わたしの中の「孤独」

そして現在。私の守護霊と主張している犬が一匹。名前がないそうなので私の好きな作家の名前からとった「漱石」という名前を付けた。漱石は本当に守護霊なのだろうか。まったく漱石についてはデータがない。でもなぜだか漱石がとても懐かしくなる時がある。一体なんでなのだろうか。でも、私に仲間なんていらない。私は一人でできる。きっとこれまでだったらそう言ってた。でも今はとてもじゃないけれど「できる」なんて言えなかった。父が死んでから、母は家でずっと取り乱していた。どんなに私がいても、私が頑張っても。母の心にぽっかりと空いてしまった穴は、私が少しでも埋めることを許されないのだ。これまでずっと、認めてほしくてずっと頑張ってきた。でも、ある時、ふと気づいた。なんでこんなに頑張っているんだろう、と。認めてもらったところで、私は何もできない。父ではないのだから。最近はずっと気を張り続けていた。だからなのか、なぜだかたまに誰かと一緒にいたいと思う。でもそんなことが叶うはずがない。私には友達、という人がいない。これまで私は「妖家の弥生お嬢」としか見られていなかったからだ。妖家はもともと華族だ。だから、これまで私に近寄ってくるものは皆、親の入れ知恵であり、仲良くなって自分たちの家がもうけようとしていた者たちだった。だから私は誰ともかかわらなかった。かかわったら、ロクなことがないと幼心であっても理解していた。とはいえ、小さいころには「親友」というものがいたらしい。私は記憶を失っている部分だからわからないが、とても仲が良かったと母が楽しそうに話していたのを今でも覚えている。

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