第9話永久村人義輝ちゃん


「腹が減ったのじゃ」


 ググゥーと腹を鳴らす残念美人の義輝ちゃん。お腹に手を当ててしょんぼりして可愛いが中身は男将軍様だとわかると微妙だ。


『寝て食うとは三大欲求のままに生きてますね』

「俺その一つが停止中」

「あの骨はおらんのか?しゃぶればいい味が出そうなんじゃが」


 キョロキョロと見回す義輝ちゃん。


『ひいっ!わ、私を食べようとしてますよっ』

「おちつけホネ子ちゃん。すでに俺の脳内にいるし触れることは出来ないんだろう?」


 両腕で自分の身体を抱きしめてカタカタ震えるホネ子ちゃんを安心させる。


『はっそうでした。や~いそのまま餓えて餓死しちゃえ~』


 自分の状況に気付いたホネ子ちゃんは義輝ちゃんに中指を立てた下品なポーズを取る。俺の記憶からかのなのかな~ちょっとやめて欲しい。


「おぬし何をブツブツと・・・はっ、もうこの世界に耐えられず気が狂うたのじゃなっ。ならその着物はいらんの、ほら余によこすのじゃ。あとそのまま死んでくれ美味しくいただくからの」


 やっべ~普通に食人しようとしているよ。


『輪廻転生のせいで忌避感がゼロになっていると思います。人よりほかの生物でいるときの方が圧倒的に多かったでしょうから同族オッケーになってしまったみたいですこれはもう手遅れですね。村人はご主人様の権限で爆発四散出来ますから、さあ押してくださいっ』


 【義輝ちゃんを爆発四散させますか?】を表示させはい、いいえのいいえを骨の身体で隠してはいを勧めるホネ子ちゃん。どっちも俺からしたらたいして変わらないぞ。

 そして俺の着物を脱がせようとした義輝ちゃんにはアイアンクロ―をしながらの中指を弾いてデコパッチン。


「あだっ、あだっ、あだだだだだっ!なんじゃその技はっ。常に痛いのにもっと痛いのがくるのじゃっ」


 パチンパチンと痛みを与えて躾しないとな。でも義輝ちゃんだから三歩・・・いや三秒ぐらいか覚えているのは。


「義輝ちゃんにホネ子ちゃんの言葉が届いてないんじゃないか?」

『あ~ご主人様の脳内にいますから義輝には聞こえませんね』

「それじゃ俺は義輝さんから空中を見ながら変人に見えると・・・」


 おおお、アホの子からの変人扱いはダメージがくるな。


「余はおぬしを見捨てぬぞ」


 アイアンクロ―をされたままの義輝ちゃんが俺を優しく見つめてくる。くっ自分より下のやつに憐れるとは・・・死ぬか、もう生きていけない。


「じゃからその着物くれなのじゃ。あと三日は生きたいからの腕も一本あればアダダダダッ」

「よし義輝ちゃんにホネ子ちゃんを見えるように出来るか」

『村人洗脳システムがありまして、私が知覚できるようになりますけど義輝ほどの人格があると少しおかしくなるかもしれませんよ』

「いいよいいよ、どうせ元からおかしいし精神バグキャラだから変わることは無いだろう」

「余おかしくなるのかっ!?せめて焼いた肉が食べたかったのじゃぁ・・・」

「その瞬く間に諦めるのは凄いよな」

「諦めた方が楽に死ねるからのぅ。猪ときはヒャッハー達に丸一日追いかけられ矢で射られ槍で串刺しじゃぞ。死ぬと思うたら人は諦めた方が楽なのじゃ」

『3578万7391回も死んでいるとなかなかの重みがりますね』


 悲しい生き方ではなくて楽な死に方とはどれだけのツッコめばいいんだろうか、まだ雨乞い2.14の世界にもちゃんとツッコんでいないのに。


「義輝ちゃんの許可も取れたことだし、ゆけホネ子ちゃんっ脳をコリコリッとするのだっ」

『ははぁっ!』

「なんか余凄いことされるのかのぅ」

『ポチっとな』


 俺が許可したので義輝ちゃん奴隷村人洗脳システムと表示されてホネ子ちゃんがはいをドロップキックで蹴り込む。

 ちょっとまて奴隷?


「ん?なんじゃ余を奴隷村人じゃと?余は将ぐっ!がががががっ」


 何か言おうとした義輝ちゃんが途中でバグった。

 天を見上げ、白目を剥き、舌がレロレロ動き、指が狂ったように動く。


「これ大丈夫なの?」

『大丈夫ですよ。ちょっとご主人様に逆らえないように一般村人ではなく奴隷村人に変更したので強制刷り込みが脳の処理能力を超えているんです』

「ふぎゃおぅっ!すみゃりぃひぃっ!ひゃれびゅひょっ!」


 一応、一応よ。義輝ちゃんは白髪巨乳美少女なのよ。百年の恋も冷めるな、まあ経った数時間前の追い剥ぎされかけてゴッツンコの出会いだけど。

 上半身に電気を流されているのに座っている姿は〇点の黄色い人。もしかして子孫?


「にゅうぅぅ」


 義輝ちゃんは最後はバンザイ状態で前のめりに倒れた。ひれ伏した姿に一ミリも将軍様の権威は存在していなかった。


『再起動まで三十秒です』

「人は時間通りに復活しないよホネ子ちゃん」

『大丈夫です奴隷村人になったからには脳天電気ショックで一発起床できます』

「それは心臓に悪そうだなぁ」

『ならば足小指がタンスで激痛のほうが』

「それを寝てるときにされたら起きてもしばらくは役に立たなくなるって」

『では両方で』

「はぎゃっんっ!」


 三十秒経たずに拷問プレイで強制起床の義輝ちゃん。


「ぬをぉぉぉっ、頭の先がっ小指がっ、にゃにか知らんこと知っとるぅ!」


 頭の頂点部、足の小指を手で押さえて転げまわる義輝ちゃんを見るのは楽しいけど、いろいろと確認しないといけないので。


「へいっホネ子ちゃん。義輝ちゃんの痛みを治して」

『しょうがないですね。ほら私が治してあげますからちゃんと恩を返すんですよ』

「お、おおぅ痛みが治まったの。頭に変な声が聞こえてくのじゃ」

『失礼な、これからお前の飼い主になるホネ子ちゃんですよ。ワンと鳴け』

「なんじゃっ!余は征夷大将軍足か」

『先端にビリッ』

「きゃうっ」

『ほらワンと鳴け将軍(笑)』

「ワン」


 半泣きで胸を擦りつつ鳴く将軍(笑)。


「一撃で上下関係が決まるとはさすが義輝ちゃんだ」

「ふふん、最後に勝てばいいのじゃ」

『肉体、精神の殆どを握られているのにいい度胸です』


 ホネ子ちゃんが義輝ちゃんの前に出現してシャドーボクシングを始める。


「なんじゃさっきおった骨ではないか、肉でもこびりついておればよかったのにの」

『ふん、三秒も経たずに上下関係を忘れる将軍(笑)にはお仕置きです。くらえJET〇ッパーっ!』

「はぎゅぅっ!」

「俺の記憶から出したみたいだけどアウト、それはアウト」


 JET〇ッパーを巨乳に下からくらって悶絶する義輝ちゃんに、腕を上げて勝利宣言中のホネ子ちゃん。よし義輝ちゃんにはホネ子ちゃんは見えるようだ。


「俺以外に触れることが出来ないホネ子ちゃんが義輝ちゃんにダメージを与えたのはなんで?」

『あれは私の映像に合わせて電撃を与えただけです。私に触れられるのはご主人様のみっ!村人には電撃で触れたことをあらわしていきますっ』


 俺のオペレーターは肉体言語派か。まあ俺には実害は無いから別にいいや。


「これで三人で会話出来るな」

『別にこいつに会話なんて必要ないと思いますけど?』

「酷いのじゃ~余のボインは下からの攻撃には弱いのじゃぞ~」

『ほらまったくこちらの話を聞いていない』

「だいたいなんじゃこれ、余は雨乞い2.14の世界に転移した?血と鮮血が飛び散るほのぼの村育成ゲームというのは矛盾しておらんのか。いやそんなことよりもこんな気が狂った世界に転移するなんて、どれだけ余は運がないんじゃ・・・泣くぞ、余は泣いちゃうぞ」


