エピソード21

「あれから連絡ないの?」

凛が言った“あれ”を私は出来れば思い出したくはなかった。

「あれ?なんの事?」

だから、私はとぼけてみた。

もしかしたら、私が想像している“あれ”と

凛が言っている“あれ”は

全然、別物かもしれないし……。

そんな淡い期待を凛は見事にぶち壊してくれた。

「綾の“テキーラで記憶をなくして響さんに家まで送って貰っちゃいました事件”の事だよ」

さすがは、私の大親友。

意志の疎通は完璧だ。

「……」

「良かったね。響さんともアリサっちとも距離が縮まって」

「……」

「“槍降って地固まる”ってまさにこの事だよね」

「……」

「いや~凛さん、今日もいい事言うね」

「……凛……」

「なぁに?」

「それ……間違ってる」

「えっ?間違ってる?何が?」

「“槍降って地固まる”じゃなくて“雨降って地固まる”だよ」

「……!?」

「……」

「……もしかして、私、残念な感じになってる?」

「……うん、かなり……」

「あはは……でもさ、べつに槍でも雨でもどっちでも良くない?」

「……全然、良くないわよ。槍が降ってきたら流血事件になるじゃない。そんな事になったら固まるもんも固まらないわよ」

「……それも、そうね。あはは……」

「はい、そこ。笑って誤魔化そうとしない」

「……!!」

顔を引きつらせた凛に私は思わず吹き出した。

そして、凛も私につられるように笑い出した。

一頻り、笑った凛は

瞳に涙を浮かべながら

「……それで……」

「えっ?」

「響さんから連絡はないの?」

核心を突いて来た。

……話の流れが変わったと思ってたのに……。

「……あるわよ」

「やっぱりね」

ニヤリと笑った凛の顔が私には小悪魔に見えた。

「どのくらいの頻度であるの?」

「……毎日……」

「えっ!!毎日!?」

凛の声が食堂に響き渡った。

「……凛、声がデカい……」

「ごめん、ごめん!!」

凛は、なぜか小声で謝った。

……別にそこは普通の声でよくない?

