第2話

 ソフトテニス部に入部して、さっそく練習に参加した。しかし、待っていたのは、予想外の練習内容だった。


「今から外周と筋トレをします。一年生は、

先輩達について行ってね。それと、外周は学校まわり三周ね。」


 なんで突然外周なの?私は、体力が全くないから絶対走りきれないんだけど。しかも、その後に筋トレ?もう絶対倒れるよ...。そう思ったので、瑠璃乃にこっそりと聞いてみた。


「運動部の練習っていつもこんな感じなの?

私、やり切れるか分からないよ。」


と言うと、瑠璃乃は励ますように言葉を発した。


 「まぁ、毬花は元美術部だし、体力がないのはわかるよ。でも、やる前から諦めちゃダメだよ。出来る範囲でやってみようよ。」


瑠璃乃の言葉を受けて、確かに一理あると思ったので、頑張って走ってみることにした。


「分かった、やってみる。」


 そう言って、外周約2キロを走り始めた。


ランニング後...


 「マジで死にそう。後半、吐きそうになるくらい気持ち悪かった。」


「そう言う割には、走り切っていたじゃん。

よく頑張ったね。」


「まぁ、一度やると決めたからには、頑張らないとだから。」


「じゃあ、その調子で筋トレも頑張ろうか。

大丈夫、本当に倒れそうなら私が先輩に伝えて、抜けさせてもらうようにするから。」


「キツそうだけど、やるしかないか...」


 その後、私は人生で一番と言っていいくらい、筋トレをした。筋トレのメニューの種類がたくさんあって、数をこなしていくごとに、キツさが倍増していった。


筋トレ・部活終了後...


 「うぅ、しばらく動けない。帰りはおんぶして帰って。」


「それは流石に無理だけど、荷物は持ってあげるよ。」


「ありがとう、やっぱり瑠璃乃は優しいね。」


「そうかな?なんか、毬花が頑張っているから、サポートしているだけだよ。」


などと話している所に、あまり面識の無い子達が話しかけてきた。


 「かなり疲れているみたいだね。初日から、ランニングと筋トレは、流石に響くね。」 


「でも、メニュー自体は中学とあまり変わらなかったから、私はすぐに慣れそう。」


「私はそもそも、テニス経験が無いから、筋トレよりコートで打ちたかったなー。」 


 確か、この子達は練習中にも見かけたような...。でも、会話の内容的に先輩ではない、

という事は同級生? 

 私があれこれと考えている内に瑠璃乃が言葉を発した。


 「あなた達は、確か一年三組の...」


「うん、私たち全員同じクラスなんだ。そういえば、まだ自己紹介してなかったね。私は綾、中学時代、そこにいる由美とペアを組んでいたんだ。二人ともよろしくね。」


「そして私が由美。さっき綾が言った通り、中学の時、綾とペアを組んでいたの。高校でもペアを組めたらいいなって思ってる。話は逸れたけど、これからよろしくね。」


「最後は私だね、私は奈緒だよ。中学時代は、バトミントン部に所属していたから、ソフトテニス経験は無し。でも、高校から頑張りたいから、二人も一緒に頑張ろうね。」


 一通り自己紹介が終わったらしく、場の雰囲気が固まった時、瑠璃乃が話始めた。


「私は、瑠璃乃。中学の時からソフトテニスを始めたわ。隣の毬花と同じ中学出身。これからよろしく。」


 瑠璃乃に釣られるように、私も自己紹介をする。


「私は、毬花です。瑠璃乃と同じ中学で、ソフトテニスの経験は無し。よろしくね。」


 「なるほど、瑠璃乃は経験者で、毬花は未経験者なのか。そして、毬花がめっちゃ疲れていそうな所を見ると、毬花は元文化部とみた。」


 ばっちり綾に状況を当てられ、少し困惑しながら言葉を返す。


「そうなの。私は、元美術部で体力が全然無くて...。」と伝えると、奈緒がこんな提案をして来た。


 「じゃあ、今日一緒に帰ろうよ。私はチャリ通だから、荷物乗せられるし...。それに、自転車で二人乗りとかも出来るよ。」


「荷物乗せるのはまだしも、二人乗りはダメでしょ。」と由美がツッコミを入れる。 


 中学時代は、こんな風に部活の子達と話すことも無かったな。なんて思いながら、私は言葉を返す。


「分かった、一緒に帰ろう。もちろん、瑠璃乃も一緒にね。」


 「うん、帰ろうか。」


こうして、部活初日は幕を閉じた。その後も、筋トレや基礎練などを中心に練習を重ねていき、いつしか一か月が経過していた。

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