 あれ?義輝ちゃんの様子がおかしい。


「ホネ子ちゃんやい、義輝ちゃんが現代日本語を話しているような」

『あまりにも本能でしか動かないアホの子なので奴隷村人システムの他に少し私達の会話についていけるように雨乞い2.14の知識を最低限、あと現代日本語エンジンを組み込んでみました』

「いちいち教えなくてもいいということだな。でも容量が小動・・・虫レベルの義輝ちゃんの頭脳に搭載できるの?」

『それが容量は人並みにあるんですよ。ただ大部分が全く使用された痕跡がありませんでした使用領域が三パーセントで人って動けるんですね』

「あ、なんとなく他の生き物に転生しても義輝ちゃんのままかわかったぞ三パーセントしかないから、小動物でも損なわれることもなく義輝ちゃんでいられたんだよ」

『義輝自身が少ないから小動物にも意識が搭載できたんですね。さすがご主人様っ、義輝ことにかけては第一人者ですねっ』

「へへっ照れるじゃないか」

「余の事で酷いことを言われているのはわかるのじゃが意味がわからんのじゃぁ」


 さすが義輝ちゃん知識はあっても使いこなすことが出きない三パーセントの女。


「では俺達の現状を話し合おうか」

「ん~夜になったら猿で死亡じゃろ?猿に自分のはらわたを振り回されているのを見るのはキツイのじゃぞ」


 なんだその恐怖の猿は。

 泣いていた義輝ちゃんは頭にホネ子ちゃんを乗せて座る。髪の毛が何束か持ち上げられてアホ毛にされている。触れることは出来ないのにアホ毛になっているのは体を完全に掌握されているからだろうか。


