第22話 夏休みの前に 後編

最後の夏休みは、花嫁修業の予定だった。

卒業後、初顔合わせがあって、その後時期を見て嫁入りと決まったとの事だった。

だから、受験勉強とも無縁で、普段から家事全般や親戚の育児手伝いまでして完璧にこなせる自信があったから、茶道華道着付舞踊ダンス等々色々師匠が付く予定だった。


全部、何もかも、無くなった。

私の存在自体が無くなったかと思うほどに。


それでも、まずは、受験勉強かな?就職活動かな?と思い立った私は、真っ先に進路指導室を訪ねた。

現実逃避だった。

元々、成績優秀の上、生徒会長までつとめたことから、推薦も含めて選択肢は多かった。

余りに万能すぎて、多すぎるくらいだった。

今まで、自己主張というものをしたことがなかったので、自分では選べないほどだった。


このまま夏休みに入ったら、何も選べないままに流されてしまいそうだった。


誰かに相談したいなと思ったとき、思い出したのが、家族でも友人でもなく、あの、喫茶店のマスターだった。

そこで、改めて、自分の思いを感じ、知ることになった。


真っ先に、思い浮かぶ人。


それって、もしかして、勘違いでなければ、きっと………


よし、決めた!

明日、相談しに行こう!

土曜日なら、モーニング営業だけだから相談しやすいよね?

そうと決めたら、しないとね?

まずは、おしゃれからダヨネ?

夏らしい、可愛い格好が良いよね?

小物は、アクセサリーは、どうしよう?ほとんど持ってない!

あっ、でも、私服で出掛けたこと、あんまり無いんだ!いつも制服だったんだ!

お化粧は!?

うゎあぁ〜っどうしようかっ?


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