第53話 テツベンダーとの決着
「ぶらあ~~~っ!」
「破っ!」
「ぐはっ!」
奇声と共に振るわれたテツベンダーの一撃。
太極ドラゴンシフターの肘打ちで突き返される!
「まだまだ~っ!」
「前なら苦戦したが、冷静に対処できる」
超人的な速さとパワーで繰り出される鉄鞭の猛打。
太極ドラゴンシフターは、敵の猛攻をリズムゲームでタップする如く払う。
「ぶらぶらぶらぶら~っ!」
「そのリズムは覚えたよ!
相手のラッシュを捌きつつ、下段キックでテツベンダーの体勢を崩すっ!
「ローリングテールスイングです」
太極ドラゴンシフターは、バイシクルキックの要領で回転しながら尻尾を振るう。
敵が鉄の鞭ならこちらは尻尾の鞭だと、テツベンダーを岩壁に叩きつけた!
「お祖父さまの龍人拳法も役に立ちましたね、ご主人様♪」
「ああ、この姿だと何か流れみたいなのが掴めるって感じがする」
「私達もまだ使いこなせていませんから、思う存分試させていただきましょう」
「だな、砲撃が来るっ!」
ジンリーと立磨が中で相談しながら、太極ドラゴンシフターが動く。
テツベンダーから放たれた闇のビーム。
太極ドラゴンシフターは、黒い陰側の半身で受けて吸い込む。
「ふおおおっ! ご主人様が吸った敵の攻撃で私に力が漲りますっ!」
「うんじゃ、陽サイドで反撃宜しく♪」
「お任せ下さい♪ お返しの、太極バーストです♪」
今度は白い陽側の体を前に向け、掌打を突き出すと同時に金色のビームを放つ!
大爆発が起こり、山が消えた。
だが、テツベンダーはまだ生きていた。
「ぐふっふ、中々やるのであ~る♪ だが我輩はまだやられんのであ~る♪」
仮面の下で笑うテツベンダー。
「私達も負けてませんが以前よりもしぶといですね、あの幹部怪人」
「うん、敵も邪仙の技術とかで強化してるなこりゃ?」
「正義と悪はお互い、抜きつ抜かれつの競争ですからね」
「血を吐きながら続ける競争だけど、その上で勝つ!」
手応えは感じる、属性的にも負けてない。
敵と自分達の動きを、俯瞰し相談しながら立磨達は太極ドラゴンシフターを操る。
「ジンリー、相手の体力ゲージはどれくらい削れてると思う?」
「おそらくは、そろそろミドルウーンズと言う所でしょうか?」
「なら次は、俺の方にエネルギーを回してくれ♪」
「ええ、喜んで♪ ド派手に決めちゃて下さい♪」
「ああ、ドカンと行くぜ♪」
中で相談して、次の手を決める太極ドラゴンシフター。
黒の陰側、太極ドラゴンシフターの右腕全体が爆発的に肥大化する。
「……ほう、必殺の一撃に賭けるであるか? 乗ってやるのであ~る♪」
「ヘイヘイヘイ♪ ノリが良いね♪ オラ~~ッ!」
突っ込んで来るテツベンダーに、太極ドラゴンシフターが拳を叩き込む!
双方のぶつかり合いが爆発を生み、膨大なエネルギーが発生しかける。
「陰気を吸い取り力に変えて、今度は陽の側からもう一発です!」
テツベンダーと太極ドラゴンシフターの爆発で生まれるはずのエネルギー。
それを全て吸い込んだ、太極ドラゴンシフターの白く光る左拳が唸る!
