喧嘩……喧嘩?
「ようガキ、随分と羽振りがいいらしいじゃねえか?」
「ラファーガに拾われたからって調子に乗ってるみたいだな」
「どうした? なんか言っプペバッ!?」
ブランフィオを連れだって街の近くに転移、そのままの足で冒険者ギルドに向かっていると、途中でガタイのいい三人組に道を塞がれた。
そしてガタイのいい三人組の一人が、ブランフィオによってぶっ飛ばされていた。
「寄るな、しゃべるな、クズ共、ニャ」
「弱いな……いや、ブランフィオが強いのか?」
武器を持たず、拳で男の顎を一撃で粉砕。
口から血を吐き出し、男は地面に背中から激突。そのまま動かなくなってしまう。
「お、おい! 大丈夫か!? 白目剥いてるぞ! がっはっ!?」
ぶっ飛ばされた男に駆け寄った一人が、今度は後ろから蹴り上げられて地面とキスした。
「しゃべるなと言った、ニャ。言葉が通じない、ニャ?」
「このガキが! いきなり何しやがぶっふぁ!?」
「ぎゃふ!?」
「しゃべるなと言った、ニャ。これで三度目、ニャ」
「ぎゃあ!」
「うぎゃあ!?」
ブランフィオに言い寄ろうとした男が蹴り飛ばされ、体制を立て直そうとこちらに体を向けようとしていた男に、背中から落ちた。
「お前らクズがグレン様の前に立ちふさがるとかふざけている、ニャ。そもそもお言葉をいただこうだなんて、死ぬべき、ニャ。殺す、ニャ」
「「 ひいっ!! 」」
「また声を発した、ニャ。クズは言葉を理解できなくて困る、ニャ」
「ぎゃああ!」
上に乗っかった方の男の足をブーツで踏みながら、ブランフィオが追い打ちをかける。
「ブランフィオ、そのあたりで」
「ニャ!」
戦意を喪失した相手にこれ以上攻撃する必要ない。
「「 ほっ 」」
「それで、お前達は何の用だったのだ?」
ブランフィオにボコられるために来た訳ではないだろう。
オレの問いに答えようとするも、ブランフィオに視線を向ける。
「グレン様がわざわざ問いかけてくださってる、ニャ。ありがたくお答えする、ニャ」
「は、はい! い、いえいえ、オレ達は! その!」
「何でもないです! 人違いです! すいません!」
一人は腹を抑えて、もう一人は足を抑えながらよろよろと立ち上がる。
そして二人とも背を向けて立ち去っていく。
「忘れ物、ニャ」
初手で顎を粉砕され、そのまま動かなかったもう一人をブランフィオは片手で持ち上げて男達に投げた。
「「 ぎゃー! 」」
パンパン、とブランフィオは手の埃を払った。
「なんだったんだ?」
「暗殺にしてはお粗末です、ニャ。こちらの実力を確かめようとかそういった類の気配も感じませんでした、ニャ」
「そうか」
……本当になんだったんだ?
「街の中で仕掛けた場合のこちらの対処方法を知りたがっていた可能性もございます、ニャ。今後は街の中でも一層警戒します、ニャ」
「ああ、そういう手合いか。しかしオレ達の、その、なんと言えばいいか」
「敵、ですか、ニャ?」
「まあそれでいいか。敵というものが存在するのか?」
オレの素性を知る者はこの街にはいないはずだ。魔王の子であることもダンジョンマスターであることも。そうなるとオレ自身が狙われる理由が思い当たらない。
「グレン様、油断はならないです、ニャ」
オレが首を傾げていると、オレの耳元にブランフィオが顔を近づける。
「艦長の兄君が人間の国に攻め込んでいます、ニャ。そこから情報が洩れている可能性もございます、ニャ」
「うーん、どうだろうか」
クライブ兄上やその側近達が簡単に負けるとは思えないし、拷問などを受けてもオレの情報を出すだろうか? そもそも彼らはオレが今どこにいるかも知らないだろう。その他の兵達はそもそもオレのことを知らないと思うのだが。
釈然としないまま、オレはギルドに向かうのであった。
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