第一幕:ミナモトノウズマの冒険
第1話
ビョオオオオオオ…!
バシッバシッバシッバシッ!
ビョオオオオオオ…!
バシッバシッバシッバシッ!
生木の
ミナモトノウズマは頭が茶の柴犬をしている犬人である。
犬人は頭以外は体毛薄くニンゲンに近い種族で、ウズマは頭の茶色の毛並みから大量の汗を流した。
「朝から精がでるじゃないか、ウズマ」
頭が白い狐である白狐の民のフジワラノフジツチカノカミ、略してフジがやって来て、庭で稽古するウズマに声をかけた。
白狐の民は反対に人型だが皮毛が多い。
「フジ様。おはようございます。」
「うん。おはよう。」フジは軽く手をあげる。
フジとウズマは同じ年に産まれた。血による身分は上司と部下で違えども、小さい頃に遊びあった幼なじみの関係であった。
「今朝は折り入って、お前に話があるのだ。」
「話と申しますと?」
ウズマは棒を右脇に置き、土に拳をついて言葉を待った。
「うん、今度、
フジは少々勿体ぶった口調で話した。
「ウズマに道中の警護の長を任せたい。」
「…えっ!?」ウズマは思わず驚いた。
「出来るね?」
「何が何でもやりとげます!しかし、何故、
気合がはじける幼なじみに、フジは優しく声をかけた。
「帝は琵琶をもうひとつ手に入れた
「要するに、いつもの私の
「承知しました。身に余る大役ですが、是非ともやらせてください!」
ウズマの両親は、母親は
フジはこれを不憫に思っているのか、事あるごとにウズマを気にかけ
「今日の正午頃に琵琶を
「ウズマサ…」
幼年犬士は仮免許の呼称で、本来の犬士として成人する際に、名前改めてといって名前を変える。ミナモトノウズマサの響きにウズマの胸が高鳴った。
「頑張ります!」
ウズマは頭を深く下げた。
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