第14話

夜も更け、辺りが闇に包まれた頃。

4人は人間界にやって来た。

狙いは資産家の伊東家だ。

「いいですね、作戦通りに」

エミリオが小声で3人に確認をした。

3人は頷いた。

エミリオは腰に剣を装備し、手にはあの時手に入れた使えなくなった小冊子を持っていた。

黎人は武器として杖を持っていた。

小豆沙は武器としてバズーカを持っている。

使う時は少ないが、いざと言う時の為に、所持していた。

菜豆那は腰に刀を装備していた。

エミリオは、頷くのを確認すると、動き出した。

それに合わせて黎人達も行動を始めた。

エミリオは伊東家の玄関へ行きインターホンを鳴らした。

それと同時に2階のベランダへ3人が向かう。

『はい』

インターホンから女性の声が聞こえた。

「こんばんは。どうでしょう?新しいの仕入れましたよ」

エミリオはそう言うと、そっと使えなくなった小冊子の表紙をインターホンのカメラに見せる。

『あら、まぁ、少々お待ち下さい』

女性は喜んだ声色で答えると、インターホンを切った。

少しして玄関のドアが開いた。

「主人が待ってます。さぁ中へどうぞ」

女性はエミリオを中へ招き入れた。

それを上空から見ていた小豆沙は、黎人に合図を送る。

黎人は、それを受け、静かに2階のベランダに降り立ち、魔法で窓の鍵を開ける。

そして、部屋へ入り、小豆沙と菜豆那は廊下へ出て行った。

小豆沙は地下室や他の部屋へ奴隷の天使がいないか探しに行った。

菜豆那は一階へ降り、エミリオと合流するタイミングを図り、一階の廊下に潜んだ。

黎人はその部屋のベッドを見た。

すると、そこには、一人手枷を付けられ、さるぐつわで口を塞がれた性奴隷の天使がいた。

酷く怯えて、震えていた。

「大丈夫だ、私はお前達を助けに来た」

黎人は小声でそう言うと、手枷を魔法で壊し、さるぐつわを外した。

彼女は外してもらうと、すぐに起き上がったが、身体がフラついた。

「急に動かない方がいい。この手枷で弱っているだろうから」

黎人は彼女の身体を支えながら言った。

この手枷は対天使用に作られた道具で、付けると魔力が制限され、使えなくなる。長時間付けている事で、外した後も一時的に使えなくなったり、魔力量が減ったまま、元の量に戻らなくなったりする。副作用の激しい道具だった。

黎人もこれを付けられ副作用で、魔力量は減ったままだ。昔程の魔力を有する事は出来なくなっていた。忌々しい道具だ。

「まだ薬は使われてないみたいだな、良かった」

黎人は彼女の身体を触り感覚を確かめながら言った。

彼女は恐怖と安堵から涙が溢れ落ちた。

「怖かったな、辛かったな」

黎人は優しく彼女を抱き締め、頭を撫でた。

彼女は声を殺して泣いた。分かっていた。今ここで大声を出してはいけない事を。

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