第4話
「どうしよう?ルールとか何にもわからないよ。サーブの順番とかも知らないし。」
ルールについて勉強しておけば良かったと後悔していると、瑠璃乃が簡潔に教えてくれた。
「今回は、練習試合だから五ゲーム。五ゲームの時は、先に三ゲーム取ると勝ちね。ファイナルゲームとかもあるけど、説明はまた今度でいいや。基本的に、四点先取した方が一ゲーム取れるよ。デュースってのもあって、お互い三点の状態になったら、先にニ点差をつけたほうがゲームを取れるんだ。」
「それで、サーブの順番とかはどうするの?」
「試合前にサーブとレシーブの内のどちらにするかを決めて、サーブになったら一人二回ずつ打つんだ。打つ場所は、最初がコートの右側からで、次が左側。」
「オッケー、大体わかった。さっき私達は、サーブ権を取ったから、サーブを打つんだね。私と瑠璃乃、どっちから打つの?」
「普通は後衛からだから、毬花が打つの。入れる事を最優先してね。」
「分かった、とにかく入れるね。」
ルールの確認も終わり、早速始まった第一ゲーム。私のサーブは、あっさり返されてしまい、その後ラリーに持ち込まれて点数を取られることの繰り返し。
一方、瑠璃乃はカットサーブを用いて確実に点をもぎ取っていく。しかし、私のミスで足を引っ張り、第一ゲームを取られてしまう。
続く第二ゲーム。相手の速いサーブを返す事に苦戦した私は、その隙を突かれて得点をどんどん入れられる。瑠璃乃もどうにかフォローしてくれているけど、点差が開いていき、第二ゲームも取られてしまう。
そして、第三ゲームに移ろうとしていた時、瑠璃乃からあるアドバイスを貰った。
「なるべくサーブをネット際に打って。それと、ラリーになったら、とにかく相手のいない所にボールを返して。」
瑠璃からのアドバイスを参考にサーブを打つと、相手を崩す事に成功した。その後、相手のいない場所めがけてボールを打つと、見事得点となった。
これを繰り返そうとしたが、数回目やると、相手が対応してきてラリーになった。どうにか球を拾い、出来るだけ相手のいない所へ返すことを続けていく。しかし、段々と体力が減っていき、移動速度が鈍る。
私が限界を感じたその時、由美が手前にボールを落とした。流石にこれは追いつけないと諦めかけた時、瑠璃乃がボールを拾い、コートの端に打ち返した。そのボールはツーバウンドして得点となり、私達は一ゲーム取る事に成功した。
だが、喜んでいたのも束の間、第四ゲームでは、完全に体力を使い切り、ラリーでジリ貧になってゲームを取られて負けた。
結局、ゲームカウント1-3の惨敗で試合は終わった。敗北の原因がほとんど私にある分、心が痛む。
試合後、先生の所へ四人とも集合し、それぞれアドバイスをもらった。
「綾と由美は、同じ作戦に引っかかりすぎだ。例え、ネット際にボールを打たれても、準備をしていれば返せるはずだ。」
「瑠璃乃は、攻め気が足りない。今回の試合で 得点できるチャンスはたくさんあったはずだ。毬花の成長のために、わざと様子見していたとしても、自分の役割は果たせ。」
「そして毬花は、まだまだ課題の山だな。特にラリーになった時の体力の無さ、コースの打ち分けが甘い事が一番目立ったな。出来ればサーブも改善して欲しいが、とりあえず、最初に言った二つの内一つだけでいいから改善しろ。」
先生のアドバイスは、とても的を得ていて、みんな素直に返事をする事しか出来なかった。
「もう、日も落ちてきたし、今日は片付けして解散だ。」
先生がそう言った後、片付けとストレッチをして、今日の部活は終わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます