あられ
、、、チャイムが鳴った。僕は静かにコップを机上に置き、そっとため息をついた。ふと手に持つと、昨日の糊の感触がまだ残っていた。操られたように着替え、外に出ると、蝉の鳴き声が辺りに響き渡っていた。ジリジリと照りつける日差しで、プールサイドは鉄板のように熱かった。
「この中にいる。」
そう思った瞬間、僕はゆらめく水面の一点しか見ることができなくなった。隣に座っているクラスメートに肩を叩かれるころには、もう先生の説明が始まっていた。同時に、独特な水の匂いにも気づいた。
僕は静かに入水した。、、そんなことはないと分かっているのに、何かの拍子で足を怪我するんじゃないか、という不安が湧き出た。僕は当てずっぽうに手を動かした。すると、一匹のヤゴがそこに収まった。それを確認すると、急いでプールから出て、先生の指示を待った。
教室での授業が再び始まるというとき。僕は後ろの席に座っている友達に急かされるまま、おそるおそるその生き物を見ていた。
、、、思っていたより小さい。
僕はその大きさに気づくのと同時に、とても新鮮な気持ちになった。
「この生き物は、本当にトンボになるのだろうか。」
飼うのに必要なものやプリントが一通り渡された後、チャイムが鳴った。いつのまにか昼になっていた。みんなが教室の前でプリントを出しているのに気づいた僕は、慌てて感想を書く欄に目をやった。
「虫を踏まないように気をつけた。」
そんなことを書いたような気がする。
帰り道、僕はまた石を蹴っていた。蹴って、蹴って、蹴り続けて、石を目で追っていたら、家に着いていた。
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