第24話 都市伝説
チケット売場は、観覧車のすぐ横。
彼が窓口で回数券一冊購入して列に並んだ。
ここの観覧車は、一周約15分程。
まだ、それ程混んでないので、すぐに順番が来た。
入口で回数券を二人分ちぎって渡し、彼に手を引かれて係員に促され乗り込み、私が左側に座り並んで手を繋いだまま彼が腰掛けた所で外からロックされた。
ドキドキしながら、彼の顔を上目遣いにのぞき込む。
彼が、先程までの笑顔から真面目な顔に変わりながら私の耳元ではっきりと囁いた。
「突然だけど、もし、良かったら、僕と結婚前提でお付き合いして頂けませんか?」
話しながら右手を私の腰に回し、正面から見つめ合う。
「告白、ありがとうございます。お返事は、観覧車が頂上に来たときに。」
見つめ合ったまま、ドキドキの、長い長い数分間。
あと少しで頂上。
「こんな私でよかったら、よろしくお願いします。ただ、結婚前提ではなく恋人として、婚約者としてのお付き合いでお願いします。」
そっと、口づけしてくれる彼。
すぐに、離れて見つめ合う。
「いちろうさん、この観覧車の都市伝説ご存知ですか?今、頂上です。」
大きく頷いて、もう一度唇を交わす。
軽く口を開き、彼の舌を受け入れ絡ませる。
舌を吸われ、何度か絡ませあった後、観覧車が下降し始めた所で彼と離れた。
「観覧車の頂上で大人の口づけを交わしたカップルは、その日に結ばれる。」
彼が、私を見つめながら、都市伝説の言い伝えを、ハッキリと応えてくれた。
もう一度、軽く唇と舌を交わし、抱きしめあった後、下降する観覧車の外の景色を一緒に眺めた。
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