第20話
レイルと龍弦が熱い目標を掲げた次の日の夜
「レイルや、今日から鍛錬を始めるがその前に少々確認したいことがあるでの。
お主の適正とその眼の事じゃ」
「適正と僕の眼?」
「そうじゃ、行く行くは全ての武器、
体術を習得して貰うが、
まずは得手不得手を調べようと思うとる。
そしてその金の瞳じゃが……
魔眼…あるいは神眼の類いかも知れんのう。」
「え?僕の眼が神眼…?!」
「うむ、あくまで可能性の話じゃがの、ほっほ。
後はその眼がどこまでの事が出来るか、
その性能を調べんとのう。」
「えっと、どうやって調べたら良いのか分からないんだけど、どうするの?」
「こうするんじゃよ。」
そう言って龍弦はレイルに掌を見せた
「何が視える?」
「え?何も見えないけど…」
「なら、試合を見ていた時のように、
集中して視てみるのじゃ。」
ジッと掌を見ていると僅かにオーラが出ているのがわかった
「なんか出てる…?」
「そうじゃ、これは闘気と言っての、
これを纏う事で戦闘能力を数段階上げることが出来るのじゃ。
今は加減して少しだけしか出していないんじゃがの。
今度は身体全体を視てみるのじゃ、
闘気が巡っているのが分かるかの?
これは経絡と言っての、気の通り道なんじゃよ。
この経絡を全身に細かく張り巡らすほど闘気の放出量も増えるのじゃ。」
「うん、見えるよ!
……あれ?なんかヘソの下に塊があるよ?」
「ここは丹田と言って、
気を自然から集めたり、生成したりする場所じゃ。
まぁ、闘気の源じゃの。」
「なんだか魔力と魔力回路に似てるね!」
「そうじゃのう…魔力の源は心臓付近じゃし、
大気中の魔素を取り込む事が出来るしのぉ。
それに対して闘気は自然エネルギーを丹田に取り込んだりして力にするからの。
確かに似かよる所もあるのは事実……
ならば……
レイルが闘気を習得すればあるいは魔力の出力を上げる切っ掛けが掴めるかも知れんのう。」
「弦爺の経絡?を視た感じは全身に根を張ってる感じなんだね!すっごい細かいや…
出力を上げる切っ掛けが掴めたら良いなぁ…
今、自分の魔力回路を見れないか試したんだけど
心臓から手足に向かって4本の回路しか無かったよ…
それに闘気の経絡もあんまりないから大丈夫かな……」
残念がるレイルに龍弦は希望を与える。
「ほっほ。そう残念そうせんでもよいぞ。
経絡は鍛錬次第では増えるのじゃよ?
才能次第では儂より細分化された経絡を獲得することも可能じゃ!」
「お、おぉーっ!頑張れば経絡は増えるんだね!
それで闘気も強くなると……
よぉ〜しっ!頑張るぞー!」
「ほっほっほ。
話は逸れたがまず一つ、
レイルの眼は魔力や魔力回路、闘気や経絡といったエネルギーを視る事が出来るという事だの。
……さて、次はこれじゃ!」
龍弦は人差し指を1本立てて振っていた。
しかし、レイルの頭の中は「???」でいっぱいだった。
「弦爺…何してるの?」
「レイルや、この指は何本に見える?」
「1本だよ?」
「それでは…これはどうじゃ?」
「3本に増えたり2本に減ったり速く入れ替えてるけど…」
その後も龍弦は指を2本立てたり5本立てたりしていた。
レイルは龍弦が何をしたいのか全く分からなかった。
「弦爺は一体何がしたいの…?
ただ指を立てて本数を変えてるだけじゃないか。」
それを聞いて龍弦は目を輝かせていた。
「………レイルよ、今のはな…
常人では認識すら出来ない速度で指を入れ替えておったんじゃ。
それをお主はまるで止まって見えてるかのように当ておって!」
「な、なるほど、そう言う事だったんだね…」
(最初は様子見じゃったが、
最後の方はちょっとだけ!ほんのちょっとだけ!
本気だしちゃったんじゃぞっ!)
龍弦はちょっぴり涙目になっていた、、、
「…これで2つ目は、
どんな速さも捉えられる反射速度、
あとは空間把握能力も備わっていそうじゃな。
さて、あと考えられるとしたら何かの…?
……………レイルや今から儂が演武するでの。
一通り見終わったら模倣してみるのじゃ!
……ゆくぞ?」
こうして龍弦の演武が始まった。
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