満喫

涙がとまらない夜、わたしはただひたすら泣く

怒りが込み上げてくる昼、わたしは人を殺す

性欲が収まらない朝、わたしは女を犯す

欲望などない、ただ暇なだけ

忙しい夜は泣いている時間などない

忙しい昼は怒りなど忘れている

忙しい朝は女など欲しない

暇なことが罪なのか、罪深さ故に暇なのか

そんなことを考えながらわたしは暇潰しに街へ出る

そしてすれ違った男を殺し、目があった女を犯す

太陽を見上げて自らの眼球を抉り出す

地面を踏み締めて自らの首を締める

理由はただ暇なだけ

走り回る子供に笑顔を向けながらネコを捕まえて撫で回す

ネコは腹を見せて地面に背中を擦り着ける

杖をついて歩く老人を気にかけながらカラスに挨拶をする

カラスは反応せずにそっぽ向く

それらの行動に意味を求めるとするならば、ただ暇なだけ

わたしは暇を満喫しているだけ

それが罪ならば殺せばいい

暇をもて余したお前たちが暇を満喫しているわたしを殺せばいい

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