そう思ったけどそこには敢えて触れなかった。

「で、毎日、連絡があるの?」

「うん」

……そう、あの日を境に響さんから毎日連絡が入る。

別に何か用事があるって訳じゃなく

『今日はちゃんと学校に行ったか?』とか

『今日は店に出るのか?』とか

そんな、電話がほとんどだったりする。

響さんは相変わらず毎日忙しいみたいで

分刻みのスケジュールを消化しているらしい。

だから、響さんにはあの日以来会っていない。

でも、響さんは忙しいスケジュールの合間をぬって連絡をくれるから

何気に響さんのスケジュールを私が把握していたりする。

今日も朝から連絡があったから響さんが今、どこで、何をしているのか知っていたりもする。

「響さんって結構マメな人なんだね」

凛が感心したように呟いた。

だけど、それは私に話し掛けてるって感じじゃなくて独り言って感じだった。

「……?」

だから凛が私に返事を求める事もなく

「会ったりはしないの?」

次の質問をぶつけて来た。

「響さんも忙しいそうだから……」

「そっか~」

「……でも、今度の日曜日に会う約束はしてる」

「は!?日曜日!?」

そう言った凛は本当に驚いてるって感じで……。

「う……うん」

そんな凛にこっちまで動揺してしまった。

「それって、響さんから誘われたの?」

「うん。そ……そうだけど?」

「その日、何をするの?」

「さ……さぁ?ただ、会う約束しかしてないから分からないけど……」

「……そっか……とうとう響さんも本気を出して来たか……」

ブツブツと何かを呟いた凛の声を私は聞き取る事は出来なかった。

こんな時、凛は大抵自分だけの世界に入っている。

要は、凛の頭の中がすっごい働いてるって事なんだけど……。

そんな時に、私が話し掛けても凛の耳には届かない。

……まぁ、いっか……。

私は凛をしばらく放っておく事にした。

数分後、やっと自分の世界から戻って来た凛が口を開いた。

「あの日、響さんと何かあった?」

「は?何かって何?」

「例えば……酔った勢いでつい……みたいな?」

「さぁ?」

「『さぁ?』って……」

「だから、記憶がないんだってば……」

「あっ、そうだったね」

「うん」

「でも、あの日、目が覚めてから響さんに電話したんでしょ?」

「うん」

「その時、響さんは何も言ってなかったの?」

「うん」

「そっか~」

あの日、アリサに連絡をした後すぐに響さんにも連絡をした。

電話を取った響さんはいつもと全然変わらなかったし

記憶がないって事を説明すると『別に心配するような事は何もしていない。気持ち良さそうにぐっすり寝てた』って苦笑してた。

だから、それ以上は何も聞かなかった。

響さんは私を部屋まで送ってくれただけ。

洋服を脱いだのも響さんが帰った後で、トイレかなんかで起きた時に寝ぼけて脱いだんだろう。

私は、そう解釈していた。

「いつまで飯食ってんだ?」

呆れ果てたような声に振り返ると

そこには、ダルそうな雰囲気を纏った瑞貴が立っていた。

「あっ!!瑞貴だ!!用事はもう終わったの?」

嬉しそうな声を出した凛に

「あぁ」

瑞貴はやっぱりダルそうに答えてから、私に視線を向けた。

「もう、食べ終わるか?」

「うん、あとアイスコーヒーだけ」

「なら、タバコ吸いに行こうぜ」

「瑞貴はご飯食べたの?」

「あぁ」

「そう」

私は残っていたアイスコーヒーを飲み干した。

それを見ていた瑞貴は、私がグラスをテーブルに置くと

「行こうぜ」

促すように顎で食堂のドアを指した。

「ちょっと待ってよ!!」

そう叫んだのは凛で……。

「私はまだ食べてる途中なんだけど!!」

まだ半分くらい残っているうどんの丼を指差していた。

「……別にお前はゆっくり食ってから来ればいいだろ?」「はぁ?私に1人でご飯を食べろって言ってんの!?」

「……」

「1人でご飯食べたって全然美味しくないし!!」

「……」

「……大体、ちょっとくらい私にも優しくしてくれてもいいじゃん……」

「……分かったから早く食えよ……」

今回の凛と瑞貴の熱戦は圧倒的な口撃を放った凛の勝利だった。

2人のやり取りに私は思わず苦笑してしまった。

◆◆◆◆◆

土曜日の夜、お店に向かう途中凛から電話が掛かって来た。

何度も「今日、バイトが終わったら連絡ちょうだい!!」ってしつこく言われた。

「……凛、もう分かったから……」

……なんで今日はこんなにしつこく言うんだろう?

そう思いつつも、なんとか凛を納得させて電話を切ると、

その瞬間に瑞貴からも電話が掛かって来た。

「……はい」

『今日、バイトが終わったら溜まり場に来るんだろ?』

瑞貴は開口一番そう言った。

……一体、なんなのよ……。

「うん、そのつもりだけど?」

『あぁ、それならいい。じゃあな』

瑞貴はそれだけ言って電話を切った。

……は?

……なんなのよ?それ……。

私は呆然とケイタイを見つめた。

……おかしい……。

……よく分からないけど、何かがおかしい。

瑞貴と凛のいつもとは違う言動に私は不信感を抱いていた。

2人の怪しい行動の理由が分かったのは、私がお店に着いてからだった。

いつもと同じように裏口からお店に入った私は、マリさんが待つ部屋に向かった。

「……おはようございます」

ドアを開けていつもと同じように挨拶の言葉を口にした。

『綾乃ちゃん、おはよう』

マリさんの元気な声が私を出迎えてくれる。

いつもと変わらない日常の光景がそこには……なかった。

いつもはここにいない雪乃ママがそこにはいた。

「おはよう、綾乃ちゃん」

「雪乃ママ!?」

マリさんの隣でニッコリと微笑んだ雪乃ママが

「綾乃ちゃん、準備が出来たら私の部屋に来てくれる?」

……えっ?

雪乃ママの部屋!?

「は……はい」

「待ってるわね」

笑みを絶やす事なく、雪乃ママは控え室を出て行った。

……大好きな雪乃ママの笑顔が今日は怖く感じてしまうのはなんでだろう?

