【ぼくのおばあちゃん】

ぼくのおばあちゃんは、こまかいことを気にしない陽気なおばあちゃんだった。

うちにいることがあまりなく、ずっとそとに出ずっぱり。

いつもどこにいっているのかわからないけど、ごご3時くらいになると、ふっとかえってくるようなひとだった。


きんじょのおとしよりのともだちもたくさんいたみたいで、おばあちゃんのいどころがわからないと、みんな勝手にうちの庭に入ってきて、きまってぼくにおばあちゃんのいそうなところを聞く。ぼくだってわかるはずないのにね。


あと、みんようをうたう会かなにかにはいっていて、おきなわのひとじゃないのに、よくおきなわの「安里やユンタ」をうたってたな。

「安里やユンタ」、カセットでくりかえし、くりかえしきいてれんしゅうしてた。

だから「安里やユンタ」、ぼくもしぜんとおぼえちゃった。


あるとき、小がっこうのたいいくのじゅぎょうで、ぼくがじゅぎょうをさぼってけんがくしているときに、うんどうじょうのちかくをおばあちゃんがとおった。ぼくはしふくでけんがくしているのですごくめだつ。すぐにおばあちゃんにみつかっちゃった。


そのとき、ぼくは、ちょっぴりおばあちゃんにきたいしたんだ。「このこと、おかあさんにいわないでほしいな」って。

だって、おかあさんにばれたら、そっこうでおとうさん行き。げんこつだ。


うちにかえると、あんのじょうおかあさんにといつめられた。「げんきなのになんでけんがくしてたのよ!」

あ~あ、やっぱりダメだった...。言っちゃったんだ。おばあちゃん。げんこつけってい!


そんなおばあちゃん、さいごのほうはボケちゃっておかあさんとおとうさんのせわになってた。


一日中ねてばかりだから、とこずれができちゃって、うごかすのもたいへん。においもすごい。

とくにトイレがたいへんで、かんいトイレにいどうするのに、ふたりがかりでおばあちゃんをはこぶ。

おばあちゃん、からだがかたいのと床ずれで「いたい、いたい」っていいながら、はこばれてた。


あんまりいたいんで、ぼくのおかあさんにあたる。

ぼくはおかあさんがおばあちゃんをかいごしているときに、かおにつばをはきかけられたのをみた。

ボケているからといって、こんなことをされたらいやだろうとおもうけどおかあさんは気にしないでせわをした。ぼくにはできないとおもったよ。


そのあと、おばあちゃんは家でなくなった。ぼくはもう、けっこんしていて家にいなかったけど、家のふとんでねむるようになくなったときいた。


めいじうまれのおばあちゃん、言えなかったいろんな苦ろうも多かったんだろう、

でも、ねこむまえはたのしいまいにちをすごしただろうし、まごのかおも見れて、しあわせだったんじゃないかな?って、いまぼくはおもってる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る