第6話雨乞い2.14のシステムは超ヒデェ
『ご主人様ー?ごーしゅーじーんーさまー。生きてますかー?死んでいたらこう親指グッにして上げてください』
「死んでたら出来ねえよ・・・」
『あ、生きてますね』
うおおぉぉぉ。二日酔いの時より酷い頭痛だ。
『パンパカパーン!おめでとうございます雨乞い2.14のシステムがインストールできました!』
「ま、まって、声を抑えて死ぬ・・・マジで死ぬ」
頭の中で声が反響して大きくなって頭蓋骨が割れそうになる。
『では小さい声でうーさーぎ美味しいかのやーまー』
「それは美味しいじゃなく追いしだ・・・」
『小舟釣り師鹿野川』
「全然違う」
誰だよ小舟の釣り師鹿野川さん。
あー少しずつ回復してきたぞ。二日酔いではないから回復も早いのかもしれない。やはり俺は成人男性のようだな、じゃないと二日酔いの状態なんて知るわけないし。
『あ、回復できますからしますね。えいっ』
「・・・」
一瞬で頭スッキリだよ。
「うん、もう少し早くお願いするねホネ子ちゃん」
『私ドジっ子機能が付いてまして。てへっ♪』
ナビゲーターに余計なもの付けるんじゃねえよ。
今の俺は空を見上げて寝ていた。たぶん意識が無くなった時にそのまま後ろに倒れたのだろう。よく死ななかったな。
「俺が意識を失ってからどのくらい経った?」
『約三十分です。獣かヒャッハーが来てたらゲームオーバーでした』
忘れてた修羅の国より酷い世界だったことを。
『システムの確認をしますか?』
「するけどホネ子ちゃんはどこにいるの?」
さっきから近くで話しているのはわかるが姿が見えない。耳を通して聞こえているようには思えないような。
『私ですか?ご主人様の脳内ですっ』
おう本当に直接通話のようだ。
ようやく入れましたーっとはしゃいでいるホネ子ちゃん。脳内彼女ではなく脳内骨格標本はどうなんだろうな。新しいマニアがつくだろうか。
『私がパイル〇ーオンしたことで記憶は戻りました?』
「いや全然、日本が令和だったとか常識的なことはたぶんわかるけど自分がどこに住んでいたとか名前はとはさっぱり。そしてパイル〇ーオンは言ったらダメ」
それだと俺の脳みそ空っぽでホネ子ちゃんが操縦することになるじゃないか。
『う~んやっぱりアホの子のせいですね。〆ませんか?ほらちょうどご主人様の上で寝てますから首をコキッとすればイチコロですよ』
「え、」
なにか重たいと思っていたら俺の上で義輝ちゃん寝てるの?
頭を上げて見ると大の字なっている俺の上に同じように大の字で義輝ちゃんが寝ていた。羽交い絞めにしていたまま倒れたから一緒に倒れたのかもしれない。
『最初はどうにか逃げ出そうともがいてたんですけど羽交い絞めから逃れられないと理解した途端に寝始めました。なんですかこのナマモノ、人慣れしすぎた猫より酷いですよ』
「言ってやるな。おそらくこの世界で諦めずに行動しても無駄と本能に刷り込まれて、寝ている間に死ねば楽だと思っているんだろう」
『記憶喪失で転生して一日も経っていないご主人様が何度も転生しているアホの子のことがわかるんですかねー』
それは超簡単、義輝ちゃんが本能でしか動いていないアホの子だから。俺と会ってから本能でしか動いてないもの、そりゃ将軍やってるときもアホの行動をしているはずだよ。
「ほっておこう。義輝ちゃんは後々に何度か必要になる鍵みたいなものだ」
『あー一番最後に見つかる鍵さえ手に入れれば何の価値も無くなる途中の鍵ですね』
なんだろう俺の記憶はホネ子ちゃんにあるのによく合うのは、知識と記憶は違うのか?
「よしまずは今晩を乗り越えるためのシステムを見てみるか」
『了解ですっ!それでは雨乞い2.14システム起動っ』
ピコン
電子音が鳴った後に雨乞い2.14システム起動と枠に囲われた文字が視界の中心に現れた。
なるほどVRゲームみたいなものか。たぶん俺はしたことがない、なんとなくだがテレビで知ったという感覚がある。
ピコン
名前は?
