第2話 〜お嬢様との出会い〜
建物から娘が出てくる、ヒモトは隠蔽魔法を使い近づく事にした。
「我、勇者ヒモト人々から隠したまえ」
「相変わらずだなー」
ヒモトは姿を見えない様にし娘を助ける。
「なっ!何ですか!?」
「静かに、助けに来た」
「はっ!?何処から、姿もないのに声!」
「おっと、俺はヒモト、頼まれて助けに来た」
「おー流石だな」
「山野、これからどうする?」
「アニキの家だー」
「わかった、走って向かう」
助けた娘を商会長の家に匿う為、ヒモトは向かう。
「おう、ヒモト良くやったな」
「商会長、何処に連れて行けば」
「そこの部屋だ、お前は護衛してな」
「分かりました、行こう」
「………」
ヒモトは助けた娘にソファに座るよう勧める。
「何か飲むか?」
「………」
「俺はヒモト、君は?」
「………」
「まあ、怖い奴らに囲まれてたらそうなるか」
「…あなた、外国の方かしら?」
「あぁ、そうらしい」
助け出した娘もとい
「そうらしいって…貴方、自分がした事を分かってますの?」
「?詳しくは知らないが悪徳商人に捕まっていた君を助けただけだろ?」
「!何も知らないのですね」
「確か俺はここに来て3年だが、山野から色々教えて貰った、商会長にも」
「なるほど…貴方、ヒモトと言いましたね、このままでは極悪人になってしまいますわよ」
「何故だ?」
「私は
「!そんな訳あるか!だって」
「私は貴方を責めません。騙されていたのですね…3年も」
「山野はこの金貨と千円札を交換してくれた!」
あの時の様に金貨10枚を出し、エレナに見せる。
「これが千円…あり得ませんね…純度まで正確に分かりませんが、100万円以上の価値はありますね」
「はっ?嘘だろ」
「事実です」
「そんな訳、他にも娼婦の護衛、荷物の護衛、輸送の手伝い、悪徳商人への制裁、商品の配達、商会長の護衛も紹介してくれたんだ!」
「……推測ですがほとんどが違法な事ですね」
「まさか!それに勲章をつけた帽子男から逃げる方法まで教わったのに!」
「警察ではないのですか?」
エレナはこの青年はなんて可哀想なのだと眉を下げる。
「警察!お前も敵国のスパイだったのか!」
「警察とは日本の治安を守る組織の事ですわ」
「……そんな事、ある、わけ」
「では商会長の仕事相手は皆笑顔でした?」
「…荷物を渡した時は」
「では商品の配達をした先の人達は?」
「……そういえば怯えていたかも」
エレナは涙を浮かべながら、ヒモトに告げる。
「それは貴方がそういう人間の仲間だと思われているからです。貴方は悪い人の仲間だと」
「そ、そんな」
「すぐに信じる事は難しいかも知れませんが、私は貴方がそんな事をする人とは思えません。」
「……聞いて確かめる」
「気をつけてくださいね」
ドアから出ると歩いて商会長の元へ向かう。
「商会長」
「おい、護衛はどうした?」
「一つ聞きたい事が」
「どうした?」
「エレナという娘を本当に助ける為に連れてきたのですか?」
「…何か言われたのか?」
「誘拐犯と、俺は騙されていると、商会長達は悪い人だと」
「……それで?お前は」
「分かりません」
「そうか…なら」
商会長は机から金属の塊を向けてきた。
「商会長それは?」
「見せた事無かったか?銃って武器だ」
「‥何故向けるのですか?」
「この仕事を終えたら上に行ける、お前は利用しやすいからそばに置いていたが…余計な情報を聞いてしまったからな…死んでもらう」
「…‥本当だったのか」
銃を向けられたヒモトは商会長を睨む。
「山野がお前を騙して連れて来た時は変な拾い物だと思っていたが、なかなか稼がせてもらった」
「じゃあ全部悪い事だったのか」
「正義の味方か?ああ、勇者だったか」
「……俺は」
「じゃあな」
銃の引き金に指を掛け、力を入れるとパァンと乾いた音が響く。
「はぁ、あいつに新しいの連れて来させるか」
「……何かしたのか?」
「!何故生きてる」
「シールドの魔法を使って守った…我、勇者ヒモト、悪の自由を縛りたまえ」
「うっ、動けない」
ヒモトはミノムシの様に転がる悪人には目もくらずエレナの元へ向かう。
「あら、大丈夫でしたの?」
「ああ、君の言う通りだったよ」
「そう、ですの」
「これから君を元の場所に帰す」
「いいのですか?」
「俺は勇者だった、だから自分の過ちは自分で責任を持つ」
「では、行きましょうか…エスコートしてくださる?」
「お、おう」
エレナの綺麗な宝石の様な黒髪、完璧なバランスのスタイル、青い綺麗な目。
ヒモトは目を奪われる。
「おー、何処に行くんだ?」
「山野…」
「山野さんだろぉうが!アニキを動けなくしたようだな、始末するように言われた」
ゾロゾロと山野の仲間が入ってくる。
「山野さん、久しぶりにやっていいんですよね」
「あいつを、殺したら好きにしろ」
「へい!」
男は小刀を携え、ヒモトに向かってくる。
「悪く思うな、死ね」
「…ハッ」
「くっ、危ない危ない」
「来い、聖剣」
突然何も無い何処から剣が現れる。
光輝き、表面には薄らと紋様が浮かびあがり、真ん中には宝石の様な物が埋め込まれていた。
「まだそんな物を隠してたのか?」
「金貨はお前に取られたからな」
「それを寄越しな!」
小刀の根元をスッと通り過ぎる聖剣、その動きを相手は認識出来ていない。
「へっ、これで」
「どうした?そんなので刺さる訳ないだろ」
「?どういう事だ」
「見えてなかった様だな、俺が根元から斬り飛ばすのを」
山野達は銃を取り出す、一斉にヒモトへ向けられた。
「娘には当たるなよ、撃て!」
パァンパァンパァン、8人からの銃撃、普通なら即死だがそこは勇者。
「じじいの魔法より切りやすいな」
「バカな!化け物か!」
「いや勇者だったよ、我、勇者ヒモト、かの者を氷の牢獄に閉じ込めよ」
ドアの前にいた男達は氷の壁に覆われる。
「貴方、あれは」
「俺は勇者だった…今は悪人だけど」
「ふふふ、それなら私の所に来なさい」
「……だけど」
「
「とりあえず、送って行くよ」
「では、お願いしますね」
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