第7話 援助

 俺は民生委員の人に、妻が俺を闇とに社会の人に売って、警察に捜索願を出していたことを話した。7年経ったら俺が死んだことにして、7千万したマンションを手に入れる段取りだったのだ。


 自ら手を下してないのだから、罪はそれほど重くないし、俺が闇社会の組織から逃げ出すリスクもあるだろう。闇社会に売るというと、売春、臓器売買、奴隷労働だろうか。臓器を取られた様子はなかった。それ以外だと、マグロ漁船などが思い浮かぶが、俺はそんなにマッチョでもないし、日焼けもしていない。


 民生委員の人には、もう一度警察に相談に行った方がいいと言われた。

 それか、奥さんと話すかだ。

 妻のいる家に帰ったところで、また半殺しの目に遭うだけだ。


 俺には妻以外の親族がいない。

 だから余計に、誰からも探されなかったのだ。

 俺は最近まで何をしてたんだろうか。


 民生委員の人によると、俺は1年半前にあのアパ-トを借りたらしい。他に手続きしてくれた人がいたようだ。さらに、不動産屋に聞いたら、物件を探しに来たのは、男で、俺の勤務先の人だと言っていたらしい。保証人をつけられないから、安いところがいいと言われたらしい。本人が字が書けなくて、手続きできないと言われたらしい。収入証明として、勤務先の源泉を出していたが、その会社に問い合わせたら、俺は在籍したことがなく、偽造だった。


 身分証は免許証だけは持っていたが、他には何も覚えていないようで、大家さんが家賃をとりっぱぐれるのが心配で、民生委員の人に相談したらしい。


 それから、家賃は毎月誰か知らない人から振り込まれているということだった。一度も遅れたことはないとか。俺の名前で振り込んでいるようだが、俺は何が何だかわからなかった。その免許証を使って通帳を作ったようで、都市銀行の通帳とキャッシュカードを思っていた。


 そこに、〇〇興行という会社から毎月5万円が振り込まれていた。

 ネットで調べても、そんな会社はなかった。


 誰かが俺のために家賃と小遣いを振り込んでくれていたようだ。

 俺はわけがわからなかった。

 闇社会の人が俺に金を振り込んでくれていたのか・・・。

 そん親切な人がいるだろうか。

 俺は闇社会の人に貸しでもあるんだろうか?


 俺の免許証は俺の本名。

 誘拐して、その後生かしておくとしたら、偽名を名乗らせるのでは?

 それに、ただ飯を食わせておくんじゃなくて、臓器を取るとか、働かせるとかするのではないか。

 釈然としなかった。

 俺は普通に外を歩き回っていて大丈夫なんだろうか。

 闇社会の人に追われていたりしないのか。

 

 俺はそのアパートに1年半住んでいて、アルバイトの仕事もしていたようだ。

 そのことも覚えていなかった。

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