【閲覧注意】密猟の夜~ポーション調合師一家暗殺~(ドォーモ視点)

 真夜中まよなかのフォーリア惨状さんじょうきわめた。

「イーツ……きなさい」

「ハイポーションだぞ……」

王子おうじ殿下でんか経過けいか観察かんさつでおしろへいくのよ。

 公爵こうしゃく閣下かっか心配しんぱいでしょう。

 きなさい。

 駄目だめよ。

 きて。

 まして……」

 両親りょうしんささやくような弱弱よわよわしいこえもだんだんとこえなくなった。

 ピエトが、父親ちちおや母親ははおやどものじゅん心臓しんぞう短剣たんけん一突ひとつきしていった。

 しかし、ハイポーションを即座そくざくちにした両親は息子むすこにもませようとゆかって、ちからきた。

 両親の背中せなかに、おれ生気せいきう「吸血石きゅうけついし」をいたからだ。

 確実かくじつに、死亡しぼう確認かくにん出来る魔石ませきだ。だから、俺は馬鹿ばかあたままわらないが、やくつ。

 ボスコには一家いっか断末魔だんまつまそとれないように防音ぼうおん魔術まじゅつをかけつづけてもらった。

わるいな。口封くちふうじっで一家っごとさなきゃならなかったんだ。うらむなら、スライムっの密売みつばいっを貴族きぞくっとやらかしてたらしい息子っをうらむんだな」


 ボスコが子どもの寝室しんしつ出入でいぐちたおれたままの両親の遺体いたいまたいで子どもの遺体のかお確認かくにんする。

くびからうえ無傷むきずだな?」

嗚呼ああ

 ボスコ、首から上に防腐ぼうふの魔術、かけておけ。

 死亡事実が重要じゅうようだ」とピエトがこまかな指示しじした。

「ドォーモ、生気を吸わせぎるなよ。もう、い。

 ボスコの防腐魔術に交代こうたいだ」

 俺はピエトの指示で、吸血石を片付かたづける。


「これも素晴すばらしき王制おうせい廃止はいしのためだ。

 はん王制は王制がほろべば自動的じどうてき貴族きぞくもいなくなるとかんがえている」とピエトはやけにうれしそうだった。

「貴族は王位おうい継承けいしょう候補こうほのスペアでしかいのにな。

 庶民しょみん王様おうさまごっこをしはじめたら、それこそくにほろぶ。

ピエト、夢を見過ぎるな。依頼に集中しろ」

 ボスコは冷静れいせいなまま、防腐魔術をかける。


「まあ、王制派ではないにしろ。

 御前おまえは王子様がつ『魔物まものくち』をなおした。

 反王制派庶民にとってわる抜歯屋ばっしやだ」とピエトは、ボスコが防腐魔術をかけたあとに、なんと、ちいさなおとこの子の顔をいきおいよくみつけた。


 ギーッ。

 子ども部屋べやちかくからへんおとこえて来た。


 なんだ?


「こっちにポータルドアがあるぞ!

これが支部長の言っていた、抜け道だよ!」とピエトがよろこびだす。

「何だって?

 何で、王族や貴族しかてないような国宝こくほうがこんなところに?」


 そこへ夕方ゆうがたった商業しょうぎょうギルドブリッラ支部長がやって来た。

「おっ、イーツぼっちゃん。

 きれいながおだ。

 御三人おさんにんさん、邪魔じゃましてごめんよ。

 あとのことはすべて俺にまかせてくれ。

 ポータルドアのこうがスライム保護区ほごくだ。

 間者かんじゃ立派りっぱつとめた俺にもスライムを三体ほどけてくれよ」

 俺はこわくて、先頭せんとうはピエトにたのんだ。うしろはボスコにまもってもらおう。

 俺は二人にはさまれて安心あんしんして、ポータルドアからテンピのもり移動いどうした。

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