堂々たる狼のお話★

らんらん

森のお話

あるところに様々な動物が住んでいる森がありました。

うさぎ、リス、レッサーパンダ……。

とにかくたくさんの動物が住んでいて平和に過ごしていました。

ですがたまに狼が腹を空かせてやってくるのです。

今日はその日でした。


「腹が減ったー!誰でもいいから食ってやるー!」


すると狼の前にとある動物が立ちふさがりました――――うさぎです。


「そんなことはさせない!僕は正義のヒーローうさぎんだ!」


狼はそのままじっとしていました。

実は狼は全てを知ってしまい、暴れていただけなのです。


「うさぎん。今君は正義って言ったよね?でも正義って何かな?」


うさぎんはすぐに言いました。


「そりぁ皆の為に尽くすことに決まってるさ!何を言ってるんだい?狼くんは。」


狼は唸るように口を開きました。


「それは君の正義だ。でも俺には俺の正義がある。―――皆に肉を分けてやるという事さ。」


うさぎんはそれはおかしいと口を開きました。


「何を言ってるのか分からないよ!でも僕は僕の正義を通す!」


すると狼は悲しそうに言いました。


「正義はね。1つの正義を通すためには正義がいくつか倒れてしまうんだ。うさぎん、正義は1つじゃないんだよ。」


うさぎんは何を言ってるのか分からないとでも言うように首を傾げました。ですが狼は続けます。


「それにこれは童話の中での出来事だ。本当はこんなふうに語り合えないかもしれない。だから僕は自然に従うことにしたんだ。」


うさぎんは狼の言ってることにやっと気づきました。

―――――ですが、遅すぎました。

もううさぎんは狼の鋭い爪に切り裂かれ、狼の家族のお腹の中にいました。




おしまい

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