第4話 夢

 船に乗る。


 船のパーティーに招待された二人は船に乗り遅れるが、なんとか追いかける。船が減速したところで追い付き内部に入るが、システムによって敵と認識されてしまい、ガスによって眠らされてしまう。


 起きたらパーティーは終わっていた。仕方なく降りたいと願うが、今は海原の真ん中であり、次に港に寄るまで待ってほしいとのこと。


 首謀者の男。

 そのボディーガード。

 キツイ目の女。

 首謀者の息子。

 主人公。

 その友達(女)。

 あと二人。


 奥の部屋で大人しくしているように言われる。途中、息子が来て精神異常者呼ばわりする。


 部屋を探索しようとすると恐ろしいものをみつける。


 そこを息子に見つかるが、息子は精神を操られると助けをこう。


 それらが見つかり記憶を消す注射をされる。


 主人公だけ記憶が残る。


 そして記憶を頼りに証拠を集め、首謀者を脅し、手を出さないようにする。


 なんかヤバイ怪物と戦わされる。


 さらにヤバイ怪物と戦わされる。


 その先のヘリに乗って皆で逃げる。


 □■□■


 このメモは覚えている。確か夢で見たのだ。目覚めたとき、あまりにも鮮明に残っていたし、とてもいい感じだったので使えるのではないかとメモしたのだ。そのためわりと長いメモになっているし、寝起きなので文章の乱れがあったり、漢字ではなくひらがなになっているところもある。眠いときには文章を書かないほうが良さそうだ。さて、このメモについて解説していこう。


 まずこのメモ、夢から発想を得ただけあって最後のほうがぐちゃぐちゃ。なんだヤバい怪物って。確か、狼だったかゴリラだったか、そんな感じだったはずだ。しかしそれでは普通の動物。怪物と書かれているからにはなにか怪物っぽい要素があったのだろう。残念ながら覚えていない。夢とはいつもそうだ。だいたい、夢を完璧に覚えておけるわけがないじゃないか。将来、夢固定薬とかでないかな。忘れたくないと思った夢を覚えておけるのだ。作家はアイデアが浮かぶし、一般の人は雑談のネタに夢の話を使える。素晴らしいではないか。ぜひ開発してくれ。


 このメモ、ながながと書かれているが、要約すると、パーティーに乗り遅れたら、そのパーティーの主催者が悪いやつで、そいつを倒して逃げる、という感じ。少なくともショートショートや短編向きではない。だから別に公開しても惜しくないのだ。オイラがほしいのはショートショートや短編のアイデアなのだ。中編、長編を書けるほど気が長くないのである。しかし浮かんできたアイデアはどんなものでもメモしてしまう。作家の性というやつか。


 □■□■


 主人公以外が記憶を失うというのはなかなか面白そうだ。しかしどうにも使い古されたアイデアのようで、改めて考えてみると新鮮でもなんでもないのだ。やっぱりしょせんは夢か。自分が見聞きしたものを元に見るものなのだから、夢から得たアイデアが新しいものである可能性は低いはずだ。しかし、アイデアは異質なものの組み合わせらしい。夢ってのは起きてから冷静に考えるとかなり異質。理屈もへったくれもあったもんじゃないような夢もある。そういう点で考えると、夢は無意識に異質なもの同士を組み合わせ、それを擬似体験させてくれているとも考えられる。こうなってくるとキリがない。オイラは夢の学者でもなんでもないのだ。夢の仕組みとか詳しいことは知らない。ここら辺でお茶を濁しておいたほうが良さそうだ。


 悪役の息子というのはかなり面白い立場だ。裏切って味方につけば熱い展開となるし、最後まで悪役の息子らしく行動してもキャラクターが立っていていい。息子を殺されれば悪役側にも戦う理由ができるだろう。いいことづくめだ。しかし、あんまり悪役に息子がいるイメージはない。娘はどうだろう? それもあんまり聞かないな。なろうでたまに見かけはするが、たまに程度だ。息子となるとほとんど見ない。なぜだろう。恐らくだが、近年は悪役は徹底的に悪であるべきという思想が多くの小説に表れているからではないかと思う。つまり、悪役が誰かを愛することを許さないのだ。かといって強姦で産まれた子という設定は読者に敬遠される。悪は悪、正義は正義。分かりやすいは面白い。そういう風潮が最近はあるのではないかと思うが、あくまで自説である。それにオイラは別にそれを悪いとは思わない。新しいものを古い価値観で評価してはいけないのである。もちろんこれも自説である。自説、自説とうるさいかもしれないが、そもそもエッセイはそういうのを書く小説な気もする。しかし、一応断っておく次第。


 □■□■


 なんだかあんまりメモの内容に触れてないな。それもそのはず、なぜかこのメモは動き出してくれないのだ。ストーリーの基盤となるところが固まっているから、動かないのかもしれない。適当になにかを足せば書けそうではあるが、足すだけがアイデアではないのだ。このメモには別の活かし方があるような気がしてならない。オイラの思い違いかもしれないが。


 さて、そろそろ締めくくるとしよう。

 夢はアイデアを生むが、星新一先生は夢からアイデアを得ることはないと言っていた。先生はあまり夢を見ないそうなのだ。眠りが浅いと夢を見るのだろうが、半覚醒、つまりまどろんでいる状態はとても気持ちがいい。当然頭も回らない。それなのに、下手したら起きているときよりアイデアが出てくるのはどういうことなのだ。なにかで見たが、生物は寝ている状態がデフォルトらしい。本当がどうかは知らないが、寝るためには死なないための水や食べ物が必要で、それを確保するために動き出したと考えると理屈は通っていそうだ。

 だとするとアイデアも求めれば出てくるのではないか。食べ物がほしいから体を動かすように、アイデアがほしいから頭を動かすのだ。寝る前にこんなアイデアがほしいなと思いながら寝たら、いい感じのものが降りてくるかもしれない。そんな話は文字通り、夢のようだろうな。

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