入れない「キッチン」
~~~~~~~~~~~~~数日後、夕ご飯を作り始める頃~~~~~~~~~~~~~
タンッ!タンッ!タンッ!
キッチンに規則的なねぎを切る音が聞こえる。規則的な音。まるでメトロノームのようだ。
シュウッ!グツグツグツッ!
そしてたっぷり水蒸気を含んだ熱い湯気。
「料理」を作るってきっと楽しいよね!多分・・・・・・?
でも。「料理」はほとんど作ったことがないからな~。だから、「料理作り」の体験をするために、本当は、私がねぎを切るはずだったのに。
================妖弥生による回想================
「そろそろ夕飯の準備をするよ。今日は夜、そうめんを作ろう!私今そうめん食べたいし!これまでキッチン出禁に(出入り禁止に)されて、料理を作った経験がほとんどないから、今日は思いっきりそうめん作るぞ~!」
私は思いっきり気合を入れて、今日初めて使う、「NEW!APRON」のひもを結ぶ。
これまで、私は、父にも母にも、それこそおばあちゃんにも。
「弥生は絶対にキッチンに入らないこと!それから、絶対に、炊飯器も、レンジも、冷蔵庫も、フライパンも・・・・・・・・・・etc 絶対に使わないこと!」
と言われてしまってまったく料理をする機会がなかった・・・・・・・・・・。というよりかは、家族が徹底的に私に「料理をさせない」ようにしていた。私は、どうやら小さいころにボヤ騒ぎを起こしたり、ご飯を黒焦げにしたり、炊飯器でご飯を炊いたら、なぜかポン菓子?のようなものになっていたり・・・・・・・・・・etc いろいろやらかしていたらしい。そんなこんなで、家では料理ができなくなってしまったが、学校の調理実習は小学校で一度だけ行ったことがある。しかし、学校の家庭科実習ですら、中学生の時に私が作ったものを食べた人が倒れて失神してしまい、食べる専門になってしまったため、もうまったく料理をしていない。さあ、まず、そうめんをゆでよう、と思った瞬間に私はふと思った。
「漱石、治、あんたたちイヌとタヌキでしょ。どうやって料理するの?」
私はひやひやしながら二人に聞くと・・・・・・・・・・。
「フッ!フフッ!こんなこともあろうかと拙者は「タヌキの変身するときに使う葉」を持ってきたのだ。これでわれら二人、人間になれるぞ。」
葉って・・・・・・・。あのタヌキが変身するときの!?あの葉??
私が頭の中で?をずっと浮かべていると、漱石が、
「「変身」ではなく、「化け」であろう。変身タヌキなど聞いたことがない!化・け・タ・ヌ・キだ!!」
・・・・・・・・・・。
言っていることが幼稚すぎる。「変身」であろうと、「化け」であろうと、人間になれるとは面白いではないか。普通は多分、治の「葉」にツッコミを入れるだろう。さすが漱石。常識の通じない犬よ・・・・・・・・・・。(注意:弥生は天然です。弥生の常識も、もちろんずれています)
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