奇妙な生き物との「遭遇」

カラッ!カラッ!ドアが開く音がする。

「こんにちは。拙者、修験道極めて早五十年。拙者は今日、天城山より下山し、今回、山伏になりたいという妖弥生殿を迎えに参った。弥生殿または漱石殿、いらっしゃるかね?早速修行を始めますよ~!」

といきなり獣?が喋りだした。「これ」は一体なんの種類・・・・・・?毛は茶色いし。耳はほっこりしているし。う~ん。イヌ科?キツネ?タヌキ?なんだ?

「一体誰?山伏になりたいなんて言ったことも、思ったこともないわよ!一体誰?こんなやつをよんだのは!それに、あんたは、タヌキ?キツネ?それとも何?」

不審者か?と疑いながら私はその獣?に言う。

「拙者、名は治(おさむ)という。そして拙者は「タヌキ」だ!聖なるタ・ヌ・キ!!」

治、ねえ。なんでこんなに作家の名のけものが私の周りにいっぱいいるのであろうか・・・・・・・・・・。

あと。私の個人的な偏見だと、タヌキは田舎の大通りとかで車に轢かれた死体で転がっている、という印象しかない。だから「聖なる」とは一番かけ離れた動物だと、私は思う。

「で。一体何でここに来てるわけ?」

さっき訊いたはずなのに、はぐらかされた気がするのでもう一度。

「漱石殿に頼まれたんですよ。修行させてやってほしいと。だから拙者はわざわざ。五十年も修行している天城山を初めて下山し、山伏になりたいという弥生殿を向かいに行き、仲間を増やそうと思ったのだ。さあ、行きましょう。天城山に。修行も楽しいぞ。」

治が言った。そもそも修験道は明治時代ごろ?だったかな。禁止令が出ているはずだ。

「修験道は禁止令が大昔に出されて、禁止になったはずだよ。だから私はいかない。」

私は行きたくないばかりに屁理屈のように言った。絶対にやりたくない。どういう事情かは知らないが。禁止令が、明治時代に出されたのは、確か、あっているはずだ。

「そうです。修験道は禁止令が発令されて、禁止になりました。だから、事実としては、山で、運動しているだけなんですよね。だから正しくは山籠り。山籠りと言っても、こいつは運動バカだから、運動しまくる山籠り。だから、治は、実はただの山籠りのタヌキ。それが治なんですよ。ね?お・さ・む?」

漱石がなんか治に圧をかけながらそういった。山籠り、かぁ。つまり・・・・・・・。

「漱石、あんた私が運動苦手なの知っているはずだよね?ね?それなのにこんな山籠りやろう・・・・・・。ゴホッ!ウウン。治に私と修行させようとした、ってことは、あんた私を一週間以上筋肉痛でねこませるつもり?少しは私のことも考えてよ!流石に運動は無理!ムリ!」

まさか、私に運動させようと仕組んでいたとは・・・・・・・・・・。恨むぞ漱石!祟るぞ漱石!

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