現実と「夢」

「弥生~ や・よ・い 起きて~ 」

ムッ。なぜかいきなり騒がしいな。いいじゃないか。少しぐらい。いつもの疲れがたまっているんだ。もう少し寝かせておいてほしい。だって今日は・・・。

「先生、私は寝坊していません!」

そう叫んで私は起きる。今日は学校があったはずだ。確か今日は金曜日。

「いったい何を言ってるの、弥生。今日は土曜日。」

いや。絶対違うと思う。だって私は今日、全校生徒の前で作文を読まなければならないはず。だから絶対違う。

「だって私まだ作文を読んでいないもの。だから今日は金曜日。漱石、カレンダーをよく見なさい。」

漱石が不満げな顔で私に話す。

「弥生こそカレンダーを見てみなよ。今日は土曜日。神在月の第三土曜日だよ。ちなみに弥生は昨日朝倒れたんだよ。だから作文は発表してない。」

漱石が言い放つ。まさか、私が倒れたとは。小学校、中学校ともに皆勤賞だった私が・・・。

「神在月?ここは島根県ではない。だから神無月だぞ。漱石は島根からはるばるやってきたのか?」

「まさか。君は神の使いの一族なんだ。だから神無月じゃない。神在月。あと、多分昨日気絶して倒れたせいで記憶が混乱しているよ。君は作文を読む予定はないし、読んだこともない。多分弥生は高校生の頃の記憶が混ざっているんじゃないかな。」

どういうことだ。私はだって今高校生のはずだ。

「やっぱり混乱してるみたいだね。君は今大学生だよ。」

「・・・。でも、そしたらなんで漱石のことはちゃんと覚えているの?」

そうだ。高校生のはずなのにいきなり「お前は大学生だ」なんて言われて、すぐに信じられるわけがない。漱石についてはしっかり覚えているのだから、やはり漱石が間違えているのだろう。

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