『綾乃ちゃん?どうしたの?顔色悪いよ』

「……マリさん」

『なに?』

「私、何かやらかした?」

『えっ?なんで?』

「……だって雪乃ママの部屋に呼び出されたんだよ?」

『呼び出された?……まぁ、それはそうだけど……。何か心当たりでもあるの?』

「……」

「……?」

「……ない……」

『ないなら、大丈夫じゃない?』

「いや、ないから怖いんだけど……」

オロオロと狼狽気味の私をみてマリさんは苦笑している。

『大丈夫だって!!とりあえず準備しよ?』

「う……うん」

マリさんに促された私はその狼狽っぷりを思いっきり披露しながらも着替えを始めた。

『綾乃ちゃん、今日も綺麗よ』

いつもと同じマリさんの言葉。

お店に向かう私をマリさんはいつもそう言って送り出してくれる。

この言葉を聞いて、私は“綾”から“綾乃”に変わる。

……変わるんだけど……。

今日は無理。

できればこのまま“綾”でいたい。

『もう!!綾乃ちゃん、そんな顔しないの!!』

「……だって……」

『大丈夫だって!!』

「……」

『雪乃ママが待ってるよ。早く行っておいで……』

……マリさん。

完全に他人事じゃん。

私が横目でマリさんを見つめると

『ほら、早く!!』

「う……うん」

『行ってらっしゃい!!』

「……行ってきます……」

半ば強制的に控え室を追い出された私は仕方なく雪乃ママが待機中の部屋へ向かった。

細い通路を通り、お店へと繋がるドアの手前にもう1つドアがある。

いつもは素通りするドア。

ここは通称“雪乃ママの部屋”。

正式には、オーナー兼ママである雪乃ママ専用の部屋。

ここで雪乃ママは売上の計算や女の子達のお給料の計算などの事務的な仕事をしている。

ここに女の子達が入る事は滅多になく、

この部屋に出入り出来るのは店長やマネージャーの幹部クラスの人達だけ……。

その部屋へ呼び出された私はとてつもなく緊張していた。

深呼吸をして気合いを入れた私はドアをノックした。

『……はい』

中から聞こえて来た雪乃ママの声に

「……あの……綾乃ですけど……」

私は恐る恐る声を掛けた。

『どうぞ』

そう言われてドアを開けた。

この部屋に入るのは初めて。

想像以上に広い部屋には一番奥に大きな机があり

そくには雪乃ママが座っていた。

「……失礼します」

かなり挙動不審気味に部屋に入った私に雪乃ママは

「どうぞ」

応接セットのソファに座るように促した。

ベージュ色の高級そうなソファ。

そこに、恐る恐る腰を下ろした。

……やっぱりこのソファはかなり高級らしい……。

座り心地がとてもいい。

お店のソファも雪乃ママのこだわりが詰まっていてかなりの高級感を醸し出しているけど……。

このソファはそれ以上だった。

こんなに座り心地のいい高級ソファの上で私は今から雪乃ママに何を言われるんだろう?

出来ればいい話がいいけど……。

そんな心当たりなんて全くないし……。

悶々と悩んでいると

雪乃ママが動く気配を感じた。

たくさんの書類が置いてある机から離れた雪乃ママが私に近付いてくる。

雪乃ママと私との縮まる距離に比例するかのように

私の心臓も暴走を始めた。

……ヤバい……。

……心臓が……。

……口から飛び出しそう……。

「……綾乃ちゃん」

「は……はい?」

「お誕生日おめでとう」

「へっ!?」

……お誕生日?

誰の?

