第36話 出会い 結実の場合 ②

「あの、さっきは………、」


昼休み、自席で手早く昼食を済ませた私は、一人で席に着いていた、先程『友樹』と呼ばれていた彼に声を掛けた。


「あ〜、さっきはホントにゴメンネ?怪我無かったよね?」


「………もしかして、わざとって?」


「え〜、聞こえちゃった?席離れてたから聞こえないと思ってた。蒼い顔してフラフラしてて今にも倒れそうだったから、つい……咄嗟に?」


はにかむように、笑顔で答えてくれた彼。

初めて、異性に対して、ドキッとした私。

先輩に憧れていた時とは違う、トキメキがあった。


「まだ終わってないから、お互い頑張ろうな?君だけ合格なんて事にならないように、僕も頑張るからさ!」


笑顔が、眩しすぎる!

試験開始前のチャイムが鳴り渡り、席に着いた私。

改めて、絶対に、合格しなければと、誓った。



無事?試験終了し、帰路に着く前に、もう一度だけ、彼の声が聞きたくて探したものの、人混みに紛れて見つけられなかった。

一緒に、合格、出来れば、良いな?

さっき、西中って、言ってたよね?

会えると良いな。

行こうかな?会えるかな?


ルンルン気分で帰宅した私に、母が、


「試験、どうだった?なんか、明るすぎるんだけど?手応えあったのかな?」


「ん、手応えは無かったけど、良いことが有った!」


「何それ?あんた、大丈夫なの?今朝は、真っ青を通り過ぎて真っ黒な顔色だったのに?」


「大丈夫よ、これから神頼みするから!」


そう、神だけでなく、あらゆる物事に願い事をするのだ!

私の明るい未来の為に!

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