1円w

@nemunemuseizin

0円

「1円って、、、、」


夕暮れの教室、西日眩しく。

教室は俺と彼の2人しかおらず、ただただ駄弁るだけの時間が続いていた。

そんな中、なぜだったかは忘れたが、ある駄菓子の話になっていた。そのお菓子とは俺たちの世代では食べたことがないであろう「ぬ〜べるすとり〜と」という、小さいカップ麺のようなお菓子だ。

このお菓子はご飯の上に載せたり、ぬ〜べるをいくつか購入して、本当にラーメンにしたりなどとバリエーション豊富な食べ方があり、味としては良かった。だが唯一の難点があった。

それはこのお菓子の値段が300円と小学生当時の僕らにしては高かったということだった。毎回これを買ってもらうのにお小遣いを貯めるために皿洗いや、肩を揉むなどといった親の手伝いを沢山していたという話をしていたが、今思えば高校生の僕らからすれば300円はかなり安い。彼は食べたことがないらしく、今日の帰りに駄菓子屋に拠ってそれを買おうとしたが彼の財布には、299円しか無かったのだ。

1円足りなく、悲しんでいた彼に俺は


「1円って、たかが1円じゃん。」


そんな言葉を俺は吐き捨てるように言った。


「1円を笑うものは1円に泣くって言うでしょ?大切にした方がいいよ。1円をなめないで。お前ほんと金使い荒いとこあるよな。」


彼は時々こうゆうところがある。求めてないのに勝手に説教されてるような気持ちになるのだ。説教を垂れるとか何様だよなんてことを思ったが、別に言うほどでもなかった。


帰り道、俺は家までの帰路を歩いていた。

日は完全に沈み、空には街灯の光と月しか光っていなかった。


「1円かぁ、、、、、。」


空を見上げながら今日の出来事を馳せていると俺は地面に吸い込まれた。

地下深く、だんだん奥に落ちていく感覚が上を見ながらでもわかった。それと同時に、生命の終わりを一瞬ながら感じた。

死ぬとはこうゆうことか。まるで小学生が言うような薄っぺらい感情しか出てこなかったが、それが余計に死というものを感じさせた。


地面から投げ捨てられるように落ちた。気づけば、地下のようなそうでも無いようなどこかに落ちていた。上を見ると、先程までの地面から落ちた穴が見える。

その穴はさっき見た月よりは大きかったが、足で飛んで穴に手が届くような高さでもなかった。

どうにかして出ようかと携帯で警察に連絡しようとした矢先、声をかけられた。


「来訪者、いらっしゃいませ」

そこには頭部が1円玉のスーツを着た大柄な男がいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

1円w @nemunemuseizin

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る