第5話 揉めに揉めています
「さぁ〜どうしたものか……」
配下の広目天・持国天・多聞天・増長天は、嫌そ〜〜〜に顔を見合わせました
ハテ、どうしたら自分達のヘッドが自分達に、いつもの如しに厄介ごとを強引に割り振らないか?
結構な無茶ぶりを押し付けてこないか、内心ドッキドキ、心臓バックンバックン
本音を言うと、ビビリまくりでした
困ったように、唯でさえも怖いオーラ全開で仲間を牽制しまくりギロッと見つめ合って、ブンブン各各の得物を力いっぱい振り回します
ばきばきばきぼきぼきぼき
とうとう翡翠で出来た床が彼方此方崩落しだしました
「ひぃっつ〜〜〜〜!!」
側にいた童子は余りの天変地異の恐ろしさに、とうとうエンエン泣き出してしまいました
そんなご様子を眺めながら鷹揚に玉座にて天帝は仰られました
「多聞天〜
君はーーーとても強いだろ?」
「毘沙門」というのは多聞天のもう一つの尊い御名前です
「とんでもない!」
フンッと鼻を鳴らし言い切りました
「陛下?……ご冗談を!ハッキリ言って専門外です
天の川を ひと飛びだなんて……
こんなヨボヨボの老体では無理ですよ?」
筋肉隆々の多聞天はぐりっと顔を、とある若い神仙に向けました
どうやら自分がやりたくない仕事を、何時もが如く
自身の使い勝手の良い子息に上手く誤魔化し丸め込み、厄介払いで押し付けることにしたようです
「オイ ナタ三太子?
お前は俺の息子の中でも上から3番目で、若くて活発だからさ?
コホンッッ、父さんの代わりに行ってこい
この前 御前試合である『神仙武道トーナメント大会』
”弓の部”で、ブッチギリで優勝したばかりだろ?
何を隠そう陸上は父さんは喧嘩では無敵だが、実は泳げないんだ
後で何でも
お前が欲しい〜好きなもの何だってかんだって、幾らでも用意してやるから行け!」
金品で釣ろうとするとはちょっとばかり御下品です
案の定カッカと、才能豊富、容姿端麗、優秀で血気盛んな息子はプンスカ異議を申し立てました
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