つゆ

僕はリビングに入りながら、ペットボトルを捨てずに残してほしいことを母に言った。そして、自分の部屋のベッドにジャンプで飛び込み、仰向けになった。僕の視界は、いつもより圧迫感のある白い天井によって、大きく広がっていた。

日曜日の夜、僕の目の前には大きめのペットボトル一本と、カッターがあった。父からは、ギリギリになって作り始めることについて咎められた。が、「面倒くさいから」や、「カッターを使うのが怖かったから」などと勘違いされるのが嫌で、そのまま無言を通してしまった。しばらく一人で健闘した後、そばにいた母が手助けしてくれて、完成した。それは、ペットボトルの上部を除いた、コップ状のものだった。僕は、母から渡されたテープをそのコップの切り口に貼り付けた。そして、、道具を片付けるより先に、ランドセルにそのコップを押し込んだ。

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