第3話
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「芹沢さんは、トラブルによるストレスで、やけ酒をした。大量のアルコールを摂取されていた。このことから、彼の死は、自殺という可能性もありますね」
こうして地道に聞き込みをすると解ってくるものが多くありますね、下総は嬉しそうに微笑む。
「やはり、芹沢は自殺したのか」
と、祐介は呟くように喋ると、下総は「違いますよ」手を横に振った。
「岩清水さん、先程も言いましたがあくまでも可能性です。決定した訳じゃありません」祐介は突然、背筋が震えた。下総の目がー鋭く光ったからだ。
「だけど下総さん。芹沢はとても良いやつで、殺されるような恨みを持っていたとは考えられませんが」
「人というのは、以外なところで恨まれるものです。――例えば、一年前に会話の中で言われた嫌味が原因で、殺人未遂事件までに発展した事例もありますから」
苦笑いを浮かべる下総に、祐介は尋ねた。
「ところで、芹沢が荒川で発見された
すると、下総は、
「アガサ・クリスティーなどの本格ミステリーは、お好きですか?」
意味の解らない質問で返してきた。
「は?」
「僕は、読書も趣味でかなりの本格ミステリーの小説を読むのですが、時々事件のヒントにもなるのですよ。そこで思いついたのが一つありました」
「それは何ですか?」
「一人二役という、トリックがあります」
足が震えてきた。
「そのトリックは、一人が別の人間を演じるというものですか?」
下総は大きく頷いた。「それです。それ」
「トリックは、分かりましたが、全く理解できません」
「それでは、僕の推理を聞いていただきましょう。納得していただけるはずです」
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