首を傾げる私を見て

「明日、お誕生日でしょ?」

雪乃ママも首を傾げた。

……そう言えば……。

「……はい、すっかり忘れてましたけど……」

「忘れてたの?それは、良かったわ」

「良かったんですか?」

「え、サプライズになったでしょ?」

「……はい、色んな意味で……」

「色んな意味?」

「……はい。ここに呼ばれたのは、てっきり叱られるんだと思っていたので……」

「叱られる?綾乃ちゃんは私に叱られるような事でもしたの?」

「いいえ!!何もしてません!!」

明らかに動揺してしまった私。

そんな私を見て雪乃ママは吹き出した。

「……そうね。お店の女の子を呼ぶ事はあまり無いものね」

「……はぁ……」

……良かった……。

……叱られなくて……。

心臓に悪いサプライズだったけど……。。

胸を撫で下ろしていると

「……これ」

雪乃ママが細長い包みをテーブルの上に置いた。

「……?」

「私からのお誕生日プレゼントよ」

「プレゼント?」

「うん。気に入って貰えると嬉しいんだけど……」

「……あの……」

「うん?」

「開けてもいいですか?」

「もちろん」

私はその包みを手に取ると破らないように慎重に包装紙を開いた。

中には濃紺の高級感が漂う細長い箱。

さっきとは違う意味で胸が高鳴る。

「……うわぁ……」

雪乃ママが私に選んでくれた誕生日プレゼントはネックレスだった。

金色に輝く細いチェーンの先端には輝きを放つ赤い宝石。

「……綺麗……。 」

「本当は誕生石にしようと思ったんだけど、綾乃ちゃんは赤が大好きでしょ?」

「はい」

「それに、綾乃ちゃんは赤がよく似合うし。このネックレスを見た瞬間に綾乃ちゃんっぽいと思ったの」

「……ありがとうございます。すごく嬉しいです」

「そう、良かったわ。着けてみる?」

「はい!!」

私が頷くと、雪乃ママが嬉しそうに立ち上がり

「着けてあげる」

ソファに座る私の背後に立った。

ひんやりと冷たい感触が首に絡み付く。

「鏡、見てみる?」

雪乃ママがドアの横にある鏡を指差した。

「はい」

私は鏡の前に立った。

鎖骨の少し下辺りに輝く赤い石。

金色のチェーンが少しだけ私を大人っぽく見せてくれている。

「よく似合ってるわ」

鏡越しに私を覗き込んだ雪乃ママの嬉しそうな声。

「……ありがとうございます」

少しの照れ臭さと大きな感謝の気持ちを私はその言葉に込めた。

「気に入って貰えて私も嬉しいわ」

満足そうな笑みを浮かべた雪乃ママ。

そんな雪乃ママの温かい心遣いに私の心も温かくなった。

「本当ならお店の女の子がお誕生日の時には、イベントを開催してお客様にもお祝いして頂くんだけど……」

「そうなんですか?」

「えぇ、でも綾乃ちゃんは事情があるから今回は見送らせて貰ったの」

雪乃ママが言う私の事情とは

私が歳を誤魔化している事。

「……すみません」

「別に謝るような事じゃないわ。私は綾乃ちゃんがお店に出てくれるだけで充分助かってるんだから」

雪乃ママは私の肩をポンポンと叩いた。

まるで私が感じた申し訳ない気持ちを拭い取るように……。

「……雪乃ママ」

「なぁに?」

「このネックレス、今日お店に着けて出てもいいですか?」

「もちろん」

雪乃ママの笑顔に見送られて私は部屋を後にした。

◆◆◆◆◆

雪乃ママの部屋を出た私はすれ違う女の子達やボーイさん達と挨拶を交わしながら待機席へと向かった。

待機席には、すでに数人の女の子達が座っていた。

「おはようございます」

私が声を掛けると女の子達は会話を止め、こっちに視線を向け

「おはよー」

言葉を返してくれた。

彼女達から少し離れた席に私が腰を下ろすと

再び始まった彼女達の楽しそうな会話。

その声を聞きながら私は瞳を閉じた。

声だけを聞きながら言葉は耳の中を素通りしていく。

相変わらず私は女の子達の会話に参加する事が苦手だったりする。

私が会話に参加しない事を知っている女の子達もわざわざ私に話し掛けては来ない。

お客さんが来店して店長やマネージャーに呼ばれるまで私は瞳を閉じたまま時間を過ごす。

それが待機席での私のいつもの過ごし方。

そんな私の時間を邪魔する人はいない。

……たった一人を除いては……。

でも、その人は滅多に待機席に座る事はない。

出勤してきたらすぐにテーブルへと向かう。

……向かわないといけないはずなのに……。

女の子達の楽しそうな声に交じって聞こえてくるヒールの音。

その音が徐々にこっちに近付いてくる。

楽しそうだった女の子達の会話が突然途切れた。

……誰か出勤してきたのかな?

そう思っているとヒールの音を響かせた足音がまっすぐと私に近付いて来た。

……まさか……。

次の瞬間、ソファに座る私の身体が大きく傾いた。

……それは、誰かが私の隣に勢いよく座ったせいで……。

……!?

誰!?

一瞬、そう思ったけど……。

この店の待機席でこんなにも堂々と私の隣に座る人なんて一人しかいない……。

恐る恐る閉じていた瞳を開くと……。

「……アリサ……」

予想を全く裏切らないアリサがそこにはいた。

『おはようございます』

女の子達の緊張気味な声に

「……おはよ……」

ダルそうな声を出したアリサ。

さすがはアリサ。

その偉そうな態度は今日も健在だった。

待機席に漂う緊迫感に気付いていないのか……それとも気にならないのかアリサは足と腕を組み貫禄を全身から漂わせている。

「……今日は同伴しなかったの?」

私が小声で尋ねるとアリサは視線を前に向けたまま

「約束していた客に急な仕事が入ったらしくて中止になったのよ」

「そ……そう」

「まぁ、仕事が終わったらすぐにお店にきてくれるらしいけど……時間、ギリギリでドタキャンするから他の同伴相手も見つからなくて……もう最悪よ」

「……大変だったね」

「まぁね。……で?」

「は?」

「雪乃ママに呼ばれたんだって?」

「なっ……なんで知ってるの?」

動揺する私にアリサは視線を向けて

「この店であった出来事を私が知らない訳ないでしょ?」

この店の“主”的発言を放った。

「……」

「それで今度は何をヤラカしたの?」

「……」

「また、お店の営業中に暴れたとか?」

「……」

「あっ!!もしかして、また飲み過ぎて記憶が無くなったとか?」

……。

……。

この人、私にケンカを売ってるの?

