第3話 デスゲーム

 デスゲームとは、一般的に命を賭けたゲームのこと。オイラなら何億円出されてもやりたいとは思わない。しかし、人間お金がなくてにっちもさっちも行かなくなることもあるだろう。そんなときにゲームに誘われたらどうだろうか。半強制的な感じになるだろうが、参加してみたいと思うかもしれない。今回はそんなデスゲームに関するメモがあったので見ていきたいと思う。


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 参加者を集めてデスゲーム。

 ルール、参加人数はその度変える。

 デスゲームに負けた人間は何らかの死を得る。

 死 肉体的、精神的、社会的。

 またゲーム自体が屈辱を与えるものでもよい。

 参加者は拉致or募集。

 金も良いかも。

 5話に1話主催者メインの話を書いても良いかも。

 1話書くには、ゲームの内容、参加者のプロフィール、罰を考える。

 主催者は複数人にすべきか? デスゲーム愛好会? 目的は?

 サクリファイス 生け贄

 モータル 死すべき運命の


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 どうやら長編向けのようだ。しかもデスゲームという設定だから、登場人物が毎回変わることになる。読者はついていけるだろうか。しかし、主催者視点の話というのはなかなか。だが、なぁ。デスゲームといえば、どうしてもあの有名作品が思い浮かんでくる。


 カイジである。


 1回でもカイジを見たことがある人なら分かるだろうが、あれを見たあとでデスゲームを書こうとは思えない。少なくともオイラはそうだ。デスゲームの完成度もさることながら、人間関係にも焦点を当てており、とても面白い。主人公が最強、無敵の存在ではないというのもいい。人間らしく堕落したり敗北するのだが、最後には知恵を巡らせ巨悪に勝つのである。素晴らしい完成度ではないか。しかし当エッセイの目的はカイジのレビューではないので、カイジの話はここまでにしておこう。


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 デスゲームの参加者の集め方は多様だ。別にこだわる必要もないだろうが、参加者の過去を書きたいなら拉致ではなく自主的な参加ということにしたほうがいい。なぜならそのほうが、参加者に闇があることを示せるからだ。拉致された人物がたまたまこんな過去を持っていましたでは眉唾物。しかし参加者の錯乱や狂気、精神的摩耗書きたいなら拉致のほうがいいかもしれない。結局、この辺りは自分の書きたいものに合わせるのがいいようだ。


 デスゲームなのだから、負けたら死が待っていなくてはならない。このメモの秀逸な点はここだ。肉体的な死だけではなく、精神的な死、社会的な死まで提案されている。要は、与える死はなんでもいいのだ。それこそ、肉体的な死はよくあるが、負けたら廃人化するゲームなんてのはあまり聞かない。負けた方には殺人鬼の罪を肩代わりしてもらいますなんてもの聞かないな。今のでふと思い付いたが、こんなのはどうだろうか? 殺人鬼や悪の科学者が金持ちと手を組み、参加者を集めデスゲームを開く。ゲームに負けた参加者は殺人鬼の罪を肩代わりさせられたり、廃人にさせられて人体実験に使われるのだ。殺人鬼は警察に追われることなく次の強盗殺人の計画を立てられると喜び、金を払う。悪の科学者は実験により薬を開発、裏の組織に売って荒稼ぎ。その一部を払う。金持ちはその金でまた参加者を募り……。


 どうだろう。こういう設定なら長編にもできそうではないか。そこに参加者の悲惨な過去を入れたりすれば、いいんじゃないか? いや、なんだか平凡な気がしてきたな。社会的な死を与えるデスゲームって言葉だけなら新鮮な気がするのだが、どうしてもそれ以上に発展しない。別にロボットや悪魔、その他便利なショートショートの常連達と組み合わせれば形にはなりそうだが、それをやるくらいならもはやデスゲームでなくてもいいのだ。犯罪を強要するロボットとか、警察を操り濡れ衣を着せる悪魔とか、そういうで成り立つ。やはり難しいな。どこかでカイジより面白いやつは書けないと思っているのかもしれない。あれを破るには思いがけない発想の転換が必要なようだぞ。


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 サクリファイス 生け贄。モータル 死すべき運命の。

 この2つはなんなのだ。デスゲームの名前にでも使おうと思ったのだろうか。モータル・サクリファイスだと、死すべき運命の生け贄となるが、死すべき運命なのだから生け贄なのだろう。あまり意味的によろしくない。逆にしても同様。この2つを繋げることはできなさそうだ。じゃあなんで書いてあるのだ。分からない。過去のオイラに聞いてくれ。


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 ついでだ。メモにはなかったが、デスゲームと色んなものを繋げてみよう。


 ファンタジー・デスゲーム。オークとエルフ、獣人や魔族が集められ、デスゲームに……。ただ舞台を異世界に移しただけである。魔法とか出してもいいが、それを絡めたデスゲームとなると、果たして面白いかどうか。オイラに書く勇気はないね。


 恋愛・デスゲーム。一定期間以内に恋人を作らなければ死ぬというゲーム。そうなると男女比をどちらか片方に傾けなくてはならなくなる。当然、少ないほうは権力めいたものを持ち、多いほうは奴隷のような扱いを受ける。どこかで見たような気がするが、思い出せないな。


 SF・デスゲーム。宇宙、あるいはロボット。それらに絡めたデスゲーム。意味が分からない。宇宙でデスゲームをやっても普通のデスゲームだろう。負けたら宇宙船の外へ放り出されるとでも言うのか。ロボットがデスゲームをやってなんの意味があるのだ。直るではないか。命が重いからデスゲームは成り立っているのだろうに。


 パニック・デスゲーム。デスゲームに負けるとゾンビが出現。負け続けると、いずれ食われる。かなりいいのではないか。謎の人物が地球上の全ての人類に宣戦布告。デスゲームを開き、もし地球の代表が負けたら地球にゾンビを出してやると言う。地球VS謎の人物、この際宇宙人でもいい。地球を侵略しに来た宇宙人が、戯れでデスゲームを開催するのだ。賭かっているのは全人類の命。これはかなりいいアイデアなのではないか? しまった、書かなければよかった。というのは冗談。正直これ以上のアイデアはないのだ。これじゃあ毎回宇宙人が用意したゲームをクリアしていくだけの小説になってしまう。それだけではつまらないが、面白くするようなアイデアもない。画面の前の君なら、なにかいいアイデアを思い付いているのかもね。


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 このメモがボツになった理由は、ひとえにカイジのせいだろうな。あんないい作品がすでにあったら、同じジャンルで書こうとは思えない。しかし、中にはオイラと逆の精神、つまりあれを越えてやろうと意気込む人もいるかもしれない。そんな人のためにこのメモは公開されたのだろう。デスゲームは書くのが難しいというよりは展開が難しいのだ。誰が死ぬかな? なんて予想するのも楽しいのだろうが、最後に劇的ななにかがないと単調なものになってしまう。だからこそアイデアが物を言うのだ。アイデアは異質な物の組み合わせと星新一先生も言っていた。デスゲームも意外なものと組み合わせることで、まったく新しい小説になるのではないかと思う。

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