第三章:巨大戦デビュー編
第12話 教習場へ行こう
立磨とジンリーの、夫婦で二人のWドラゴンシフターが発表されて数日後。
「ゴミ処理場での怪人討伐依頼ですか、受注しましょう♪」
ジンリーが事務所のパソコンで、事件解決の依頼を出しているサイトを調べる。
RPGで冒険者がギルドでクエストを受けるように、ヒーロー達もヒーローリーグと言う組織から出されている依頼を選んで受けていた。
そして今、二人のユニットとしてのデビュー戦が始まる。
場所は市外から離れたゴミ処理場、相手はデーモニウムそのものをコアとして無機物や生物を取り込みボディを構成している新型の怪人デーモロイドが二体。
「ステラレタウラミ~~~ッ!」
「ゴミジャナイ~~~ッ!」
一体は、フィギュアやゲーム機に加えてサッカーボールなどの玩具やスポーツ用品類で構成されたその名もトイデーモロイド。
もう一体は、電子レンジやテレビにガス台など家電や生活用品で構成された怪人のドメスティックデーモロイドの二体。
クライゾーンのスリムマンが、人の業から新たに生み出した怪物達であった。
「人の業から生まれたとはいえ、人と世に仇為すなら止める! 行くぜジンリー♪これが公式カウントの、俺達二人でのヒーローユニットでのデビュー戦だ♪」
「はい、私達の愛の力を見せつけてやりましょう♪ 容赦はしません!」
パーカーにストレッチパンツと私服の立磨と、パンツスーツ姿のジンリー。
二人が同時にバックルを片手に持って掲げ、ハートマークを象るように構える。
「「ドラゴンシフトッ!」」
二人が同時に叫び、バックルを腰に当ててベルトに変化させ龍の手型のスイッチを叩いて入れて同時に変身するっ!
「ドラゴンシフター、参上♪」
「ドラゴンシフター二号、参上です♪」
雌雄一対の夫婦龍、ダブルドラゴンシフターの公式の戦いが始まる。
先手を取ったのはデーモロイド組、トイは近くのゴミを引き寄せて空中で紫色の液体に変化させて、ドメスティックはスパナの様な手先のクローアームを帯電させる。
「ヤバい! 二号は飛んでくれっ!」
「はい! 青龍フォームッ!」
二号が空高く飛び上がると同時に、毒液と電撃がドラゴンシフターを襲う!
「ぐは~~~っ!」
「ハイドロキラーシュートッ!」
毒液と電撃を同時に受けて叫ぶドラゴンシフター、その間に空中でフォームチェンジした二号が巨大な水の球を作り怪人達の頭上へと蹴り落とすっ!
水の球を浴びた怪人二体は、直撃で砕けた水球替えⒽん貸した水流に流されてコンテナにぶつかる!
二号は、怪人達に喰らわしたのとは違い虹が出る水流を生み出してドラゴンシフターを洗って癒す。
「ご主人様、無茶はいけません!」
「嫁を汚されてたまるかよ!」
「その言葉は狡いです!」
「良し、今度は俺が赤龍フォームだ!」
今度はドラゴンシフターが、ベルトの宝珠スロットを回して真紅の赤龍フォーㇺへとチェンジする。
「ゴミは焼却、ブレイズバイト!」
ドラゴンシフターが敵に向けて、両腕を突き出すと牙を剥いた巨大な炎の龍の頭が虚空に生まれる。
そして、ドラゴンシフターが両手の掌底を合わせて噛み付くp-図の如く両手を組むと同時に炎の龍頭が敵を噛み飲み込んだ。
炎の龍頭が消えると、デーモロイド二体は全身からバチバチと放電して爆発する!
普通ならここで終わりだが、コアである紫色に輝く野球ボール大の水晶玉。
デーモニウムはまだ壊れておらず、敵は周囲のゴミを集めて体を再生させた。
「ちぃっ! コアまでは壊せなかったか!」
「大丈夫です、ドラゴンアイで見た所コアの魔力残量は少ないようです」
「確かに敵のHPがヘビーウーンズだな、なら一緒に決めよう♪」
「はい、共同作業ですね♪」
基本である黄龍フォームに戻ったダブルドラゴンシフター、二人同時に腰を落として構え呼気を整えて力を溜める。
二人が全身から金色に光り輝くエネルギーを放出しながら、ジャンプ!
「「ダブルファンロンキ~~~~ック!」」
空中で二人同時に叫びながら回転し、全身から金色の光りの龍の形のエネルギーを放出しつつ敵へとキックを叩きこんだ!
