第30話 自習室、始めました その2

「来たよ〜!」

4時少し前、子供食堂の仕込をしていると綾乃と弟君と、弟君が気になる?生徒会役員の彼女が入ってきた。


「二人とも来たことはあるけど、紹介するね!こっちが弟の友樹、彼女が友樹のクラスメイトの結実さん。二人とも、生徒会役員ね。マスターのジンさんは、改めて紹介要らないよね?」


「「  」」


チョット驚き、小さく叫んだ二人。綾乃はシマッタ?という顔を一瞬したが、


「今日はありがとうね、早速だけど手伝いお願い!」


強引に話を進める。


友樹君が、私をジト目で見ている。

連絡すると約束して、あれから何も連絡しなかったからね?

昨日、綾乃をお迎え行ったときも会わなかったから。


今日のメニューは、ランチ風のワンプレートと自分で選んで取り分ける大皿料理。

大人も含めて年代がバラけたので、量の調整よりもハーフバイキング風で楽しめるように。


プレートを人数分揃え冷蔵庫に入れ、大皿は温めるだけにしたところで生徒たち?と付き添いの母親1人がやってきた。

今日は子供4人と母親1人、母親に抱かれた幼児1人。幼児は予定外なので、プレート幼児用で追加しないとね。


「初めてだから、簡単に説明しますね。4時半から5時半までお勉強した良い子達に晩御飯をご馳走します。解らない事とかあったら、このお兄さんお姉さんに聞いてね。お母さん、小さい子はそちらに絵本があるから良かったらどうぞ。勉強中、飲み物はここから自由に取ってね!調べ物があったら、このノートパソコンかタブレットを使ってね。」


みんな飲み物取ってから、宿題のプリントを解き始めたようだ。

早速、友樹君と結実さんは質問攻めに遭っている。

綾乃はと言うと、お母さんから幼女を借り受けて膝の上に乗せ、嬉しそうに読み聞かせをしている。

夕食の準備の整った私は、デザートの追加を思いついて騒がしい店内を眺めながら、ゼリーを作り始めた。


1時間は、あっと言う間に過ぎ去っていった。

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