「それはどうにかなったんだよ。周りに青い膜が出来てるだろうこの中に入っていれば猿に見つかることはないらしい」

「は?」

『明日までは三大死でも近くに来ない限りは安全にいられます』

「お、おおぉぅっっ。余はっ余は久しぶり怯えず痛みもなく起きたら違う生き物に転生していることにガッカリもせずに眠れるのかっ」


 膝立ちで両腕を天に突きあげ叫ぶ義輝ちゃん。それは少し俺の記憶が組み込まれているような知識にあるぞそのポーズ。


「義輝ちゃんは一言ごとに新鮮なおもしろ情報出してくれるわ」

『その生、全てがボケで出来ているを体現している存在ですから引き出しで勝てません』

「でも話が進まないんだよな」

『やはり電撃一発で気絶させたほうが良いと思うのですが、脳に直接流し込めば楽ですよ』

「いや後で余は聞いとらんと言いそうだからな聞かせておけば忘れていても何の呵責もなく罰を与えることが出来る」

『さすがご主人様、自分の為だったんですね』

「余それなりに記憶はいいからな?嫌な事はすぐ忘れるだけじゃ」


 ほら自分で言っているし。


「まあ青い膜で明日までは大丈夫というこだ」

「明日まではぐすっり眠れる最高環境ということじゃな。そして起きたら幹に頭をゴッツンして来世にGOじゃ」


 語彙が現代になっても義輝ちゃんは義輝ちゃんだったみたい。輪廻転生に超前向き。

 俺も巻き添えに死ぬから勘弁してほしい。


「ゴッツンはしなくていい」

『私達に協力してくれたらしばらくは人のままで生きられますよ』

「なぬ?」


 よし関心を引けた。畳みかけなければすぐ義輝ちゃんは引き出しをポンポン開けてくるからな。


「今なら俺達はある程度生きていけることこになったの。この青い膜も安全領域と言ってな俺とホネ子ちゃんが張れるんだよ」

『それもこれもご主人様のおかげです』


 村人としてか価値無しの彼女、普通は恩を感じるところだが。


「それなら余の為にこれからも尽くすのじゃ」

「ほらすぐこの子は調子に乗る」

『こいつご主人様の力のおかげで自分の命が伸びたのに感謝もしないんですね』

「そこは元将軍だから」

『私達より上の自分本位でしたね。実力が伴っていない将軍ですが、はい弱電流』

「ぎにゃにゃにゃにゃっ!?」


 外すことが出来ない電流パッドはつらいな、ついている部分は一応美少女なのでこれ以上は言うまい。

 この子を今後村人にしないといけないのか超面倒くさい。技能に天井天下唯我独尊とかあったから従うはずないよな。利でコントロール・・・出来るかなぁ。


(ご主人様ご主人様、私達だけで直通で会話できるように設定しました。喋っている感じで考えてくれれば私に通じます)

(!?でかしたホネ子ちゃんっ、これで義輝ちゃんに有利に立てるぞ)

(私達に逆らえないとこの駄肉に刻み込んであげましょう)


 ホネ子ちゃんは義輝ちゃんが嫌いだよね。

 義輝ちゃんが痺れている間に話しを合わせないとな。


(義輝ちゃんが俺の村人から抜けたらどうなる?)

(ただの死亡だと村Pで復活できるので一日なら大丈夫です。ご主人様が殺害、義輝本人が村人を止めるのを決めた場合はおそらく膨大なペナルティが発生して爆発四散です)

(義輝ちゃんは諸刃の剣じゃなくてチェーンソーなの?)

(今は長さがわからない導火線に火がつている状態ですね。奴隷村人化はしているのでご主人様に逆らえないですけど村人解放の権利は義輝本人が持っているんですよ)

(それはやばいな義輝ちゃんなら何も考えずに解放されるぞ)

(なので村人解放権利をご主人様に移行される永久村人にしてください。ただ永久村人になるには本人の承諾がないとだめなんですよね)

(つまりさっさと奴隷契約にハンコを押さしちまえと)

(さすがご主人様、私とツーカーです)


 俺達の村Pの湯水の源泉になってもらおうか義輝ちゃん。


(物品交換します?角砂糖一個でおもちゃの猿の様に喜びますよこの猿)

(義輝ちゃん相手にいらないよ。その永久奴隷のウインドウを出して)

(メッ!永久村人ですよご主人様。建前は必要です)


 注意するけどウインドウが現れたとき永久奴隷と書いてあったのを見逃さなかったよ。瞬時に村人に修正されたけどさ。


「うううぅ。余の身体はいったいどうなったのじゃ?」


 胸を抑えて半泣きの義輝ちゃん。


「義輝ちゃん義輝ちゃん。ちょっとこれ押してみて」

「ん、なんじゃ?おおこれがウインドウというものか、見たことが無いのに見たことがある感覚は変なものじゃのう。ポチっとな」

『うわぁ・・・知力マイナス10だけはありますね』

「凄いだろう義輝ちゃんの第一人者の俺も少し引いてる」


 この子に契約させたら破滅にしかいかんな。これからは俺とホネ子ちゃんで管理していこう。


 ポーン

【義輝ちゃんが永久村人に降格しました】


「は?なんじゃこりゃああぁぁっ!?」

「ホネ子ちゃんや奴隷村人より降格してるぞ」

『唯一の村人解放権利を手放したので降格なのでは?』


 降格を表示したウインドウを持って叫ぶ義輝ちゃん。

 ご利用は計画的に、手遅れだけどな。



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義輝ちゃん

一般村人→奴隷村人→永久村人に短時間で変更されていってます(;・ω・)

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