第34話 小口の悪党、邪仙人
「学校の冬休み明けから日本で、キョンシーパニックかよ!」
ドラゴンシフターが警察署の駐車場でキョンシーを相手に戦っていた。
「被害者の方達を纏めて鶏の血ともち米のお風呂に着けて下さい!」
二号は署内において、キョンシーに襲われた警官達の救助に当たっていた。
正月休み明け早々、フロートシティ警察署で突如起きたキョンシーパニック。
島に漂着した不審船から発見された棺、中には遺体ともあれば警察に異常死体として届け出られて検視官が調べる事になる。
後のカメラ映像で検視中に、札のはがれたキョンシーが覚醒し検視官が殉職したのをスタートに事件発生となったと判明した。
「ちいっ、こいつ昼間でも自由に体が動ける奴か!」
「ホアアーッ!」
「てやっ!」
カンフー映画のように、自由に手足を動かしアクロバティックに旋風脚などを使って来るキョンシーと真剣に打ち合うドラゴンシフター。
中華系列のヒーローなのでキョンシーなどの大陸の妖怪知識はあったが、まともにぶつかるのは初めてなドラゴンシフター。
龍に覚醒し、常人以上に強化されたドラゴンシフターとガンガン打ち合う敵。
「こいつ、誰かが格ゲーみたいに操っているのか?」
陽の気のエネルギーを纏わせた光輝く拳を叩き込みながら、敵がゲームkyララのように操られているかのような動きをしていたのに疑問を呟くドラゴンシフター。
ドラゴンシフターの放った打撃から染み込んだ陽の気が効いているのか、体から焼けた時に出る煙を上げるキョンシー。
「止めだ、ファンロンエルボー!」
ドラゴンシフターが、必殺技でキョンシーを木っ端みじんに爆散させる。
「へえ、こんな島に龍がいたんだ~♪」
「……どこのどいつだ?」
ドラゴンシフターが見上げると、黒い中華風のジャケットにスパッツと言うスポーティーな紫ツインテールのメスガキ系な美少女がニヤニヤしていた。
「お兄さんこわ~~い♪」
「噂の邪仙か、まずはジャブだ!」
ドラゴンシフターが空を飛び、拳から気の砲弾をメスガキへと向けて放つ!
「はいはい、防御符♪ 最初から全力で来なよ♪」
「冗談、一応仙人とかについて勉強してんだ迂闊な事はするかよ」
「ぶ~っ! つまんな~い! 若いんだから、もっと勇猛果敢に行きなさいよ!」
「アバターに踊らされるかよ、様子見ならとっとと帰れ!」
美少女がアバターであると見抜いたドラゴンシフターは、無駄な攻撃は止めた。
「私、陰キャな小賢しい子嫌い! 次はこんなんじゃないからね!」
メスガキは捨て台詞を吐いて姿を消した。
「ち、ダークカルテット以外の敵とか面倒くさい事になって来たな」
ドラゴンシフターは地上に戻ると、署内で救助活動をしている二号のサポートに向かった。
「間違いなく
「そうか、何だか面倒な事になりそうな相手だったよ」
「間違いなく面倒ごとですね、実家にも報告しなければ」
事務所に戻りジンリーと話し合う立磨。
「そう言えば、邪仙って近代でもヤバい事してたんだよな?」
教科書に軽く書かれていた事を思い出す立磨。
「ええ、第二次恐怖の大王戦争では奴らは恐怖の大王側に与したのです」
「ああ、そりゃ絶対にヤバい奴だ」
別名、第二次世界大戦とも呼ばれる世界対恐怖の大王の軍勢との二度目の大戦争。
昭和の頃、世界がほぼ一丸となって恐怖の大王の軍勢と戦う中。
第一次でも出た、地球側から敵に付いた一角が邪仙達であったらしい。
「ご主人様、我ら黄家とご主人様も奴らと因縁があります」
「まさか、俺のひい祖父ちゃんに当たる人が関わってるとか?」
「はい、稀代の妖怪ハンターであられた
「……ぜ、全然知らなかった!」
まさかの自分との関係を聞かされた立磨。
立磨自身は、母が中国人のクォーターと言うぐらいしか聞いてなかった。
「祖父は、立心様が霊力を失い相棒だった祖父の存在を認識できなくなった後も立心様を案じており一族を使いお守りして来たそうです。 立心様と最後にした約束を信じて」
ジンリーが涙ながらに語る。
「で、俺が生まれてヒーローを目指したから力を貸してくれたって事か」
昔から今まで繋がっているんだなと立磨は、思いを馳せた。
「なので、私達でしっかりと子孫を繁栄させて祖父と立心様の想いと血筋を未来へと繋げて行きましょう♪」
「いや、ステイ! ステイ! 折角の良い話を台無しにするな!」
「良い話を大団円にする為にも、ここは一つ!」
「まだ早い、あと何回か敵との決戦を片付けてからだ!」
勢いに乗って暴走するジンリーをどうどうと抑える立磨、立磨としてもそうしたいが敵との戦いを考えると子孫云々は平和な時にしたかった。
「ふう、取り乱しました」
「いや、まあ俺もジンリーと子孫繁栄はしたいけど敵が邪魔するからな?」
「ええ、邪魔者を片付けてからじっくりとですね♪」
「うん、育児とかじは平和な時じゃないとな」
「子供達用の施設や装備の開発なども、時間と費用が掛かりますからね」
立磨は自分とジンリーの考えの規模の差が気になったが、自分の財布を握っているのはジンリーだと思い出すと置いておこうと思った。
「これからはいつも戦っている悪の組織に加えて邪仙にも警戒して行くか、イレギュラーズの方にも共有しておかないと」
「そうですね、彼らも連中の事は詳しいですから」
立磨とジンリーが話していた所、突然事務所のドアが爆破された!
