第13話付き合い
人付き合いと言うけど、犬にもあるんやで。
隣にも犬がいて俺より少し早く貰われてきたみたいや。
聞くところによると、何でも泥棒が何回も入ったとかで番犬探してたみたい。
アイツ言ってたけど、最初は可愛がってくれると思ってたら的外れ。
アイツこんな事も言ってた。
『ワシ、てっきり家の中で飼ってくれると思ったら取って付けたような犬小屋が裏道沿いにあって、お前の寝床はコッチと指さされた。
寒いのは平気やけど、夏はたまらん。
しょうがなく穴掘って涼んでたけど植栽を植えることになり元の熱いコンクリートの上。
しかも飯は不味い。パサパサしてて食うた気がせん。一番安い飼料やとおもう。
それでも飯さえ食わしてくれたら文句はないねんけど、たまに家族全員留守の時があってその間飯抜きやで。顔見知りの散歩のオッチャンが不憫に思って残飯食わしてもろた。有難かった。
ワシもうたまらんから脱走してやった。
最初のリードは布製やったから何回も噛みつけば切れた。万歳、自由になれたと思って近くを彷徨いてたら捕まえられた。
というのが何回かあった。
これに懲りたのか、今度は金属製リードに変えられた。しかしな、雨で錆びることが分かったからオシッコかけてみたら錆が加速するやないか。それを引っ張ったり捻ったりしたら切れた。
今度は近くを彷徨かないで夕日に向かってまっしぐらに走り抜けた。』
アイツ上手いことやりよったな。執念やな。
まるでマックインのパピオンみたいやな。
保健所には気を付けろよ、もう捕まるなよ。
あれから風の噂で聞いたんやけど、アイツ元の飼い主の所に戻ったみたいや。地図も無いのに。飼い主もあまりにも変わりようにビックリして、もう里子に出すのはやめたそうだ。
今じゃ幸せに余生を過ごしてる。めでたしめでたし。
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