第3話
一か月後...
「次の試合まで、残り一週間を切ったので、
試合に出るペアを決めるぞ。ちなみに今回は、
個人戦だから、色々なペアを試して行こうと思う。」
そう宣言したのは、ソフトテニス部の顧問の
高木先生。
でも、今の発言で、少し引っかかる事がある。何で個人戦なのにペア?矛盾している気がして気持ち悪い。なので、瑠璃乃に聞くことにした。
「あれ、私、説明してなかったっけ?ソフトテニスは基本、二人のペアでやるんだよ。一ペアvs一ペアが個人戦。何組かのペアの勝敗の合計で競うのが、チーム戦みたいな感じ。」
「ヘー、そうなんだ。という事は、私も試合に出れる可能性はあるの?」
「もちろん、でもペアを組む必要があるよ。私は出来たら毬花と組みたいけど...。先生や先輩から許可が降りるかな?」
「そうだよね。特に私達一年生は、奇数だから誰か一人が補欠にならないとだし...。」
「後で、先生に聞いてみようか。」
その後、一年女子全員が先生のもとに集められた。
「今回の試合のペアについて、みんなの意見を聞こうと思う。誰と組みたいか、前衛と後衛のどちらを希望しているかとかだな。」
前衛と後衛?確か瑠璃乃は、前衛経験があるって言っていたけど、みんなは希望とかあるのかな?
「私と由美でペアを組みたいです。ちなみに
中学時代は、私が前衛で由美が後衛でした。」
真っ先にそう話し始めたのは綾だった。そして、由美も重ねるように言った。
「私も綾と組みたいです。先生が色々試そうとしていることもわかりますが、長年の信頼があるペアを使うこともアリだと思います。」
「確かに、一理あるな。他に意見がある人はいるか?」
少しの沈黙の後、瑠璃乃が意見を言った。
「私は、毬花と組みたいです。毬花はまだ、経験が浅いので、経験者がフォローしつつ実践経験を積むという形が良いと思います。」
「なるほど、残るは奈緒だが、希望はあるか?」
奈緒は少し考えつつ、口を開いた。
「私は誰と組みたいとかは無いのですが、試合には出てみたいです。」
これは、奈緒と争う感じ?勝ち目ないよ...。と思っていたのも束の間、先生が提案をした。
「なら、二年のペアの内の片方が怪我して、一枠空いているから、試しに組んでみるか?」
「はい、よろしくお願いします。」
良かったー、無事に決まって。これで、瑠璃乃と試合に出られる。一安心した所で、先生がこんなことを言った。
「じゃあ、ペアが決まった所で、練習試合をしてみようか。」
「えっ?練習試合ですか?私は、ルールも知らないんですか。」というと、瑠璃乃がツッコミを入れて来た。
「だから、尚更って事だよ。ルール知らないまま本番になったら、大変でしょ?」
「確かにそうだけど、いきなりだし。というか誰と対戦するんですか?」
「綾と由美のペアと試合をやるんだ。」
と先生は言い出したけど、いきなり経験者ペアと対戦とか、無理でしょ。と思っていると、綾と由美が言葉を発した。
『それじゃあ、よろしく。いい試合にしようね。』
という二人に対し、すぐさま瑠璃乃も言葉を返した。
「こちらこそよろしくね。先に言っておくけど、手加減とか要らないからね。」
手加減無しで経験者と試合やるの?私が困惑していると、瑠璃乃が私にこう言った。
「本番の試合では、相手は手加減なんてしてくれないの。それに、もし今日手加減した相手に勝っても、実践で負けたらどうしようもないでしょ?」
「確かにそうだよね。う〜ん、頑張ってみる。」
私達の会話が終わった後、コートへ移動して、試合が始まった。
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