「ぶるぁ~~~~っ!」
殴り飛ばされたテツベンダー。
装甲が砕けると同時にさらけ出された生身も、白い光に包まれて消滅した。
普通ならこれで、太極ドラゴンシフターの勝利となるはずであった。
「ぶわっはっは♪ まだ終わらんぞ蛇共~っ♪」
虚空から甦るテツベンダー、だが太極ドラゴンシフターは動じない。
「だろうな、復活の類をして来るとは予想はできてたよ」
「中国では、死から甦る化け物は普通ですしね」
「完全死亡からの復活、悪いが俺達には切り札にはならないぜ!」
「こっちは、エネルギーを生み出して永遠に戦えますから!」
敵が蘇るなら何度でも叩きのめすまで!
太極ドラゴンシフターが、雄叫びと共に全身から金色の光を放つ!
「ぬうっ! 貴様ら、一体何をしたのであるか?」
「お前を逃がさないように、結界を張ったんだよ!」
「ここで完全に蘇らなくなるまで、あなたを倒し続けます!」
「……馬鹿な! そんな戦法では、貴様らの寿命が持つはずが!」
「「龍の寿命は一万年っ! 滅びよ悪党っ!」」
陰と陽が一つになった太極ドラゴンシフターのエネルギーは無尽蔵。
敵が何度甦ろうとも殺し続けられる。
再び鉄鞭と拳、善と悪の双方が激しくぶつかり合う格闘戦となる。
「ぬおお~っ!」
二本の鉄鞭を、縦横無尽に嵐の如く打ち込み続けるテツベンダー。
苛烈将軍の称号に相応しい猛攻で、太極ドラゴンシフターを攻め続ける。
「よっし、もうばっちり敵の動きに馴染んだぜ♪」
「当然です、廃課金の如くエネルギーをつぎ込んでおりますから♪」
だが、ドラゴンシフターの中で立磨達が笑う。
テツベンダーの猛攻に太極ドラゴンシフターは対応していた。
敵が無限に攻めるならばこちらも無限に受け払う
どれだけ敵に攻められても柳に風。
敵の攻撃のエネルギーを吸収し、無限に回復しながら戦う太極ドラゴンシフター。
もはやテツベンダーの攻撃は、恐れるに足らずであった。
「ぐぬぬ、ならば今度は巨大戦で貴様らを倒して抜け出してくれる!」
生身戦では埒が明かないと感じたテツベンダー。
距離を取り、己の足元に紫色の光の魔法陣を展開する。
「つまるところ、敵はもう復活はできないな♪」
「ええ、巨大戦を挑むのは背水の陣の証!」
「俺達も金龍合神を呼ぼう♪」
「はい、決戦です♪」
太極ドラゴンシフターも腕を組んで仁王立ちしてロボを呼ぶ。
大地が振動し地面を割り、太極ドラゴンシフターの巨大ロボット。
モデルにした三国の英雄である馬超の如く、金龍合神が威風堂々と出現した。
金龍合神と向き合うのは、紫色をした怪奇な巨大ロボット。
胴体も手足も全て戦車でできた、異形の人型ロボットであった。
「見よ、忌まわしき神の眷属たる蛇共よ!」
機体の中でテツベンダーが叫ぶ。
「これぞ我が愛馬、我が全て、アイゼンパンツァーである!」
テツベンダーが語り出す、金龍合神は動かない。
「女王陛下の為、我がクライゾーンの為! 貴様らを討つ、パンツァーフォー!」
アイゼンパンツァーの足のキャタピラが回り出した。
「敵ながら、堂に入った語りと名乗りでしたね」
「ああ、悪の組織の一員だが奴も戦士なんだ」
一騎討討ちと名乗りは聞くのが礼儀、ならばこちらもと二人が叫ぶ。
「
「天に封ぜられし大地の守護として、貴様を討つ! いざ、勝負だっ!」
金龍合神が名乗りを上げれば、返って来るのは敵の主砲の一斉射撃!