アリサは一緒に飲みに行ったあの日以来、仕事中に時間が空く度に私に絡むようになった。

待機席にいる私の横に座って話し掛けてくる。

今まで一匹狼のように孤立していたアリサの行動に一番驚いていたのはお店の女の子達だった。

営業中に殴り合いのケンカをして“出勤禁止令”という罰則を頂戴した私とアリサがある日突然仲良くなってたんだから女の子達が驚くのも無理はない。

そうやってアリサが私に構うから当然のように女の子達は私にも優しくなった。

優しくなったっていう表現は微妙に違うかもしれないけど……。

今までアリサに媚びていた子達が手の平を返したように私にまで媚びるようになった。

挨拶をしてもシカトをしていた女の子達が待機席にいる私とアリサを見た途端、今までの態度が嘘みたいに笑顔で話し掛けてきた。

その変貌ぶりに驚く私にアリサは言った。

『放っておきなさい。別にあんたにとってマイナスになる事じゃないんだから』

……そう言われてみればアリサの言う通りかもしれない。

別に女の子達のこの態度が私に害を及ぼす訳じゃないし……。

女の子達と仲良くする義務も私にはない。

……ってか、こんな女の子達と仲良くなんて私には絶対に出来ないけど。

『……そうね』

私はアリサが言う通り放っておく事にした。

「……それで、なんで呼ばれたの?」

瞳を輝かせて私の顔を覗き込むアリサは本当に楽しそうだった。

「……誕生日だったのよ……」

私はそんなアリサに呆れながらも他の女の子達に聞こえないように小さな声で答えた。

「はっ?誕生日?」

「うん」

「誰の?」

「私の」

「はぁ?」

「なによ?」

「誕生日って……なんでもっと早く言わないのよ!?」

「私も雪乃ママに言われるまですっかり忘れてたのよ」

「忘れてたって……自分の誕生日なのに?」

「うん。キレイさっぱり忘れてた」

「……あんたやっぱりボサッとしてるわね……」

「はっ?」

「普通、自分の誕生日なんて忘れないでしょ?」

「……普通はそうかもしれないけど……」

「……?」

「私にとって自分の誕生日ほどどうでもいい日なんてないわ」

「えっ?」

アリサは驚いた表情で私の顔を見つめた。

……なんでこの人はこんなに驚いているんだろう?

「な……なによ?」

あんまりアリサが私の顔を見つめるから、私は軽く動揺してしまった。

「……そう」

アリサは何かに納得したように小さく頷くと、突然自分の隣にあったバッグを掴んだ。

「……?」

ガサゴソとバッグの中を物色していたアリサが何かを掴んだ。

そして、それを徐に私に差し出した。

「なに?」

「……あげる」

「……はい?」

アリサは半強制的に私にそれを握らせた。

「私からの誕生日プレゼントよ」

それだけ言うとアリサはまた正面を向いて瞳を閉じた。

……誕生日プレゼント?

私の手の中にはズッシリと重みのあるピンクゴールドのデュポンがあった。

それは、この前一緒に飲みに行った時にアリサが使っていたものだった。

「……これ……」

「あんたが自分の誕生日を忘れたりしなければちゃんとしたプレゼントを準備したのに……」

「……」

「仕方がないから私のお気に入りをあげるわ」

私に視線を向ける事なくそう言ったアリサの横顔は無愛想だったけどどことなく照れているようにも見えた。

「……ありがとう」

くすぐったさを感じながらお礼を言った私に

「……ん……」

アリサは小さな声で答えた。

◆◆◆◆◆

『綾乃ちゃん、お疲れ様。今日はもういいわよ』

日付が変わる少し前、着いていたお客様のお見送りを終えた私に雪乃ママが声を掛けてくれた。

「はい、お疲れ様でした」

雪乃ママに軽く会釈をして私は控え室に向かった。

ドレスから私服に着替え来た時と同じように裏口からお店を出る。

エレベーターに乗りビルを出た時、ケイタイが鳴った。

バッグから取り出してみると液晶には“瑞貴”の文字。

通話ボタンを押し耳に当て

「……もしも……」

『バイト、終わったか?』

やっぱり電話の相手は私の言葉を最後まで聞かずに自分の用件を口にした。

……なんでこの人は人の言葉を最後まで聞こうとしないんだろう?

そんな疑問を感じながらも

「……終わった」

私は答えた。

『今、どこだ?』

「お店の入ったビルを出たところ」

『分かった』

瑞貴はそれだけ言うと一方的に電話を切った。

ブチっという音に続きツーツーツーという虚しい音がケイタイから耳に響く。

……。

な……なに?

瑞貴は一体何が分かったんだろう?

