推しの子の迷宮 ~迷宮保険員 エバのダンジョン配信・第一回~ 世界で唯ひとり蘇生の魔法を授かった最強聖女さまは、全滅した人気Dチューバーを生き返らせて華麗にバズります
第21話 終わりの始まりは、くまクマ熊クマー
第21話 終わりの始まりは、くまクマ熊クマー
《こっちはレンズが割れてて、こっちのはカメラも送信機も生きてるけどペラが二本折れちゃってる――駄目、どれももう使えないよ》
《カメラドローンは全滅ですか……。 “
《全損はないから、ニコイチで直せるかも》
《 “
エバさんは決断を下した。
撃墜されたドローンの回復を諦めて、壊れた機体を
《この指輪……》
《それはケイコさんが持っていてください。わたしが
《下から
エバさんの言葉に、差し出した “
エバさんは無言でうなずき、ふたりは歩き出した。
エバさんもケイコさんもメンターもその他の
次に “闇王” に追いつかれたら、どうなるかわからない。
いや、おそらくは……。
ふたりは東西に伸びる回廊を、東に向かった。
一
(ほ、本当に迷宮を歩いているみたいだ)
どれだけ歩いただろう?
回廊はようやく突き当たりに達して、そこで南に折れていた。
ふたりは真っ直ぐに南下し、やがて鍵の掛かった扉に行く手を遮られた。
《チェックポイントです。通過するには
《も、持ってるの?》
《幸いにして》
ニコリと笑うとエバさんは、腰の雑嚢に手を伸ばした。
《起きてください、出番ですよ》
《目覚める、クマー》
取り出された “
「……え?」
『……え?』
『……え?』
『……え?』
『……え?』
『……what?』
唐突に、混乱の極みに突き落とされる視聴者たち。
「……
え!? え!? え!?
なんで『熊の置物』が喋ってるわけ!? 動いてるわけ!?
レ・ミリアや他のパーティが手に入れたのは、ただの置物だったのに!
《な、なにそれ、生きてるの!?》
《ええ、
後ずさるケイコさんに、エバさんが微笑む。
《扉を開くだけなら話をする必要はないクマー。だからいつもは、スリープモードのままでいるクマー》
熊……さんが、のっそりと説明する。
《でも、エバとはトモダチだクマー。トモダチと話をするのは楽しいクマー。だから特別に目を覚ますクマー》
《そ、そうなんだ……》
《クマー》
熊……さんはエバさんの手から飛び降りると、のそのそと扉に近づいた。
すると――。
ガチャン!
重々しい解錠音が響き、誰も触れてないのに関わらず
《OK、クマー》
《ありがとうございます》
《あ、ありがとう》
《それじゃ、また冬眠するクマー》
そういってエバさんのポーチにモソモソと潜り込む、熊さん。
お尻が入らずバタバタしている。
あまり敏捷性は高くないらしい。
それもどうにか納まってやがて雑嚢は静かになった。
《エバ》
雑嚢の蓋が持ち上がって、熊さんが再び顔を出した。
《いつもどおり、これまでどおり、ヤバい臭いがプンプンするクマ。用心するクマ》
《はい、気をつけます》
そして今度こそ本当に “熊の置物” は、雑嚢に引っ込んだ。
《こういう熊なら欲しいかも……》
熊が苦手なケイコさんがポツリと呟いた。
エバさんはもう一度微笑し、それから扉を潜った。
さらに南下するふたり。
真っ直ぐ、慎重に、息を殺して、進む。
やがて回廊は終わり、左右に扉のある突き当たりに行き着いた。
心臓が……バクバクする。
ハッキリと心に焼き付き、絶対に忘れられないだろう迷宮の一風景。
左右の扉の奥には、連続する小部屋がある。
その小部屋のひとつで、僕の推しは命を落とした。
ついに……ついに辿り着いた。
(この先に、レ・ミリアがいる!)
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ご視聴、ありがとうございました
次回から、いよいよクライマックス!
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エバさんが大活躍する本編はこちら
https://kakuyomu.jp/works/16816410413873474742
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実はエバさん、リアルでダンジョン配信をしてるんです!
エバさんの生の声を聞いてみよう!
https://www.youtube.com/watch?v=k3lqu11-r5U&list=PLLeb4pSfGM47QCStZp5KocWQbnbE8b9Jj
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