二人の一撃を受けた二体の怪人は、コアであるデーモニウムにエネルギーを流し込まれてコアに瞬時にひびが入り砕け散るとともに爆発して消滅した。
爆発をバックに着地する二人のドラゴンシフター、これが彼らのユニットとしての初の公式戦の記録となった。
「昨日はお疲れ様、助かったぜ♪」
「いえいえ、私も一緒に戦えてうれしかったです♪」
デーモロイドを倒した翌日、住居のリビングにて向かい合い語らう二人。
「私達の間に子供が生まれたら、子供にもバックルを用意させましょう♪」
「まあ、いずれはそうなるよな?」
「私はいつでも構いません、我が子は沢山欲しいです♪」
「まだ早いけど、家族でヒーローチーム作るのも良いな♪」
「照れているご主人様のお顔も素敵です♪」
「……勘弁してくれ、何時までたってもジンリーには敵いそうもない」
ジンリーの言葉に赤面して照れる立磨、関係は深まっても照れる物は照れる。
そんな立磨に微笑むジンリー。
ソファ二つに、テーブル一つと壁にモニターがある程度の簡素なリビングで中華饅頭を食いつつジャスミン茶で飲茶する二人であった。
「そう言えば、まだご主人様は特機の教習を未受講でしたね?」
「ああ、そろそろ受講したいけど学校だと人気科目で取れなくて」
「でしたら、こちらは如何でしょうか?」
立磨にジンリーが、ロボット教習のパンフレットを見せる。
「ああ、学校の運営母体のヒーローリーグの
「ええ、費用は会社持ちですのでご安心下さい♪」
「わかった、ありがたく通わせてもらうぜ♪」
「はい、頑張って下さいね♪」
こうして、立磨は近くの島のロボット教習場に合宿へ行く事になった。
「島一つが教習場か、頑張ろう」
受講者であろう同業者っぽい人やら共に船を降りた立磨、迎えのバスに乗り駐屯地と学校が混ざった建物へ他の受講者達と入って行く。
「ヒーローコースの学科はここか」
田舎の小学校のような雰囲気の木造の教室に入り、空いている席に座る。
若い男性の教官が入って来て、自己紹介をして授業が始まった。
座学では巨大ロボの交通法規や、武装の使用などの法律。
他には、ヒーローが使う基本的な巨大ロボットの構造や操縦法やロボットを用いて戦う敵についてと学んだ。
「レバー操作、脳波操作、運動トレースか、それぞれのシミュレータ―もあるのは便利だな」
食堂でそばを食いつつ、午後はシミュレーターに挑戦しようと考える立磨、
他の受講者達も同じような事を言っていた。
座学の教室とは別の校舎へと渡り廊下を歩いて行き、立磨はまずはレバー操作の練習ができるシミュレーターに挑戦する事にした。
「ゲームセンターであるのと似てるな」
コンソロール付きの大きめの画面、シート、レバーと業務用のゲーム筐体に似たマシンのシートに座る立磨。
車のようにシートベルトを締めて、コンソロールのスイッチを入れて行きシート脇のレバーのボタンを押してスタート。
画面の指示に従い、レバーを動かしペダルを踏みボタンを押してと操作を行う。
「……うげ、評価の結果はABC方式の五段階でCか合格ラインはBからか」
プリントされた成績表に落ち込む立磨、だが中国で製造中の機体の為に奮起する。
次に立磨が挑戦しに行ったのは、体育館ほどの広さの運動トレース型のシミュレーターのある部屋だった。
その部屋は、床が畳四畳ほどのスペースでひとつづつ区切られていて同じく畳四畳ほどのモニターが壁に付いている中で受講者達がセンサー付きのグローブとシューズを身に付けて画面に映る敵を相手に格闘したりセンサー付きのスポンジ剣を振るって
戦っていた。
「これは、ダンスゲームとかトレーニングゲームだな♪」
これなら行けると、立磨も空いているスペースでグローブとシューズを身に付けて画面に映る怪獣や敵ロボットを相手にステップで回避やパンチやキックでの攻撃をして撃破して好成績を収めた。
「よっし、A評価ゲット♪」
軽く汗をかきながらも、笑顔になる立磨であった。
最後に挑戦したのは脳波操作型のシミュレーターだ。
立磨が部屋のドアを開けて入ると、そこにはずらりとSF映画で見たようなカプセルベッドのような装置が並んでいた。
「これまでとは打って変わって、病院のMRIみたいなのが出たな?」
ケーブルと機械に繋がれた巨大な茶筒のようなマシンに驚きつつも、立磨は未使用の物に近づきカプセルの傍の機械のスイッチを押すとカプセルがスライドして開く。
「歯医者の治療台みたいなシートだな?」
中に入りシートに寝るように座る立磨、シートベルトを締めてヘッドセットゴーグルを被るとカプセルが締まりシミュレーターが起動した。
「ステージは宇宙空間か? 兵装選択、バルカン、発射! レバー操作とか無いから操作の感じが掴めねえっ!」
シューティングゲームの如く、素早い対応を求められつつも反応が出来ず何度も撃墜判定を受ける立磨。
結果として、成績はDと合格までに段階足りない成績で終了した。
「運動トレース以外はだめだったな? ヒーローコースは、実機練習に行くのにシミュレーターの三種全部をBランク取らないと受からないのか!」
与えられた宿舎の簡素な個室で、スマホを使い情報を検索した立磨、
「取り敢えず明日も頑張ろう、学科テストもあるんだから!」
ジンリーにメールで、教習初日の成果の報告をしてからベッドで眠りにつく立磨。
彼の巨大ロボット合宿一日目が終わった。
「脳波操作、酔った~~っ!」
「運動トレース、体動かしてないとキッツイわ~っ!」
「レバー操作の反応が遅いっ!」
翌朝の食堂、他の受講者達がそれぞれの操作システムのシミュレーターに対して不満を言いつつ食事を取る。
立磨も、大人でも苦労してるんだなと思いながら一人で米と焼き魚とみそ汁の定食で朝食を取る。
学科の授業を受けつつ、教本やサイトで情報を集めてシミュレーターを試す立磨。
三日目にして何とか三種類のシミュレーターでBランクの成績を取ることに成功して教務課で実機練習の許可証を貰えたのであった。
「よっし、明日からは実機だ♪」
合格印の推された書類を手に、立磨は喜んだのだった。
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