第17話闘病生活

犬が脚にきたらもう終わりやちゅー事は薄々分かってた。

パパさん、ママさんに迷惑かけるのが辛いな。

持って後一ヶ月やろなってパパさん言ってた。

ちゃんと聞こえてんねんで。  

玄関は暑いから、エヤコンのある一部屋俺の病室にしてもろた。

垂れ流し状態やからペットシート四枚も敷いてくれた。

腹這いで寝ることもできなくなって横寝しかでけへん。

時たまパパさんがきて寝返りうたせてくれたり、血の巡り悪うなってるから足でマッサージしよった。

餌もママさんが、フヤカして食べさせてくれたけど、何時もの半分も食えん。

最後やから美味いもの喰わしてくれた。初めてワンチュール買ってきてくれたけど喰うのも精一杯やった。



ママさん、ネットで往診してくれる獣医探してたけど、これ以上医療行為してもストレスになるし静かに見送ろうとパパさん言ってた。


俺も覚悟を決めたから、死にぎわにはパパさん、ママさんに『いい人生だった』と念を送っといた。受け止めてくれ。


早起きのパパさんが部屋に入ってきた。

椅子に座ってじっと俺を見てた。

生きてるの確認してスーと出ていった。


その時は、息をするのも苦しかったんや。

だんだん息する間隔が長くなって脳がマヒして気持ち良い感覚になった。

死ぬってこういう事かと思ったら魂が身体から離脱した。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る