第13話朝はコーヒーで一杯
「あ~朝のコーヒーは美味いな」
テント前に座ってコーヒーを飲む。
面倒くさかったから缶コーヒーを物品交換したがなかなかの味だ。
朝日というより森の中だから明るくなったという感じの中で飲むのが良かったようだ。
今の俺は凄く充実している。なんというか万能感があるのだ。
『おはようございます~』
「お、おはようホネ子ちゃん」
視界にドアが出現して目元を擦りながらホネ子ちゃんが現れた。やはりテレビがあるな・・・。
『海外ドラマは嵌まりますね。生き残れたら今晩続きを見ます』
「そんなあっさりとネタバレしなくても」
聞くの楽しみにしていたのに。
『ご主人様は朝から元気そうですね・・・』
「ん?そうかな。ほとんど寝てないんだが」
『ええ~化け物ですか』
ドン引かれたよ。
昨晩はお楽しみでしたね状態だった俺。頑張ったよ、どのくらい頑張ったかというと途中ウトウトしたぐらいでそれ以外は頑張ってました。うん体が軽い軽い。
ちなみに性欲は無効にしてある。ちょっと俺の性欲はしばらくは封印した方がいいくら危険だ。
『義輝は・・・うわぁ』
ホネ子ちゃんがテントの中を覗き込んで絶句している。おかしいちゃんと綺麗に拭いてタオルケットを物品交換して掛けていたんだが。
『事後感が凄いです。なんですあの義輝っ、タオルケットがスタイルの形に盛り上がってますよっ』
ああ~それは確かに凄いよな。だから朝までコースになったんだよ。
義輝ちゃんは最初は抵抗したよ。でも力が1と10では差がありすぎる。抵抗むなしく頂かれて中身男だけど体は女性だから、まあ途中からは楽しんでいたんじゃないか。
義輝ちゃんは最高の女性だったとここに記しておく。
「ホネ子ちゃんみたいに痛みを無くしたりできないからさ、俺と義輝ちゃんの体力とか回復できない?」
『それは村Pを消費すれば出来ますが、ご主人様には必要ないのでは?』
「念のため念のため、今日一日は動くからさ」
『そうかもしれませんね。それでは体力回復っ!』
ん、なにか体が軽くなったような。やはり疲労は溜まっていたか。
『義輝、よーしーてーるー起きなさい。起きないとご主人様が第二ラウンドを始めますよ』
なんて酷い使われ方をするんだ俺。あと義輝ちゃんには第二ラウンドじゃないよ。第十五試合目になります。だから性欲無効にしてあるんです。村P解除には100村Pだったのに無効にするには1000村Pかかる理不尽さ、無限村Pとはいえ少しちゅうちょしたよ。
『あ、こらっそのままで外にっ』
「ぬあーもう嫌なのじゃ。余は乙女・・・いやおとこなのじゃぞ~」
義輝ちゃんがテントから出てきた。
寝ぼけまなこの義輝ちゃんの姿はタオルケット一枚、その巨乳に引っかかってズレ落ちることはないが、それがもの凄いプロポーションを浮かび上がらせている。
よかった性欲無効にしていてよかった。ホネ子ちゃんの前で獣になるのは困るからな。
義輝ちゃん自分の事を乙女と言っていたな、よしよし調教が効いているようだ。
ホネ子ちゃんが慌てて交換で白い着物を出して義輝ちゃんに着させた。その着物天井天下唯我独尊と染めてあるけどその字を選択したのはホネ子ちゃんだよね。
「サクゥー何か飲み物じゃあー」
「はいはい」
緑茶のペットボトルを交換して渡す。両手で持ってコクコク飲んでいく義輝ちゃん。
ふふふ、知っているかい今の義輝ちゃん無意識に俺の隣に座っているのだ。
『クズです。ご主人様がクズになり下がりました』
「いいじゃないか。どんどん依存させて離れられないようにしようぜ」
「ペットボトルは美味しいのじゃ~」
ほらまだ寝ぼけているからスリスリしてくるよ。意識がはっきりしたらどうなるのかなぁ。
「ほ~らコンビニの美味しいエクレアだよ~」
「ブルブル」
『クズな行動はしっぺ返しあるんですよ』
数分後、意識が覚醒した義輝ちゃんは素早い動きで俺から離れて恐怖を宿した目で俺を警戒していた。