……てか、今の電話って一体……。

……。

……。

まぁ、いつもの事だけど瑞貴からの電話は切った後に疑問しか残らない。

どんな用件だったのか

なんで電話を掛けてきたのか

全てが謎。

考えれば考えるほど謎は深まる。

これが瑞貴らしいって言えば瑞貴らしいのかもしれないけど……。

その瑞貴らしさは何年友達をしていても

理解し難い。

私はやっぱりいつもと同じ様に首を傾げつつもケイタイをバックの中に仕舞い

週末で人の多い繁華街のメインストリートを溜まり場に向かって歩き始めた。

◆◆◆◆◆

歩いていた私の前方から見慣れた人影が近付いてきた。

その人は両手をポケットに突っ込みダルそうに歩いていた。

すれ違う若い男の子達に頭を下げられても

すれ違う若い女の子が甘えたような声で歓声をあげても

その人はダルそうに歩いていた。

……相変わらず“有名人”ね……。

私は苦笑してしまった。

全身からダルそうな雰囲気を醸し出しながら歩いているのは数分前に意味不明な電話を掛けて来た瑞貴だった。

私と瑞貴の距離が5mくらいになった時

ようやく瑞貴は私に気付いたようだった。

瑞貴はその場に立ち止まった。

どうやら瑞貴は私を待っているようで……。

そう悟り小走り気味に近付いた私に

「……お疲れ」

瑞貴はやっぱりダルそうに言葉を吐いた。

「お疲れ。こんな所で何やってんの?」

「……迎えに来た」

「は?誰を?」

「……お前」

「私!?なんで?」

「凛から絶対に逃がすなって命令されたから」

「はぁ!?」

「……って事だから行くぞ」

瑞貴はそう言うと私の肩に腕をまわした。

「……!?」

ガッチリと私の肩を掴んだ瑞貴は今来た道を再び歩き始めた。

それは肩を抱かれているという甘い雰囲気は全く無く、例えるなら捕獲された極悪人的な感じで……。

「……ちょっ!!瑞貴!!私は逃げたりしないから放してよ!!」

私は肩にまわしてある瑞貴の腕を叩いた。

「悪ぃーな。凛からの命令だからそれは出来ねえよ」

「凛からの命令って……あんたは立場的には凛より上でしょ!?」

「今日だけは特別だ」

「はい?全然意味が分からないんですけど!?」

「別に分からなくていいんだよ」

瑞貴はもがく私に全く気を止める様子もなく平然とした顔で腕時計に視線を落とすと

「……やべえ、急ぐぞ」

スタスタと歩き始めた。

「……やべえって何がヤバいのよ?」

「独り言だ。気にすんな」

「はぁ!?」

瑞貴に聞きたい事はたくさんあった。

状況的に全く理解出来ない私は次から次に瑞貴に質問を浴びせかけた。

だけど、何を聞いても瑞貴がまともに答えてくれる事は無く……。

結局そんな瑞貴に私は諦めてしまった。

溜まり場になっているBARの前に着くとようやく私は瑞貴の腕から解放された。

私から腕を放した瑞貴が

「入れ」

ドアをアゴで指した。

……なんなのよ……一体?

そう思ったけど、その疑問を口にしても瑞貴が答えてくれない事を分かっていた私は小さな溜め息を吐いてドアの取っ手に手を掛けた。

チラッと隣にいる瑞貴に視線を移すと

なぜか瑞貴は楽しそうな笑みを浮かべていた。

……!?

なに!?

なんでこの人……楽しそうなの!?

自分でも今とてつもなく怪訝な顔をしている事が分かる。

そんな私に瑞貴は苦笑しながら口を開いた。

「綾、おめでとう」

「……えっ?なに……」

“なにが?”そう聞き返そうとしたのに……。

瑞貴は私の言葉を遮りドアを押し開け私の背中を押した。

それはとても弱い力だったけど無防備だった私の身体はいとも簡単に店内に入ってしまった。

前のめり気味に店内に足を踏み入れた私の耳にパーンという乾いた幾つもの音が響き、次の瞬間

『Happy Birthday 綾!!』

凛の声が聞こえた。

「……」

……えっ?

なに?