「敵襲だ、ドラゴンシフト!」
「許せません!」
「ヒャッハ~♪ 遊びに来ちゃったよ~ん♪」
仙術の結界で守られた事務所を襲撃して来たのは、同じ技術を持つ邪仙だった。
「出たなメスガキ仙人、地獄へ落ちろ!」
「万死に値します! 壺中天フィールド!」
二号が侵入して来た敵グループを異空間へと引きずり込む。
「へえ、やるじゃない♪ ここなら思い切り遊べるわ♪」
紫ツインテのメスガキ邪仙が笑う。
「ご主人様、
「ああ、行くぜ!」
ドラゴンシフターと二号がその手に
「ふ~ん、小賢しい♪ 行け、キョンシー共~っ♪」
生意気美少女キャラを崩さない邪仙が、キョンシー達をけしかける。
「見せてやる、宝珠セット!
ドラゴンシフターが、武器の穂先に付いているスロットに赤い宝珠をセットすれば大刀の刀身か真紅の炎に包まれて燃え上がる。
「宝珠セット、
二号は、黒い宝珠をセットすると大刀の刃が冷気を纏うと吹雪を噴き出した!
「燃え尽きろ、
「凍てつき砕け散りなさい、
炎と吹雪、二頭の龍の舞がキョンシー達を片や焼き尽くしもう片方は氷漬けにしてバラバラに打ち砕いて行く!
「やるわねあなた達、ならこの
名乗りを上げたメスガキこと
ドラゴンシフター達へと流星雨の如く降らせる!
「何のこれしき!」
「我らなら、乗り切れます!」
ドラゴンシフター達は頭上で大刀を回転させて、火炎と吹雪の大竜巻を起こして竜巻同士をぶつけて発生させた爆発で敵の攻撃を相殺した。
「ちいっ、これだから知恵の付いた霊獣は嫌なのよ!」
攻撃を防がれて悔しがる
「やかましい、人様の家を襲撃しておいてふざけんな!」
「邪仙に人権はありません、覚悟なさい!」
「そっちだって、蛇の癖にっ!」
金眼元君、金色の目をした巨大な紫色の毛の狐に変化する。
「上等だ、狐汁にして食ってやる!」
「いえ、あれは食べるにも値しません!」
ドラゴンシフター達も、金色のメタリックなドラゴン形態に変形して立ち向かう。
尻尾を逆立てて、無数の毛針を放つ金眼元君。
ドラゴンシフター達は、陽の気を纏わせた光り輝く尻尾を振るって襲い来る毛針を叩いて打ち消した!
「どうする? このまま行けるか?」
「いいえ、ここは
「ああ、了解!」
ドラゴンシフター達は、そう決めると巨大ロボットである金龍合神を召喚して体当たりをして乗り込んだ。
「巨大ロボット~? あんた達、日本文化に毒され過ぎだろっ!」
金眼元君が吠える。
「俺、まだ国籍は日本人だから」
「日本のロボット文化を解せぬとは、あわれな物ですね♪」
「だからと言って容姿はしない、
ドラゴンシフターがコックピット内でレバーを操作すれば、金龍合神の拳に龍の頭が肩からスライドして来て装着されると金眼元君へ向かい射出された!
巨大な紫色の狐の怪獣の頭を、空飛ぶ龍の頭が殴り飛ばす!
「ぐはっ! 己小賢しい爬虫類が~~っ!」
金眼元君が雄叫びを上げて口から紫色のブレスを吐き出す。
「悪いな、そんな邪悪な瘴気は効かないぜ♪」
「我ら龍の陽の気の力を侮るな!」
敵のブレス攻撃が直撃しても無傷を誇るスーパーロボット、
「必殺技で仕留めるぜ、
「ええ、ぶった切てやりましょう♪」
ドラゴンシフターがレバー操作をすれば、金龍合神が右腕を頭上に上げる。
その動作に合わせて、天に暗雲が立ち込めて落雷と共に金龍合神の手に巨大な金色の口を開けた龍の頭のような形をした刃を持つ鉞が握られる。
これが金龍合神の必殺武器、
「おのれ、そんな玩具でやられるものか~~っ!」
最後の悪あがきだと牙を剥き、体当たりを挑む金眼元君。
「悪いがこれで終わりだ、決めるぜ!」
「エネルギーは問題なしです、どうぞ!」
「おっしゃ、サンダースマッシュ!」
ドラゴンシフターのレバー操作で、金龍合神が武器を両手持ちにすると鉞に落雷が落ちて金色のエネルーを斧刃が纏う。
あとわずかと言う距離にまで金眼元君が近づいた所で、金龍合神は稲妻と共に鉞を振り下ろし敵を両断して滅ぼした。
「敵の気配はどうだ、二号?」
「妖気の反応は無し、撃破成功です♪」
「よっし、乗り切ったぜ♪」
「帰ってからの後始末が少々手間ですね」
「まあ、それはそれで頑張ろう♪」
通常空間に戻ってからの事後処理を面倒だと思いつつ、機体から降りてロボを整備工場へと戦術で送還したドラゴンシフター達。
二人は邪仙の第一撃を退けつつ、今後に備えようと決めたのであった。
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