「ぶわっはっはっ! 悠長に名乗り返すとは愚かであ~る!」
金龍合神の名乗りを笑うテツベンダー、ビームも実弾も全てぶっ放す。
アイゼンパンツァーからの無数の砲撃を受ける金龍合神、敵の全弾が命中する。
「むむ、全弾命中したはずであるが高熱反応だとっ!」
軍隊の作戦司令室のような広いコックピットの中。
テツベンダーがセンサーの反応に驚き、煙が立ち込める前方を見る。
煙が晴れると共に銅鑼の爆音が鳴り響き、無傷の金龍合神が姿を見せた。
「無問題ですね、ここが奴の赤壁です♪」
「だな、敵は三国志とか読んでなさそうだけど?」
「孔明の罠ならぬ、お返しの
金龍合神の肩アーマーの龍頭が拳へとスライドし爆発と共に射出される!
「ぬうん! ならばこちらも受けてやるのであ~る!」
相手の余裕に対抗意識を燃やすテツベンダー。
龍頭鉄拳弾の直撃した振動が機内に響き彼を襲う。
龍頭鉄拳弾は残念ながら、アイゼンパンツァーの装甲を貫通できず戻る
「くそ、奴の装甲を貫通できなかったか!」
「ですが、倒しがいがありますね♪」
「おっし、気合い入れてもう一丁ぶちかましに行くぜ!」
気合いを入れて突進する金龍合神。
「ぶるぁ~っ!」
アイゼンパンツァーは腰に両手を回し、柄付手榴弾を二刀流で振るう!
「甘いぜ、緊急分離っ!」
「か~ら~の~♪ 再合体です♪」
金龍合神は分離して回避し、アイゼンパンツァーは空振りして地面を誤爆する。
「背中がお留守ですねえ♪」
「喰らいな、
アイゼンパンツァーの背後に回った金龍合神が、体当たりを喰らわす。
「ぐおおっ! まだだ、まだやられんのであ~る!」
転倒するも立ち上がり、反撃だと砲撃してくるアイゼンパンツァー。
金龍合神は両腕を十字に組んで受け止める。
「どうした、もっと気合い入れて掛かって来い!」
「我らは、まだまだ元気ですよ♪」
アイゼンパンツァーを煽る金龍合神。
「くそったれが~っ!」
アイゼンパンツァー、今度は巨大なスコップを二本取り出して襲い掛かる。
「受けて立つぜ、
金龍合神も巨大な鉞を召喚して、敵のスコップと打ち合う。
「おのれおのれ~っ!」
生身の時と同様に鉄鞭ならぬスコップ二刀流で襲い来るアイゼンパンツァー。
「どうした、生身の時と太刀筋が変わってねえぞ!」
「邪仙から技術をパクってその程度ですか!」
体は一つになっても二人で敵を煽るドラゴンシフター。
「ならばこの技を受けて見よ! アイゼンシュトルムであ~る!」
アイゼンパンツァーが距離を取ると高速回転を始め、鉄の竜巻と化して進撃する!
「面白え! ならこっちも新技だ♪」
「はい、
金龍合神も新技の為に、エネルギーを解放すれば右半身が黒の左半身が白のエネルギーに包まれる。
「喰らえ、
金龍合神が、敵へ向けて両の拳を突き出せば白と黒のエネルギーが放たれる。
放たれた二つのエネルギー弾は虚空で衝突し混ざり合い、巨大な太極図へ変化。
アイゼンパンツァーと激突すた!
「ぐわ~~っ! 馬鹿な、我輩が此処で敗れれると言うのか~っ!」
太極陰陽拳の直撃を受け、テツベンダーは機体の中で断末魔の叫びを上げながら光と闇に半身をそれぞれ持っていかれる形で消滅した。
敵の消滅を確認すると、金龍合神の中でドラゴンシフター達は分離する。
「良し、これにて決着だな♪」
「はい、残る因縁の幹部はキーロックですね♪」
「だな、まあ他の組織もまた新たな幹部が出て来るだろうな?」
「その時はその時、家に帰ってラブラブタイムですよ♪」
「いや、緊張感どこ行った!」
新たな力でテツベンダーに勝利したドラゴンシフター達。
まずは一時の勝利を喜び合い、次の戦いに備えて帰還するのであった。
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