捜査の「陸日目」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~六日目~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今日は漱石、治、私の三人で、(正しくは二匹と一人)で、「プレゼント企画」に必要なものを、昨日二匹が買ってきた材料を使って作っている。
「う~ん。色合いがちょっと・・・・・・・・・・。」
「ふむ。結構いい出来になった。」
「あっ!これかっわいい!!」
午後。昼ご飯を食べ終わり、そろそろ仕事部屋へ行こうと思った時だ。母が
「この後少し話があるから、ちょっと待ってて。」
と私に言ったのだ。一体これから何が起こるのだろう。
「弥生、あなたに一つだけ、言わないといけないことがある。
あなたは記憶がないからきっと覚えていない。でも、ひとつだけ、言わないといけないことがあるの。実は、私と、父さんは、本家の人間じゃない。でもあなたは本家の人間。つまり、・・・・・・・・・・。私とあなたは血がつながっていない。」
急に頭を殴られたような衝撃が走った。その瞬間、膨大な量のデータが頭に流れ込んでいく。小さいころ。目の前にはトラックと車が衝突したような画像。そこを見ながら、小さいころの私が、「お父さん、お母さん・・・・・・。」と涙ながらに訴えている。きっとこれが本当の私の母と父だろう。でも多分、この記憶は、失った一部。全部じゃない。前に見た小さいころの男の子。あの子は一体なぜ?いつも私の心の一部にいるのだろう。
目の前を見ると、お母さんが泣いている。きっと、ずっと悩んで、それでも、私に言ってくれたのだ。タイミングを見計らって。だから私も、本音をぶつけることにした。
「お母さん。確かに私とお母さんは血がつながっていないかもしれない。でも、今まで育ててくれたのはお母さんで。これからもお母さん。だから、あんまり気にしなくていいよ。今その話の記憶?を思い出したけど、もう苦しくない。悲しくない。だから多分、私の中ではもう解決しちゃってるし。しかも、お母さんの料理の方がおいしいからさ。」
私はそう言った。
そっか・・・・・・・・・・。私がキッチン出禁を掛け持ちしているのは、本当のお母さんが料理が壊滅的だからだったんだ。そう思うと、なんだか、なんとも言えない気分になる。
まあでも、記憶の一部が戻ったのは助かる。
「じゃあそろそろ私はこれで。」
そう言って私が立ち上がると、母は、
「ありがとう」
と言って、花のように笑った。
それから猛スピードで企画の準備をした、私たちは、きれいに星が光るなか、明日に備えて早めに寝た。
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