呆然とする私を見つめるたくさんの瞳。

そのたくさんの瞳はとても温かくてそして楽しそうに輝いている。

私は状況が飲み込めず瑞貴を恐る恐る振り返った。

瑞貴はやっぱり楽しそうな表情で私を見つめていた。

助けを求めるように瑞貴を見つめる私に

瑞貴はゆっくりと近付いて来て

私の頭に大きな手を載せた。

「今日はお前の誕生日だろ?」

「……えっ?今日?」

時計に視線を移すと12時を少しだけ過ぎていた。

12時を過ぎてるって事は日付が変わったって事で……。

私は16回目の誕生日を迎えてしまったらしい。

『おめでとう!!』

至る所から投げ掛けられる声に

「あ……ありがとう……」

私は戸惑いながらも言葉を絞り出した。

そんな私の頭を瑞貴は

「なに照れてんだよ?」

乱暴に撫でた。

「違うよ、瑞貴。綾は照れてるんじゃなくてビックリしてるんだよ。ねっ?綾」

凛が私の腕に自分の腕を絡めた。

「う……うん」

「ほらね。大成功じゃん、瑞貴」

「……だな」

凛と瑞貴は満足そうな笑みを浮かべた。

「……大成功?」

ふと周りに視線を向けると2人だけじゃなくて

他の男の子達も満足そうな表情を浮かべてて

そんな中ただ私だけが首を傾げていた。

「瑞貴の提案だったんだよ」

「……なにが?」

「きっと綾は自分の誕生日なんて忘れてるだろうからサプライズでお祝いしようって」

「そうなの?」

「うん!!」

大きな声で返事をしたのは凛で、一方の瑞貴はというと照れ臭そうにそっぽを向いていた。

「ありがとう」

「……おう」

「……なんで2人とも照れてんのよ!?」

凛が爆笑しながら私と瑞貴の背中を叩き

そんな私達のやり取りを見ていた男の子達もお腹を抱えて笑い出した。

今考えてみるとこの前のお昼休みに瑞貴がいなかったのは今日の準備のためだったのかもしれない。

もし、そうなら“私には絶対に内緒”っていう瑞貴の意味不明な命令にも納得が出来るし

バイトの前に凛がしつこいくらい溜まり場に来ることを確認していたのも納得が出来る。

凛と瑞貴の理解し難い言動の全てがこのサプライズパーティーのためだったに違いない。

そんな結論に達した私は思わず笑いを零してしまった。

◆◆◆◆◆

瑞貴が計画してくれたサプライズパーティーは私にとって驚きの連続だった。

私は他人に誕生日を祝ってもらった事なんてない。

他人はおろか自分の親にだって誕生日を祝ってもらった記憶はほとんどない。

私の脳裏に残る最後の誕生日の記憶といえば、私が幼稚園の頃。

まだ、お父さんと呼べるあの人が家にいた頃。

プレゼントにずっと欲しかった大きなウサギのぬいぐるみをもらい

歳の数のロウソクに灯った火を吹き消し

3人でケーキを食べた。

それだけが誕生日の温かい思い出。

その後の誕生日の記憶は思い出したくもないものばかり。

お父さんは姿を消し、

母は昼も夜も働く日々が始まった。

私の誕生日に『おめでとう』と言ってくれる人は誰もいなくなった。

誕生日に1人で過ごす事が当たり前になり

最初はそれを寂しく思う事もあったけど

次第にそんな環境にも慣れていった。

誕生日は生まれてきた事をお祝いする日。

誰からもお祝いして貰えない私はきっとこの世には生まれてきちゃいけなかったんだ。

そう思う事で私は寂しさを感じなくなった。

そう思う事で私は誕生日が特別な日だなんて思わなくなった。

そんな私にとって終始言われる『おめでとう!!』という言葉がくすぐったかった。

とてつもなく大きくてゴージャスなケーキが登場した時には思わず絶句してしまった。

そのロウソクに灯された火を吹き消そうとした私は慣れない行動の所為もあって酸欠になりそうになった。

フラフラになりながらもロウソクを吹き消した私を次に待っていたのはプレゼントの贈呈式だった。

『おめでとう!!』

今日何度目か分からなくなってしまった言葉と一緒に差し出されるプレゼント。

その全てがなぜか私が吸っている銘柄のタバコだった。

……な……なんでタバコ?

