捜査の「弐日目」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~二日目~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

二日目は、早速雪さんを探し始めることにした。今日はたまたま、私は夏休み中でも学校が

ある日だったので、学校でも探してみることにした。その間に、治と漱石は大公園の周りで人に変身して(化けて)、近くの人に聴きこみをしてもらっている。今、高校三年生ということは、ひょっとしたら、今日の上級生の中にいるかもしれない。そう思うと、なんだか少し、身近な人物に思えてくる。

「先生!」

担任の不知火(しらぬい)先生に訊いてみることにした。不知火先生は全校生徒の音楽担当の美人の先生で、特に男子からの支持が強い。美人だから。全校生徒の音楽の授業をしている先生なら、雪さんがいるかを知っていそうな気がしたのだ。

「先生!」

「なあに?」

やった!先生から反応があった。人だかりができているから、答えてくれない気がしていたのだけれど。

「この学校に、朝顔 雪さんっていますか?」

時間がない気がしたので、単刀直入に先生に質問する。すると・・・・・・・・・・。

「いないわよ~。ちょっと待ってね。妖さん。」

なぜか呼び止められた。課題はちゃんと出したはずだ。ん?と思っていると・・・・・・・・・・。

「妖さん、なんで朝顔さんのこと知っているの?」

周りを人払いした先生が開口一番にそういった。

でも、さすがに事実を述べるわけにはいかない。何故なら。この学校は。この学校は!仕事禁止なのだ。ばれるわけにはいかない。

「えっと・・・・・・・・。実は、私の親戚に朝顔 雪さんと親友だった人がいて、今度会いたいから、もし身近にいたら、会わせてほしいって言われていて・・・・・・・・・・。全校生徒の授業を担当している不知火先生なら知っているんじゃないかな・・・・・・・・・・。と思ったので・・・・・・・・・・。」

嘘は嘘だが、あながち間違ってはいない。一応親戚じゃないけど探してほしいという依頼だし・・・・・・・・・・。う~む。難しいかも。

「私、前いた学校にいたのよ。朝顔 雪さん。病弱な子でね。大イチョウって知ってる?あれにちょうど雷が落ちた日、あの子は手術が成功して、少し持病が収まったかと思われていたんだけど、銀杏に雷が落ちたっていうことを知った後からだったかな。また悪化してしまっていた。それほど大事だったんだろうね。彼女の親友、かぁ。妖さんはしっかりしている子だし、特別に教えてあげる。あの子は、隣町の「イチョウ高等学校」にいるわ。病院は・・・・・・・・・・。確かあなたのお母さまが経営に携わっている、「千羽病院(せんばびょういん)」だったはずよ。親戚の彼女の親友の方に、そう、伝えてね。」

先生・・・・・・・・・・。すみません。親戚じゃないです。後、私と漱石と治だけです。そのデータが欲しいのは・・・・・・・・・・。でも、先生のおかげでどこにいるのかは分かった。「千羽病院」__________か。母に相談してみよう。仕事のことはいったん伏せて。母には仕事はばれたくない。きっと母が知ったらできなくなるに決まってる。それだけは絶対に避けなければ。

「先生、ありがとうございます。きっと親戚も喜びます。それでは。さようなら。」

さあ、早速漱石たちに教えよう。

「さようなら~~!!」

先生の美ボイスを聞きながら歩きだす。

漱石たち帰っているかな?一応電話を持たせているはずだから、最悪の場合、電話で「帰ってこい」と連絡を入れよう。

ガチャ!ガチャ!

玄関のカギを開け、部屋へ入る。そのあと、母がいないことを確認し、荷物を置いて、仕事部屋へ。まだ、漱石たちは帰ってきていないようだった。

もう待つのも疲れるし、電話してしまおう。

トゥル。トゥル。トゥルルルル!トゥルルルル!トゥルルルル!トゥルルルル!

漱石たちは、四コールで出た。

「朝顔 雪さんの居場所を突き止めたから、早く戻ってこぉ~い!!!」

私は必要事項だけ伝えて、漱石たちの帰りを待とうとした、その時。

「ちょっと!弥生!助けて!」

「へ?」

いきなり「たすけて!」なんていわれたものだから、変な声が出てしまった。

「あっはははははは。ずいぶん面白い冗談を言うものだね、漱石君」

皮肉をたっぷり込めて言い返したその時。

「弥生さん!助けてください!拙者たちは危機的状況にあります!」

なんと治までもが言い出した。さすがにただ事じゃないなと思っていると。

「かっこいい~!」

という女性陣の叫び声。あっ。そうか。二人は「化けた時だけ」、「見た目だけは」良い、のだ。きっと、聞き込みをしていたら、いろんな人が集まってくるものだから、帰りたくても帰れない、元の姿に戻りたくても戻れない、ということになっているのだろう。

でも結構それはまずいな。一刻でも早く帰ってきてもらいたいのに・・・・・・。

二日目。わが仕事チームのメンバー二人は、夜中一時になってからやっと帰ってきた。そのため、会いに行くという任務は次の日に持ち越されることとなった。

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