最初はそれだよな。でも今の俺は記憶喪失。俺の記憶があるホネ子ちゃんは知っているのだろうか。
ピコン
ステータスが表示される。
ピコン
アイテム欄が表示される・
ピコン
目標指定
「いや、ホネ子ちゃ」
ピコンピコンピコピコピコピピピピピピピピ
止めようとホネ子ちゃんに声を掛けようとする前に電子音が連続化して様々なウインドウが視界を埋め尽くしていく、それはウイルスが侵食したパソコンのようだ。
「全部消去だホネ子ちゃんっ!」
『了解ですっ』
ほぼ視界がウインドウで埋め尽くされたると同時に全てのウインドウが消え去った。
はーっと息が漏れる。ちょっとシャレにならない現象だ見るだけで頭がおかしくなりそうだった。
「あれなに?バグ?ウイルス?」
『ごめんなさいです。あれ日照り神様専用システムでした』
「ああ、NPC用ね」
『いいえある人物が自分用にカスタムしたものです』
「は?」
『人の処理能力って凄いですよね。あれをテレビ画面で見てコントローラーで処理できるんですから』
うんその人絶対におかしい。
「普通のそう今晩なんとか生き残れるぐらいのシステムをお願い」
あれだと視界は全部塞がれるし電子音で狂っちゃう。
『了解でーす』
ポンとさっきとは違う可愛らしい音が鳴った
【村を作る前に安全を確保しよう】
「お、今度はまともそうなやつだ」
『でしょでしょ。通常は雨乞い2.14の開始時点である程度の規模の村長から始まるんですけど、ご主人様はボッチからのスタートですから0.000036秒も探して見つけてきました褒めてくださいっ』
「うんホネ子ちゃんは凄いね~」
無自覚で毒吐くよなウチの脳内ホネ子ちゃん。
え~と指で押せばいいのかな。
【まずあなたは一人ですね】
お、変わったな。つぎつぎ。
【雨乞い2.14の世界では最低村人十人いないと一日経ったらゲームオーバーです。爆発四散します】
「ちょっと待て」
すでに詰んでいるぞ。
【でも大丈夫っ!あなた一人で十人分とシステムを勘違いさせればいいのです】
「システムがシステムを裏切ろうとしている・・・」
【雨乞い2.14の世界では強者は絶対っ!強き者は村人十人以上と認識されます】
「おい」
【なので制限時間の一日の間に獣とヒャッハー達を狩りに狩ってください。そうすればあなたは一人で村一つを維持しているとシステムが勘違いしてくれます。行けっ挑戦者よ!孤高の強者となるのだっ】
「・・・」
俺はウインドウの右上にあるバツ印を無言で押して消去した。
『どうです役に立ちましたか?えっへん私は出来る骨なんですっ』
「ちょっと俺の脳内から出てこいやあぁぁっ!」
叫んだ俺はきっと許されるだろう。
『えっ?えっ?何でですかっ?』
困惑した声のホネ子ちゃん。この子もポンコツなのか~これは今晩で俺の死亡確定か。
「まず姿だせや」
脳内から出てこないと顔を合わせて説教できん。
『何で起こっているのかわかりませんけど・・・はい』
視界の右端下に小さなドアが現れ、それが開いて2Dキャラになったホネ子ちゃんが出てきた。
「なにそれ?」
『え、私もシステムの一部ですからご主人様の視界に表示できますよ』
くっ手で掴もうとしてもすり抜ける。ああもうめんどいっこのままでいい。
「俺は生き残れるシステムと言ったよな」
『そうですね』
「そうしたらさっきのやつだ。ただのテキスト文章だけ」
『え?』
「しかも周りの獣とヒャッハーを狩ってシステムを誤認させろというこのゲームを全否定のことしか書いてなかった」
『ええぇぇっ、ちょ、ちょっとお待ちをっ』
ホネ子ちゃんが慌てて上を向く。何か受信しているのだろうか。
『大変申し訳ございません』
受信し終わったホネ子ちゃんがそのまま土下座に移行した。骨なのに綺麗な土下座だ。
『あのシステムは暴君閻魔用システムでした』
「それって三大死とか言ってたやつじゃねえかよ」
『はい村育成完全放棄用システムです。今のところは暴君閻魔しか使用できないので個人システムになっています。今のご主人様が生き残れる最後のシステムです・・・』
え、なんて言った?
『ごめんなさい・・・もし今夜を生き残れたとしても明日になったら村人が十人不足でゲームオーバーです。そしてその村人十人を明日までに用意でることが不可能です』
おう俺はすでに終わっていたのか。
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