捜査の「伍日目」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~五日目~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
服装、よし。髪型、よし。荷物、よし。
私は今日、雪さんに会いに行く。一昨日母に選んでもらった服を上下ともに着て。
千羽病院はここから歩いて十五分くらい。大公園のすぐ隣でもある。
わからないけど、もしかしたら、雪さんは大公園の大イチョウが見えるからこの病院にしたのかもしれない。
家から徒歩十五分ジャスト。受付で母の名を出したら、すんなりと入る許可を得ることができた。コン。コン。コン。私は五〇五号室に入る。そこには私と同じぐらいの年の少年がいた。
「あんた誰?」
それが雪さんの第一声。とりあえず私は、名前と経緯を話すことにした。
「初めまして。雨空高等学校二年の妖 弥生と申します。今日は、精華さんのご依頼を受けてまいりました。」
きっと、精華さんの名前を出せば何かしら察するだろう。
「精華って・・・・・・・・・・。でも、あの「精華」はあの日いなくなってしまったはずじゃ・・・・・・・・・。それになんで・・・・・・・・・・。」
雪さんは何かぶつぶつ言っている。
「弥生、お前も、その・・・・・・・・・・。視えるのか?精霊が。」
雪さんは私に問いかける。
「ええ。視えますよ。精霊だけではなく、幽霊も。亡霊も。「霊」はすべて。」
もしかしたら雪さんも視える・・・・・・・・・・?と思ってハッとした。そうか。周りにいる輩が視える奴しかいなかったから忘れていたが、ふつうは視えないのだ。依頼人の精華さんは。だからこの人は「視える」んだ。私と同じ世界の住人。
「そうか・・・・・・・・・・。俺は「精霊」しか見えないんだ。「妖家」の人間だったら多分知っているはずだ。「朝顔一族」を。」
そういえば。代々妖家と朝顔家はタッグを組んで仕事をしていた、という記録がある。これは、どちらも、「視える」からなのか。
「精華さんは今、あなたを探して、この世をさまよっています。私はそんな亡霊たちをあの世へ送り出す、という仕事をしています。あなたに会いに来たのも仕事の一環。来週の火曜日。大公園の噴水の前で待っていてください。よろしくお願いします。」
私はそう、言い残して病院を後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます