最後の「わがまま」
精華ver
「私、今日、最後に雪と会えてよかったよ。これで心残りなくあの世へ行ける。
今日、来てくれてありがとうね。雪。」
今日は会えてよかった。本当に良かった。雪が元気そうで。あの時のお守り、ずっと持ってくれていたんだね。ありがとう。恥ずかしくてこんなことまでは言えないけど、きっと雪はわかってる。だって私たちは「親友」だから。だから、以心伝心なんて簡単なんだ。
「俺こそ会えてよかった。あの日、手術が終わったらすぐ、会いに行こうと思ってた。でも、実際起きた時にはもう雷が落ちてて・・・・・・・・・・。」
雪はもともと口数が多い方ではない。だから、相変わらず言葉は少ないけれど。
やっぱり、雪は私の、「大親友」だ。
「きっとこのおまじないがあればまた会える。」
「きっと、このおまじないがあれば、また会えるよ。」
私と雪の声が被る。
ふふっ!そうだよね。きっとこのお札があればまた会える。
「最後に、ここのブランコを漕ごうよ。私たちの思い出として。もう一度。」
そのあと、私と雪は二人だけでブランコを漕いだ。ブランコに揺られて見上げる空は、あの日のような曇り空じゃない。前に二人で、笑いながら夜まで遊んだあの日と同じ。私たちだけの青いペンキを塗った「ソラ」。きっとまた会える。青い空からだんだん夕日が顔を出し、自分の家へ帰っていく。
私も行くべき場所へ行かなくては。
私は雪と視線を合わせ、二人で頷きあった。
そして_____________。
「弥生さん、私もあの夕日のように、行くべき場所へ行かなくては。最後に、雪と二人で、一緒にいつもうたった、「翼をください」を弾いてもらいたい、です。私の、最後のわがまま、聞いていただけますか?」____________
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