そんな疑問の答えは凛が教えてくれた。

「瑞貴からの命令なんだよ」

「……また、命令?」

私は瑞貴の“命令”に嫌な予感を感じてしまった。

……一体、今度はどんな“命令”なんだろう……。

「うん。『綾へのプレゼントはタバコにする事』って」

「……なんでタバコなの?」

「ほら、ここにいる子ってみんな限度ってものが分からない人ばかりじゃない?」

「限度?それってどういう意味?」

首を傾げる私に凛は意味ありげな笑みを零した。

「仲間の誕生日だって言ったらあの人達は盛大にお祝いしなきゃ!!って思っちゃうんだよね」

「……盛大に……」

「うん、そう。きっとお祝いしてあげたいっていうその気持ちはいいと思うんだけど、誕生日プレゼントにあまりにも高価なモノを貰ったら綾も気を使うだろうからって……」

……確かに……。

みんなにこんなに盛大にお祝いしてもらった事だけでも恐縮してんのに

その上、高価なプレゼントなんて差し出されても

私は絶対に受け取れないと思う。

「……だから、タバコなんだ」

「うん。しかも瑞貴は自分の失敗を踏まえて今回は『絶対、1人1個ずつだからな』ってしつこいぐらいに念を押してたんだから」

凛が苦笑しながら話してくれたその時の様子が私にはいとも簡単に想像出来た。

「……だから、私からも……」

凛がポケットから何かを取り出して私に差し出した。

「……これって……」

「これもタバコだよね?」

凛が可愛らしく私にウィンクを飛ばした。

その言葉通り凛が差し出したのはタバコには違いない。

私が使っている財布と同じブランドのシガレットケースに入ったタバコ。

「……凛……」

「あっ!!もちろんメインは中のタバコだから。……んで、プレゼントだから包装しちゃいましたみたいな」

……包装って……。

プレゼントより高い包装紙って……。

……でも、きっと凛は私の為にこのプレゼントを考えてくれたんだ。

瑞貴からの命令をちゃんと考慮して、私が喜ぶものを……って。

凛のその気持ちが私は嬉しかった。

だから、私は差し出されたシガレットケースを両手で受け取った。

「ありがとう、凛。大切に使わせて貰うわ」

私の言葉に

「うん!!」

凛はとても嬉しそうに頷いた。

◆◆◆◆◆

プレゼントの贈呈式も終わりパンパンになった私のバッグ。

そのバッグを膝の上に載せた私を見て凛と瑞貴は苦笑していた。

何時にも増して賑やかだった溜まり場。

みんなが飲んで食べて大騒ぎをしていた。

その場にいたみんなが笑顔だった。

私もお腹が痛くなるくらいに笑った。

それまで男の子達と飲んでいた瑞貴が私の隣に腰を下ろした。

「綾、そろそろ送って行く」

ふと辺りを見渡すと端っこの方のソファで酔い潰れて眠っている子達がチラホラいた。

「うん。凛はどうする?帰る?」

「私はもう少しだけここにいる」

「分かった。じゃあ、またね。今日はありがとう」

「いえいえ、どういたしまして」

ニコニコと笑顔の凛に見送られて私は瑞貴と一緒に溜まり場を出た。

外に出ると濃紺の空の下の方がうっすらと薄くなっていた。

楽しかった所為で時間なんて忘れてたけど

確実に時間は流れ、楽しかった夜は終わりを告げようとしていた。

「……瑞貴」

私は隣を歩く瑞貴に声を掛けた。

「どうした?」

お酒を飲んだ所為かいつもより優しい声を出した瑞貴。

「……ありがとう……」

「ん?」

「今日はどうもありがとう」

「……別に。それより、楽しかったか?」

「うん、とっても」

「そうか。なら、良かった」

満足そうに笑みを浮かべた瑞貴の顔を見て

私は胸がチクンと痛んだ。

それから、瑞貴は私の住むマンションに着くまでご機嫌な様子で鼻歌を歌っていた。

私はそれを聞きながら歩いた。

「お茶でも飲んで行く?」

マンションの前で私は瑞貴に尋ねた。

「……いや、まだあいつらも溜まり場にいるだろうから今日は戻るわ」

「そう?」

「あぁ」

「じゃあ、送ってくれてありがとう」

「あぁ」

「おやすみ」

「おやすみ」

私は瑞貴に手を振りマンションの入り口へと向かって歩き出した。

数歩、前に進んだ所で

「綾」

私は瑞貴の声に足を止め振り返った瞬間

瑞貴が私に向かって何かを投げた。

大きな弧を描いて

思わず差し出した私の手の中にそれは収まった。

「……?」

「それ、俺からの誕生日プレゼント」

「へっ?」

瑞貴はそれだけ言い残すとクルリと身体を反転させてスタスタと今来た道を戻り始めた。

「あ……ありがとう!!」

手の中に在るものが何かを確認する暇もないまま私はその言葉を口にした。

私の言葉に顔だけ振り返った瑞貴はやっぱり満足そうな笑みを浮かべてて……。

そんな瑞貴の表情を見た私の胸はチクンと痛んだ。

瑞貴の背中が見えなくなるまで見送った私は

手の中にある明らかにタバコの箱じゃない感触のそれを握り締めたまま部屋へと向かった。

部屋に入り、ゆっくりと握り締めていた手を開くとそこには小さな箱があった。

その箱を見ただけで私は中に入っているものが何なのか予測出来た。

分かっているから緊張する。

私は緊張の所為で微かに震える指で箱を開けた。

そこには、金色の小さな蝶々が一匹、今にも飛び立ちそうに羽を広げていた。

金色の蝶々の瞳には赤い石が輝いている。

……高価なものはダメだって自分がみんなに言ったくせに……。

当の本人がこんなに高価な指輪を贈ってどうすんのよ?

思わず苦笑してしまった私は

「あれ?」

指輪が入っていた箱の中にある小さく折り畳まれた紙切れを見つけた。

その紙を開くと

“凶器にするんじゃねえぞ。”

とだけ書いてあった。

……凶器?

私は紙の文字と指輪を交互に見比べた。

……。

……。

……確かにこの指輪をはめたまま人を殴ったりしたら凶器になっちゃうわね。

特にこの羽の部分とかが当たったら確実に流血事件になりそうだし……。

……。

……。

……てか、このメッセージって間違ってない?

普通はこういう時って

“誕生日おめでとう。”とか

“happy birthday”とか書くもんじゃないの?

……。

……。

まぁ、瑞貴らしいと言えば瑞貴らしいけど……。

私は箱の中で輝く指輪を眺めながら笑いを零した。


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