第6話

 「では、選手の方はコートに整列してください。礼をしたのち、トスを行います。」


 私は、トスが何か分からなかった。しかし、瑠璃乃がジャンケンをして、サーブ・レシーブを決めていたので、流れに身を任せる事にした。その結果、私達のチームは、レシーブからのスタートとなった。


 「セブンゲームマッチ、プレイボール」


 流れるように始まった第一ゲーム。私は、相手のカットサーブに苦戦して、一点を取られてしまう。

 しかし、瑠璃乃は、カットサーブをものともせず、見事なリターンでポイントをもぎ取る。


 サーブを打つ人が変わるタイミングで、私と瑠璃乃は作戦会議をしていた。


 「なんか、瑠璃乃のカットサーブと相手の

後衛のカットサーブのボールの曲がり方が違かったんだ。だから、打ち返せなかった。」


「それは、相手が左利きだから、ボールの変化の仕方が違うの。右利きと左利きは逆に跳ぶから、立ち位置に注意して。」


「分かった、立つ位置を調整してみる。」


 作戦会議終了後、相手の後衛の人が、サーブを打ってきたが、こちらはあまり強力では無かったため、難なく返す事が出来た。

 そのままラリーになったが、相手の後衛がミスをして、ポイントとなる。続く瑠璃乃も、レシーブで点をもぎ取り、ポイントは3-1。後一点で、ゲームが取れる。

 

 だが、またしても私がカットサーブに苦戦して、ポイントは3-2になる。ここで点を取らなければ、デュースになってしまう場面だが、瑠璃乃がレシーブを成功し、ラリーに持ち込んだ。

 

 結果から言うと、相手の後衛は粘り強く、かなり長いラリーになった。それに痺れを切らした私は、前衛の真横、つまりコートの端を目がけてボールを打った。ラッキーな事に点数に結び付いて、一ゲーム取る事が出来た。


 「チェンジサイズ」


審判の指示通り、コートチェンジをしている時に、瑠璃乃と情報共有をした。


 「もしかして、相手の前衛って初心者かな?そうだとしたら、ガンガン狙っていこうよ。」


「...多分そうだと思うけど、前衛を集中的に狙うのって難しいんだよね。中途半端なボールは相手のチャンスになるし。」


「でも、初心者なら瑠璃乃のサーブ取れないはずだよね。そうしたら、次のゲームも取れそうだね。」


「確かに、初心者の子は私のサーブが取れないかも知れない。けれど、問題は別にあって...。」


 瑠璃乃がハッキリと言い切らずに、もやもやしたまま始まった第二ゲーム。瑠璃乃の予想が嫌な意味で当たってしまう。

 なんと、私が打ったサーブは難なく返されてしまい、あっという間に二点取られてしまったのだ。

 

 サーブを交代した後、瑠璃乃が一点返すが、私が打ったサーブがまたしても取られてしまい、第二ゲームを相手に取られてしまった。私は半ば放心状態になり、コートに立ち尽くしていた。

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