レイケンという「力」
「弥生、君にいくつかヒントをあげるよ。まずこの力について。この力が妖家直系の当主にしか現れない力だとは知っているよね?」
漱石の質問に、私はコクリとうなずく。
「この力は昔から、霊見(れいけん)と呼ばれている力で、その名の通り「霊」が見える。このレイケンがなぜ妖家に託されているのかはずっと解明されていない。この力をどのように使うかは君次第だ。君が霊に面倒な仕事を押し付けてバカンスに出かけるのもよし。レイケンを使って人助けをしてもよし。なんでも許される。だから何をするかは君次第だ。別に何もしなくてもいい。でも何もしないのはさすがに力がもったいないとは思わないかい?せっかくなら何かしたほうが楽しいと思うんだよね~。」
漱石が私の何倍も明るい口調でそう言った。レイケン。人助け。私にもできるだろうか。また人を助けることが________。ハッとした。なぜ「また」なのだろう。私はこれまで人とかかわったことはないはずなのに。学校でも、毎日どこのグループにも属さず、一人で行動していた。委員会や部活で共に過ごした「知り合い」がいたとしても、私には「友達」などいなかったのに。自分から周りと距離をとって、人とのかかわりを捨てたはずなのに。「何故」その言葉だけが頭を取り巻く。あれだけ人を拒み続けてきた私が人助けをするわけがない_________。そこで私の意識は途絶えた。
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