「ホネ子ぉ~とってなのじゃ」
義輝ちゃんはホネ子ちゃんを両手で持って俺の方に差し出す。怖がってもエクレアは食べたいようだ。
『残念ながら私は貴方とご主人様に触れられている感触を疑似で表現しているだけです。エクレアは私には持てません』
「言っている意味がわからんのじゃ」
『無~理~と言うことです』
「いいから取るのじゃ~」
顔を背けながら限界まで腕を伸ばしてホネ子ちゃんを俺に向ける義輝ちゃん。生贄にされているホネ子ちゃんは映像だからいつでも逃げれるだろうにそのままということは義輝ちゃんに同情しているのかもしれない。
「そんなに嫌われることしたかな?」
「あれは人の所業ではないっ!鬼じゃっ悪魔じゃっ!」
『経った一晩で大抵のことを忘れる義輝にトラウマを刻み付けたご主人様は凄いですよね。ちなみに義輝、折れ鍬赤フンとどっちが怖いですか?』
「・・・折れ鍬赤フンじゃ。あやつは人が道具に見えとる。サクはまあその、のう」
『残念ご主人様、トラウマ一位にはなれませんでしたね。でも少しデレてますよっ』
「途中からは義輝ちゃんのほうが積極的だったからな」
「フギャーッ!ギニャーッ!」
顔を真っ赤にして義輝ちゃんが突撃してきた。咄嗟の事で避けることが出来ずに俺が下、義輝ちゃんが上の構図になった。白髪巨乳美少女に襲われる凄い状況。
「なるほどこれがラブラブイチャイチャというやつかな」
『絶対に違うと思います』
「記憶を失うのじゃーっ!」
「記憶喪失の俺に何という非道な。まだ一日も記憶していることはないんだぞ」
『大半が義輝の痴態では?』
「まあそうだよね」
「キシャーッ!」
性欲無効にしておいてよかった。第十五試合目が始まっていたよ。
「ところで辞世の句は読んだのか?」
しばらくキャットファイトで楽しんだ後は俺の胡坐に義輝ちゃんはいた。今は落ち着きを取り戻して新しく物品交換したエクレアを頬張っている。ホネ子ちゃんは久しぶりに俺の頭頂部にパイル〇ーオンだ。
すでにその表情からは恐怖や羞恥心は無い。話せば思い出してキャットファイトの義輝ちゃんが復活するだろうが。ちょっとその嫌な事は忘れられる精神構造を調べてみたいものだ。
「なんで?」
口の周りをチョコとカスタードで汚しまくった義輝ちゃんが変な事を聞いてきたので、つい疑問系で返してしまう。
「ん?もうすぐ死ぬのじゃろ未練を残すと余のようになるかもしれんのじゃ」
「は?なんで死ぬの?」
「ん?」
「は?」
義輝ちゃんは後ろにいる俺を見上げて首を傾げ、俺は見上げる義輝ちゃんを見て首を傾げる。
『義輝はご主人様が生存を諦めて昨晩ことに及んだと考えているのでは?私もそう思っていますし』
「んーあーっはいはいっ」
ようやくお互いのズレがわかったよ。なるほどこの二人は俺が死ぬのを覚悟したからヤケを起こしたと思っているんだな。それだったらやけ酒とやけタバコして安全領域が解除されても寝るぐらいしている。
「別に死ぬつもりなんてないぞ。暴走するだけのイノシシなんてたいして手間もかからん」
「『はあ?』」
義輝ちゃんはこいつ何言ってんだという顔をしている。たぶんホネ子ちゃんも同じだろう。なんだ俺は二人に馬鹿にされているのか?
「サクよ。イノシシといってもなかなり大きいのじゃぞ」
『そうですね軽自動車ぐらいはありますか』
「刀も槍も致命傷にもならん。毛で弾かれるだけじゃ」
『銃もアサルトライフルぐらいではフルオートでもそう簡単には死にませんよ』
「へ~そりゃあ凄いな」
俺の知っているイノシシとは大違いだ。二人が諦めるのはしょうがないか。
「それってああいうやつか?」
俺は正面、安全領域の先を指差す。
義輝ちゃんがシャーッしたらしい木の先に軽自動車並みのイノシシが現れた。
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