では無いものの、皆で教室に集まり喜びを分かち合う。
進路指導室にも、合格の報告に。
「先生〜?合格!」
ドヤ顔で、報告する私。
「あ〜、おめでとう。いや〜、目標がある子は強いな?正直、駄目だと思ってたよ。」
そう、この進路指導主任の山本先生は、私の志望校変更を最後まで強硬に勧めてきていたのだから。
勿論、私は恨んだりすることは無いけどね?
模試の判定も、『 D 』で、当たり前の指導だからね。
目標と逆境をバネに!頑張った?
高揚感が少し落ち着き、冷静さを取り戻した私は、ふと、思った。
目標?
そう、この、合格発表までの数日間、目標なんて何処かへ飛んでいってしまっていた事に気付いた私は、戸惑いながら、帰路についた。
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