捜査の「肆日目」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~四日目~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

相変わらず漱石と治は夏風邪でダウンしている。私は今日、二人が寝込んでいる間に、母に、朝顔 雪さんについて教えてもらおうと思った。母は昔から、自分の所有している場所や自分に関係ある場所にいる方々の名前をすべて、顔とともに覚えている。だから何か知っているかもしれない。二階の自室から階段を下りて、一階の母の部屋へ行く。

コン。コン。コン。

私がノックすると、

「はぁい!開けていいよ!」

との返事が返ってきた。ドアを開けると、何やら本を読んでいたらしい。本が雪崩を起こしている。

「弥生!どうしたの?」

母は私が何か訊きに来たと察したらしい。昔から母は勘が鋭いからな・・・・・・・・・・。

「あのさ。お母さん、千羽病院に、「朝顔 雪」さんって居る?知ってたらどこの部屋にいる・・・・・・。とか。その他もろもろ教えてもらいたいんだけど。」

私は母に、そう言った。

すると、母は、

「知っているけど、なんで?」

と訊いてきた。まあ、そりゃそうだよね。そうなるよね・・・・・・・・・・。

もうしょうがない。また苦しい言い訳をするしかない。

「私の担任の先生が、前に担当していた、その朝顔さんに伝えてほしいことがあるって言ってて、私も協力したいな~って。担任の先生から、朝顔さんは、お母さんが携わっている千羽病院にいるって教えてもらったからさ。」

不知火先生、ごめん。ちょっと利用させてもらいます!

「そっか!弥生は優しいね~。」

母がにこにこ、そう言った。

ふう。助かった~。母さんが深堀しない性格でよかった・・・・・・・・・・。

「朝顔さんは、五〇五号室よ。確か、ちょうど今週退院予定よ。会いに行きたいなら明日ぐらいがいいと思うわ。」

母は私の欲しい情報とともに的確なアドバイスをくれた。

よしっ!明日早速会いに行ってこよう!!

母の部屋を出て、私は仕事部屋へ向かう。

漱石たちに一応教えおいてあげよう。

仕事部屋へ入ると、ちょうど二人とも起きていた。

「弥生さん。ちょっと話があるんだけどいいかね?」

治が私にそう問いかける。何だろう。

「実は、お試しじゃなく、本格的にメンバーになりたいんだ。いいかね?」

治らしい言い方だ。重要なことだけしかしゃべらない。

「いいよ!っていうか、逆に入ってほしい!」

私はお願いした身だ。入ってくれるなんて嬉しい。

「じゃあ早速なんだけど、このカードのメンバーのところの欄に、自分の名前を書いて。」

そう。漱石と私の名前が書いてある、あのカードだ。

「早速過ぎるだろ!」

グサッ!漱石のツッコミが横腹に突き刺さる。でもそんなことは気にしない。


私は今、にこにこしている。何故ならカードに、「治」の名前が増えたからだ。

やはり仲間とはすばらしい。持つべきものは仲間。

「あっ!そうそう。明日、私、雪さんに会ってくるね。」

「ええ!!!」

漱石と治はびっくりしたようだった。

「もう居場所突き止めたの?早っ!」

「われらは何をすればいいのかね?」

漱石と治かあ。う~む。そうだ。

「私たちがプレゼント的にやる方の材料を買っておいて。夏風邪、治ってきてそうだから。」

二人はほとんどもう回復している。

「了解!」

「明日、しっかり働いてきてね!「絶対」だよ!」

二人にそう、背中を押され、私は母のもとへ帰るのであった。

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