第16話躓き

そう何年も平穏な状態が続く訳ではない。

老いは突然やってきた。


おかしいなと思ったのは段差やった。

玄関から見えるキッチンのドア。俺がいるときはいつも閉まってるんやけど開いてるがな。

シメタとばかり走って行こうとしたら、アレ!

足がもつれた。前脚が挙がらない。その時は気のせいやと思おた。

毛も長くなったしトリミングの時、車でパパさん、ママさんに送り迎えやって貰うねんけど、前脚あがらんから車に乗れない。ヤッパリ気のせいでは無いな、ソロソロ歳なんかな。

歩くことは何ともないんで、そのうち回復するかと思ってたら何時もの半分で息切れがしてきたんや。

散歩は何時もはパパさんの横にいたのに、パパさんに引き摺られるようになってしもた。

ある朝、パパさんが散歩で呼びに来た。門から出ようとしたとき、ガクッと脚が崩れましてん。

もう、歩かれへん。

ここから俺の闘病生活が始まる。


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