第6話 お惣菜談議

 私が近所のスーパーで、小海老の天ぷらが5個も乗った冷やしうどんのパックを手にして思案中。

 サイズ感は中の下ぐらい。

 成人男性なら満腹になるには、あとお握りふたつぐらい必要になるでしょう。

 小学生ならこのパックひとつで大丈夫、という微妙感。


 先日、このお惣菜の冷やしうどんがとても美味しかったので、その日も買おうかどうかを迷っていました。

 お腹は結構空いている。

 ひとつで足りるか? おにぎり追加しようか等々。すると、


「それ、美味しいですか?」


 と、いきなり隣の女性に声をかけられ、あたふたあたふた。


「お、美味しかったですよ。この前も食べたので」

「美味しそうなんだけど、サイズがねぇ」

「中途半端なんですよねぇ」


 という、そつのない会話を進める私。


「小腹が空いたって感じなら、それなりに満足感はありますよ。お腹が空いていらっしゃるなら、あとひとつお握りを添えるとか」

「そうですよねぇ。あっと、すみませんね。こんな見ず知らずの人に聞いてしまって」

「ああ、全然大丈夫です」

「ありがとうございました」


 という珍事がありました。

 みなさん、自分が手にしたお惣菜を、知らない人から「それ、美味しいの?」と、聞かれた体験、ありますか?

 普通にあります?

 私は、あります。


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なぜ人は私に道を聞くのだろう 手塚エマ @ravissante

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